SunflowerTapeMachine

2023年12月28日

2023年度版 軽刈田 凡平's インドのインディー音楽top10


今年もインドのインディペンデント音楽シーンがどんどん大きく、面白くなった1年でした。
もはやとても一人の力で掘り続けるのは無理なほどに巨大化してしまったシーンのなかで、これこそが注目すべきトピック(シングル、アルバム、ミュージックビデオ、出来事)だと思ったものを、10個ほど選んで紹介させてもらいます。

10個並べてるけど、順位はとくになし。
ジャンル的にも地理的にも多様化しまくっているインドのシーンから10個トピックを選ぶのはとても難しかったけど、5年後、10年後に振り返った時に、「そうそう!あのときがこのブームのきっかけだったよね」とか「そういえばあんなことあったなあ」と思えそうなものを選んでみたつもり。



Bloodywood来日


まさか去年に続いて今年もBloodywoodの来日を10大トピックの筆頭に挙げることになるとは思わなかった。
彼らが今年6/28に大阪(梅田TRAD)、6/29に渋谷(Spotify O-EAST)で開催したワールドツアーのファイナル公演は凄まじかった。
去年のフジロックの「誰だかよく分からないけど、こいつらスゲエ!」という状態とは異なり、誰もがBloodywoodことを知っていて、高い期待を抱いているという状況の中で、彼らはその予測を軽々と上回るパフォーマンスを披露した。
ギターソロはなく、ドラムセットもバスドラ1つ、タム1つと極めてシンプルな音楽性とステージセットで観客を熱狂させた彼らのスタイルは、新世代ヘヴィミュージックのひとつの雛形としても注目に値するものだった。




JATAYU来日


今年のフジロックでもインドのバンドが優れたパフォーマンスを見せた。
チェンナイのカルナーティック・ジャムバンドJATAYUは前夜祭とField of Heavenに出演。
去年のBloodywoodのような大規模ステージやド派手な音楽性ではなかったこともあり、大きなセンセーションを巻き起こすには至らなかったが、JATAYUは日本のリスナーがこれまで聴いたことがない浮遊感溢れるフレーズとタイトなグルーヴで確かな爪痕を残した。
インタビューによると、彼らはシンガポールのショーケースイベントに出演したときに関係者の目に留まり、フジロックの出演につながったとのこと。
今年リリースした台湾のバンド「漂流出口」との共演曲"The Wild Kids"も、アジア的な混沌をロックで表現した出色の作品だった。
(漂流出口もすごく面白くて良いバンドです)




Sid Sriram "Sidharth"(アルバム)


今年はメインストリームのど真ん中で活躍している映画のプレイバックシンガー(吹き替え歌手)が、相次いで充実したオリジナル(非映画)アルバムを発表した年でもあった。
インドにおいて「インディーズ音楽」とは、「映画音楽ではない音楽」を指す概念だと言っても過言ではない。
メジャーの真ん中で活躍しているアーティストがインディペンデントを志向する時代がインドにやってきたのだ。
カリフォルニア在住のSid Sriramが、現地の(インド系ではない)ミュージシャンと制作した現代的R&Bスタイルのこのアルバムを「インドのインディー音楽」として扱うべきかどうかは悩んだが、こうした背景と内容の素晴らしさを考えれば、この10選から外すわけにはいかないだろう。
カルナーティック音楽をルーツに持つ彼の歌声は信仰に根差した聖性を湛えていて、結果的にゴスペルのような美しさが感じられる。
以前の記事でも紹介したので今回は別の曲をピックアップしたが、アルバム中の"Dear Sahana""Do the Dance"はとくにその傾向が強く、涙が出そうなくらい感動した。


他に今年リリースされたプレイバックシンガーのインディペンデント作品としては、Armaan Malikの"Only Just Begun"も現在進行形のヒンディーポップスのが楽しめる佳作だった。
この作品にはヒップホップビートメイカーKaran Kanchanも参加していて、インディペンデントとメジャーの垣根がますます低くなってきていることを感じさせられた。



KSHMR "Karam"


KSHMRのインドのヒップホップ界への参入は、成長と拡大の一途を辿るシーンへの黒船来航とも言える出来事だった。
世界的に高い評価を得るインド系アメリカ人のEDMプロデューサーである彼は、今作では個々のラッパーの良さを引き出すビートメーカーの役割に徹し、ラテンやインド映画音楽の要素をスパイスとしたトラックの数々に彩られた名作を生み出した。
インドの音楽シーンが国内に閉じているのではなく、グローバルにつながっていることを感じさせるアルバムだ。




Chaar Diwaari X Gravity "Violence"


6月に旅行で来日していたビートメーカーのKaran Kanchanが注目アーティストとして名前を挙げていたのがこのChaar Diwaariだった。
ニューデリー出身のこのラッパーはまだ20歳(!)。
アンダーグラウンドの空気感を濃厚にまとった"Barood""Garam"といった個性的なトラックだけでなく、ギタリスト/ソングライターのBhargと共演したポップな"Roshini"など、アクの強さだけではない豊かな才能を示す楽曲を2023年に多数リリースした。
今後の活躍がもっとも期待されるアーティストの一人である。
KSHMRの"Karam"のような話題作から、彼のような超新星の出現まで、今年もインドのヒップホップシーンは非常に豊作だったと言える。



Ikka Ft.MC STAN "Urvashi"


Ikkaはパンジャービー系パーティーラップシーンで一世を風靡したYo Yo Honey SinghとBadshahを擁したデリーの伝説的ヒップホップクルーMafia Mundeer出身のラッパー。
ド派手で商業的なスタイルで人気を博したHoney SinghやBadshahとは異なり、ヒップホップのルーツに忠実な活動を重ねているIkkaが、マンブルラップ的な新世代フロウをインドに持ち込んだMC STANと共演したのがこの曲。
サウンドの印象としてはIkkaがかなりMC STANに寄せているように聴こえるが、ミュージックビデオを見るとMC STANがパーティーラップ的なスタイルに接近しているようにも見える。
プロデュースはアメリカで活躍するバングラデシュ出身のプロデューサーのSanjoy.
ボリウッドソングのマッシュアップをきっかけに在外南アジア系コミュニティから人気に火がついた彼の起用は、メジャー/インディー、国内/国外の垣根が意味を失いつつあるインドのシーンを象徴する人選だ。

そういえば、今年はHoney Singhがムンバイのストリート出身のスターEmiway Bantaiのプロデュースした楽曲もリリースされた(曲としてはイマイチ)。
ますますボーダレス化が進むインドのヒップホップシーンの今後がますます楽しみだ。



Diljit Dosanjh X SIA "Hass Hass"(シングル) "Ghost"(アルバム)


最近ずっと思っているのが、そろそろバングラーというジャンルを再評価すべき時期が来ているのではないか、ということ。
バングラーは、世界的にはPanjabi MCらが活躍した'00年代前半にブームを迎え、ほどなく下火になったジャンルかもしれないが、北インドでは今日に至るまで継続的に高い人気を誇っている。
インドのみならず、パンジャーブ系住民の多いオーストラリアや北米では、昨今バングラーシンガーがアリーナ規模のライブを成功させている(ただし観客はほぼ南アジア系だが)。
ジャマイカンにとってのレゲエやアフリカ系アメリカ人にとってのヒップホップのように、バングラーはパンジャービーたちの魂の音楽として愛され続けているのだ。
バングラーの特筆すべきところは、愛され続けているだけではなく進化しつづけていることで、Diljit Dosanjhがオーストラリア出身の人気シンガーSIAをフィーチャーしたこの曲は2023年度版バングラーを象徴する楽曲と言えるだろう。
Diljitが今年リリースしたアルバム"Ghost"も23曲入りというとんでもないボリュームで、現代型バングラーラップの理想系を示した作品だった。
昨年Sidhu Moose Walaの死という悲劇を迎えたバングラー界だが、それでもシーンは希望と意欲に満ちており、明るい未来が期待できる。



The Yellow Diary "Mann"


上質なヒンディー語のインディーポップを作り続けているムンバイのバンドThe Yellow Diaryは、この新曲"Mann"で変わらぬセンスの良さを見せつけた。
ボリウッド映画に使われても良さそうなキャッチーなヒンディー語ポップスだが、ジャジーなピアノやギターに彼ら独自の個性が光る。
音楽スタイル的にメジャーとインディーズの中間に位置するバンドであり、洋楽志向に偏りがちなインドのインディーポップシーンでインドらしさ溢れるサウンドを作る彼らは稀有な存在だ。



Sunflower Tape Machine "Rosemary"


インディーロック勢ではチェンナイを拠点に活動するAryaman SinghのソロプロジェクトSunflower Tape Machineがリリースした"Rosemary"の繊細な美しさも素晴らしかった。
楽曲ごとにアンビエント、シューゲイザー、80’s風ポップと作風を変えながら、1年に1、2曲のみリリースするという非常にマイペースな活動を続けている彼の最新作は、アコースティックギター1本で聴かせるフォークポップ。
シンプルこの上ない楽曲をメロディーとハーモニーで聴かせるセンスに痺れた。
日本からインドの音楽シーンをチェックしていて、彼のような完全にインディペンデントな才能に出会えたときの感動はひとしおだ。



Komorebi "The Fall"(アルバム)


デリーを拠点に活動しているKomorebiは、アニメなど日本の文化の影響を受けているTarana Marwahによるソロプロジェクト。
以前からポップなエレクトロニカを聴かせてくれていたが、今作ではぐっとスケール感を増してノルウェーのAURORAのような幻想的で美しい作品を作り上げた。
Easy Wanderlings, Dhruv Visvanath, Blackstratbluesといったインドのインディーズシーンを代表するアーティストのコラボレーションも作品に華を添えている。
こうした無国籍で高品質な楽曲がリリースされているということもインドの音楽シーンの誇るべき部分であり、もっと世界が注目してくれたらいいのにといつも思っている。




というわけで2023年の10選はこんな感じでした。
今年は秋以降のヨギ・シン来日騒動(騒いでいたのは自分だけだが)もあり、シーンをあまり細かくチェックできていなかったので、きっとここに挙げた以外の素晴らしい作品や出来事もたくさんあったことと思う。
次点はムンバイのロックバンドThe Lightyear Explodeのアルバム"Suburban Prose".
80’s〜90年代前半の雰囲気のあるポップでキャッチーな曲がたくさん入ったアルバムなので、興味がある人はぜひチェックしてみてほしい。
あとコルカタのラッパーCizzyは今年クラシック級の名曲を何曲もドロップしていた。
(例えば"Number One Fan", "Baad De Bhai"
注目されることが少ないベンガル語ラップに正当な評価を与えるためにも選びたかったのだが、ジャンルのバランスを考えて泣く泣く選外とした。


過去2年分の軽刈田セレクトによる年間トップ10もいちおう貼っておきます。
毎年面白くなり続けているインドの音楽シーン、来年はどんな作品がリリースされるのか、ますます楽しみだ。









--------------------------------------
「軽刈田 凡平(かるかった ぼんべい)のアッチャーインディア 読んだり聞いたり考えたり」

更新情報や小ネタはTwitter, Facebookで!
Twitter:
https://twitter.com/Calcutta_Bombay

Facebook:
https://www.facebook.com/軽刈田凡平のアッチャーインディア-読んだり聴いたり考えたり



軽刈田 凡平のプロフィールこちらから

2018年の自選おすすめ記事はこちらからどうぞ! 


goshimasayama18 at 15:03|PermalinkComments(0)

2023年08月16日

なぜか今頃発表! The Indies Awards 2022



インドの優れたインディペンデント音楽のアーティストや作品に対して、2020年から表彰を行なっているThe Indies Awardsの2022年版が、先日唐突に発表された。



すでに2023年の8月後半にさしかかったこのタイミングでいったい何故?
もしかしてインドには日本でいうところの「年度」みたいな考え方があるの?(例えば2022年の8月から翌年の7月までを2022年度として扱うとか)
…と不思議に思ったものの、どうやらそういったことはいっさいなく、純粋に2022年以前にリリースされた作品のみが対象とされているようだし、単に選考に時間がかかっていたか、忘れていただけの模様。

インドのインディーズシーンは、まだまだみんなが手弁当で盛り上げているといった感じなので、おそらく選考委員のみなさんも本業を別に持っていたりして、きっと忙しくてこのタイミングになるまで手がつけられなかったんだろう。
なにしろ、ジャンル別アルバム・楽曲、パート別プレイヤー部門など全部で27部門もある本格的な賞なので、選考に時間がかかるのも分かる。
(…かと思ったら、後述の通り、どう考えても2021年にリリースされた作品がたくさん入っていたりして、なんだか訳がわからない)
個別の受賞者は上記のリンクを辿ってもらうとして、主要部門と気になる部門について、いくつか紹介してみたいと思います。


Artist of the Year: Seedhe Maut


アーティスト・オブ・ザ・イヤーに選ばれたのはこのブログでも何度も紹介しているデリーのSeedhe Maut.
確かに2022年のSeedhe Mautはインドを代表するヒップホッププロデューサーSez on the Beatと久しぶりに共作した傑作アルバム"Nayaab"をリリースし、インドのヒップホップの新境地を切り開く大活躍をしていた。
さらに彼らはHiphop/ Rap Song of the Year部門もこの"Namastute"で受賞している。
アレ?この曲、もう1作前のアルバムの曲だけど、リリースいつだっけ?と思って調べてみたら、2021年の2月。
なにがなんだかよくわからなくなって来たけど、名作なのは間違いないのでまあ良しとしよう。




Song of the Year: Sunflower Tape Machine "Sophomore Sweetheart"


やはり2021年の6月にリリースされているこの曲がなぜ2022年のベストソングに選ばれているのかは謎だが、洋楽的なインディーミュージックとしてよくできた曲なことに異論はない。
Sunflower Tape MachineはチェンナイのアーティストAryaman Singhのソロプロジェクトで、この曲は2021年のRolling Stone Indiaが選ぶベストシングルの2位にもランクインされていた。
Sunflower Tape MachineはThe Indies AwardsでもEmerging Artist of the Yearとのダブル受賞。
リリースする楽曲ごとに作風が変わる彼らの魅力は、近々特集して紹介したいところだ。



Album of the Year:  Saptak Chatarjee  "Aaina"


彼はこれまで知らなかったアーティストだった。
どうもこのThe Indiesは、Rolling Stone Indiaあたりと比べると、いわゆるフュージョン的な、インドの要素を多く含んだ音楽を評価する傾向があるようで、彼も本格的な古典音楽を歌ったりもするシンガーソングライター。
Saptak Chatarjeeはデリーとムンバイを拠点にしているようで、YouTubeでチェックする限り、その実力は間違いなさそうだ。



Music Video of the Year: The F16s "Easy Bake, Easy Wake"


F16sはチェンナイ出身のロックバンド。
ふざけた名前のLendrick Kumar(説明するのも野暮だが、たぶんインドによくいるKumarという名前を、Kendrick Lanarのアナグラム風にしている)によるミュージックビデオは、独特のユーモアと世界観が魅力的。
この曲が収録された"Is It Time to Eat the Rich Yet?"は、Rock / Blues / Alternative Album Of The Yearも受賞している。
ちなみにこのアルバムもやはり2021年の11月にリリースされたもの。
前回のThe Indies Awardsは2022年の12月に発表されているので、ぎりぎりのタイミングだったのかもしれないが、たまに2021年前半の作品が含まれているのが解せない。


他のチェンナイ勢では、フジロックでの来日も記憶に新しいJATAYU"Moodswings"Instrumental Music Album Of The Yearを受賞している。




Artwork Of The Year: Midhaven "Of The Lotus & The Thunderbolt"
Metal/Hardcore Song of the Year: Midhaven "Zhitro"


アートワーク部門とメタル・ハードコア部門の楽曲賞を両方を受賞したのが、このMidhavenというムンバイのアーティストだった。
不勉強ながらこれまで知らなかったバンドで、先日出版された『デスメタル・インディア』にも掲載されていない新鋭バンドのようだ。
アートワーク部門での受賞となったのがこのサムネイルのイラストで、やはりこの媒体がインド的な要素を嗜好していることを感じさせられるセレクトだ。
楽曲はミドルテンポのよくあるメタルで、それなりにレベルの高いインドのメタルシーンでこれといって特筆すべき部分は感じられなかった。


Electronic/Dance Album of the Year:  MojoJojo "AnderRated"



伝統音楽をポップな感覚でダンスミュージックと融合するムンバイのプロデューサーMojoJojoが2021年の10月のリリースしたアルバム。
RitvizやLost Storiesなど、いわゆる印DM(インド的EDM)ではいろんなスタイルで活躍しているアーティストがいるが、彼はちょっとラテンポップっぽい要素があるところが独特だろうか。
ちなみに楽曲部門(Electronic / Dance Song Of The Year)では、ラージャスターンの民謡とエレクトロニックを融合するというコンセプトで活動するBODMAS"Camel Culture"(やっぱり2021年のリリース)が選出されている。
インドのエレクトロニックシーンの評価基準をフュージョンという点に置いているのだとしたら、なかなか興味深いセレクトである。


Folk-Fusion Song Of The Year:  Abhay Nayampally "Celebration (feat. Bakithi Kumalo, Hector Moreno Guerrero & King Robinson Jr)"


このAbhay Nayampallyというギタリストもこれまで聴いたことがなかったが、やっている音楽はかなり面白くて、ラテン・カルナーティック・フュージョンとでも呼ぶべき音楽性の一曲。
南アフリカのベーシスト、アメリカのドラマー、ドミニカのキーボーディストが参加しているようで、まさに大陸をまたいだ興味深いコラボレーションを実現している。
もっと多くの音楽ファンに聴かれてほしい曲である。


Pop Song Of The Year:  Ranj  "Attached"


英語で歌うベンガルールの女性シンガーの作品で、センスよくまとまったポップスとしての完成度はインド基準ではかなり高い。
Rolling Stone Indiaが好みそうな音楽性だと思ったが、Rolling Stone Indiaの2021年のベストシングルには選ばれていなかった。
以前も書いたことがあるが、この手のミドルクラス的ポップスで良質な作品をリリースしているアーティストはインドにそれなりにいるのだが、彼らがターゲットにしているリスナー層は主に洋楽を聴いており、そんなに聴かれていないのが、ちょっともったいない。


他にこのブログで紹介したことがあるアーティストでは、やはりどちらも2021年の作品だが、Easy Wanderlings"Enemy"Rock / Blues / Alternative Song Of The Yearに、Prabh Deep"Tabia"Hip-Hop / Rap Album Of The Yearに選出されている。

それにしてもこんなに2021年の作品が多く選ばれている理由はなんでだろう。
前回(第2回)の選出は2021年の12月に行われているようなので、ほとんどの作品が前回の対象にもなっているんじゃないかと思うのだが…。
なんにせよ、こうして新しいアーティストを知ることができたり、自分が取り上げて来たアーティストがインド国内でも高く評価されていることを知れたりするのはいい機会だった。
来年の発表はいつになるのかさっぱり分からないが、今後も注目してゆきたい音楽賞ではある。




--------------------------------------
「軽刈田 凡平(かるかった ぼんべい)のアッチャーインディア 読んだり聞いたり考えたり」

更新情報や小ネタはTwitter, Facebookで!
Twitter:
https://twitter.com/Calcutta_Bombay

Facebook:
https://www.facebook.com/軽刈田凡平のアッチャーインディア-読んだり聴いたり考えたり



軽刈田 凡平のプロフィールこちらから

2018年の自選おすすめ記事はこちらからどうぞ! 


goshimasayama18 at 01:34|PermalinkComments(0)

2022年01月31日

インディアン・シューゲイザー特集!インドの大地に轟音ギターが鳴り響く!

今回の記事では、インドのインディー・ロックという世界的に見てもかなりニッチなジャンルの中の、さらにニッチなサブジャンルについて書かせてもらう。
タイトルにもある通り、今回は「インドのシューゲイザー特集」だ。

ご存知の方も多いと思うが、シューゲイザーというのは90年代にイギリスで発祥したロックのいちジャンルで、雑に説明すると、フィードバックノイズ混じりの歪んだギターでコードをズゴゴゴゴィーーンと弾きながらポップなメロディーを甘ったるい声で歌う様式のこと。
こうしたスタイルを取り入れたバンドの多くが、ステージで、まるで「自分の靴を眺めるかのように」うつむいてギターをかきならしていたことから、シューゲイザー(shoegaze, shoegazing)というジャンル名がつけられた。

歪んだギターでガガガガガッとリフを弾くとメタルになってしまうし、アップテンポでジャンジャカジャカジャカと弾くとパンクになってしまうが、深く歪ませたギターをミドルテンポでズゴゴゴゴィーンとコード弾きしながら(「ィーン」の部分はフィードバック・ノイズ、いわゆるハウリング)、あくまでもゆったりとしたメロウなメロディーを歌うというのがシューゲイザーのスタイルだ。

もしこのジャンルを全く知らないという方は、シューゲイズを代表する名盤とされるMy Bloody Valentineの"Loveless"あたりを聴いてもらうと雰囲気がわかると思う。

シューゲイザー自体は、90年代の一過性のムーブメントだったものの、轟音ギターと甘いメロディーの組み合わせには色あせない魅力があり、今も世界中のアーティストたちに大きな影響を与えていて、ポストロックなどの別ジャンルにもシューゲイズ的なサウンドは受け継がれている。

ここらで本題に入ると、インドのインディーミュージックシーンにも、シューゲイズ・バンドはちゃんと存在しているのだ。

Colorblind "Devil on the Neon Porch"


Colorblindは、ニューデリーとプネーを拠点とするアーティストKartik Mishraによるポストロック・プロジェクトで、リリースされたばかりのこの曲では、ムンバイの電子音楽家Cowboy and Sailor Manをヴォーカルに加えて見事なシューゲイズ・サウンドを披露している。
影響を受けたアーティストとしてCureやThe Smithらの名前を挙げており、やはりUKロックがそのルーツにあるようだ。
インドではシューゲイザーのシーンは非常に小さく、これまでのColorblindのYouTubeでの再生回数も100〜300回ほどに過ぎない(これまでの彼のサウンドは、シューゲイズというよりも、アンビエント的なものが多かったのだが)。
というか、インドにシューゲイザー・シーンなんてものはほとんど存在しなくて、一部の好事家が好きなサウンドをかき鳴らしているだけという現状のようだ。
それでも、Colorblindはいくつかの音楽メディアに取り上げられ始めており、今後の活躍が期待されるアーティストとして認識されている。
インドではまだ新しいシューゲイズ・サウンドが、これからどのように受け入れられてゆくのか、非常に興味深い。



Sunflower Tape Machine "Within You"


ファンキーなカッティングにサイケデリックなシンセサウンドの"Sophomore Sweetheart"がRolling Stone India誌によって2021年の年間ベストシングル第2位に選ばれたチェンナイのSunflower Tape Machineだが、昨年5月にリリースしたこの"Within You"では、シューゲイズとしか言いようのないサウンドを披露している。
Sunflower Tape Machineはまだ3曲しかリリースしていないニューカマーだが、もう1曲の"death, colourised"はアンビエント・ノイズ的なサウンドで、ジャンルにはこだわらずに、音の響きを重視して活動するというスタイルのアーティストようだ。
シューゲイザーは、その音響に対する美意識から、電子音楽にも影響を与えたとされているが、インドにもシューゲイズ・ロックから電子音楽までを股にかけるアーティストがいるとは思わなかった。




YSP & Friends "Breath"


ここまで読んで、結局はポストロックとか電子音楽のアーティストがたまにシューゲイザー的な曲をやってるだけじゃないか、と思った方も多いと思うが、そんなことはなくて、常に轟音のギターサウンドを鳴らしているバンドだって、ちゃんといる。
デリー出身のギタリスト、Yatin Srivastava率いるYatin Srivastva Projectと、そこから派生したYSP & Friendsは、自分たちではプログレッシブメタルバンドを名乗っているが、テクニカルで数学的な展開を排したスタイルはかなりシューゲイザーに近いものだと言えるだろう。
面白いところでは、日本語のタイトルの「Ikigai(生きがい)」という曲もリリースしている。



Minaxi "Sehra" 


インド人たちによるシューゲイズ・アーティストはインド国内に止まらない。
ブルックリンを拠点に活動しているMinaxiは、インド人シンガーソングライターShrenik Ganatraが率いるバンド。(あとの2名は白人のアメリカ人)
影響を受けたジャンルとしてサイケデリア、シューゲイズ、ドリームポップからインド、パキスタンの音楽までを挙げており、クリーントーンのギターを使うことも多いが、曲によってはヒンディー語ヴォーカルやタブラの導入なども行っている。
海外のバンドがむしろ積極的にインド的要素の導入を試みているというのがなかなか面白い。



Raat "Ashen"


シューゲイザーというスタイルが他のジャンルに与えた影響は幅広く、マジな悪魔崇拝から生まれた「ヘヴィメタルの極北」ブラックメタルとシューゲイズサウンドが融合した「ブラック・ゲイズ」というジャンルがある。
ロックの中ではセンスの良いジャンルに分類されるシューゲイザーと悪趣味の極みのようなブラックメタルの組み合わせは意外だが、轟音ギターや耽美的かつ退廃的な世界観という点では共通点があり、アンダーグラウンドなジャンルながら、世界中に優れたアーティストが存在している。

このRaatはデリー出身のアーティストで、バンド名の意味は、ヒンディー語で「夜」。
その実態は謎が多く、S.R.なる人物が全パートを演奏しているという以外は不明で、ソーシャルメディアには、プロフィールの代わりに「道なき森に悦びがある。孤独な岸辺に歓喜がある。誰も立ち入ることができない社会がある。深い海のそばに、その轟音の中に音楽がある」という不思議なメッセージが掲げられている。
驚くべきはその多作ぶりで、Raatは2019年のデビュー以来、9枚のEPと2枚のフルアルバムを発表しており、さらにS.R.はLesathという似た音楽性のプロジェクトでも2枚のフルアルバムをリリースしている。
これまでもたびたび触れてきた通り、じつはインドは隠れた「メタル大国」なのだが、こうした非常にアンダーグラウンドな音楽性のアーティストまでも存在しているということに、インドのメタルシーンの奥深さを改めて感じさせられる。


ここまで様々なバンドを紹介してきたが、お聴きいただいて分かる通り、シューゲイザーはイギリス生まれのジャンルではあるものの、今となっては完全に無国籍な音の様式と化しており、インドのバンドだからといって、べつにインドっぽい要素があるわけではない。
しかしながら、インドといえば、ロックや電子音楽と伝統を組み合わせた魅力的なサウンドを多数作り上げている「フュージョン大国」でもある。
シューゲイザーに関しても、例えば轟音ギターにマントラみたいなヴォーカルが乗るとか、ドローン音みたいなフィードバックノイズに乗せてサーランギーのメロディーが舞い踊るとか、タブラ楽器がこまかいリズムを刻む、みたいなサウンドのバンドがいたら最高なのになあ、と思ってしまう(Minaxiがそれに近いことをしている曲もあるが、やや消化不良気味)。
インドで根強いポストロックやアンビエント/エレクトロニカ勢との共演も面白そうだ。
まだまだ発展途上なインドのシューゲイザーだが、深淵なサウンドへのこだわりに関しては大昔から徹底していたインドのアーティストたちが、今後もシーンをさらに面白くしてくれるはずだ。



--------------------------------------
「軽刈田 凡平(かるかった ぼんべい)のアッチャーインディア 読んだり聞いたり考えたり」
更新情報や小ネタはTwitter, Facebookで!
Twitter:
https://twitter.com/Calcutta_Bombay

Facebook:
https://www.facebook.com/軽刈田凡平のアッチャーインディア-読んだり聴いたり考えたり



軽刈田 凡平のプロフィールこちらから

2018年の自選おすすめ記事はこちらからどうぞ! 
2019年の自選おすすめ記事はこちらから
2020年の軽刈田's Top10はこちらから
2021年の軽刈田's Top10はこちらから

ジャンル別記事一覧!





goshimasayama18 at 13:38|PermalinkComments(0)

2022年01月07日

Rolling Stone Indiaが選んだ2021年のベストシングル10曲!


あけましておめでとうございます。
気がつけば2021年も終わり、2022年が始まってしまいましたが、例によって、昨年末、Rolling Stone Indiaによるインドの音楽シーンの年間ベストシングル10曲が発表されたので、今年も紹介してみたいと思います。
前回は、わたくし軽刈田が選出した年間10選をお届けしているので、外国人目線の10選と、インドの都市の若者向けカルチャー誌の10曲を聴き比べてみるのも面白いはず。


いつもながら、Rolling Stone India誌のセレクトは洋楽的な洗練を志向した楽曲が多く、インドの都市の若者文化を牽引するメディアならではのセンスが楽しめます。
それではさっそくチェックしてみましょう!



1. Vasundhara Vee “Run”


ムンバイのR&B/ソウル/ジャズシンガー。
オリジナル曲はまだこの"Run"しかリリースしていないようだが、彼女の実力を示すには、
この一曲で十分だったようだ。
イントロのアカペラの堂々たる歌いっぷりを聴けば、高い評価の理由は簡単に理解できるだろう。
こういうタイプの本格的なジャズやソウルが歌えるシンガーはこれまでインドにいなかった。
決して派手な音楽性ではなく、トレンドを追うようなタイプでも無さそうだが、これから先インド国内や海外でどのような受け入れられ方をしてゆくのだろうか。
例えばエイミー・ワインハウスみたいな「危なっかしい魅力」があれば、大きな注目を集めることもできそうだが、どちらかというと彼女は堅実なタイプのようだ。
いずれにしても、今後非常に気になる存在である。



2. Sunflower Tape Machine “Sophomore Sweetheart”

Sunflower Tape MachineはチェンナイのアーティストAryaman Singhのソロプロジェクト。
基本的には電子音楽アーティストとして活動しつつ、この曲のようにバンドを交えた形態で楽曲をリリースすることもあるようだ。
サイケデリックでレトロな質感のエレクトロニック・ポップは、こちらもまた別の意味でインドらしからぬ音楽性。
ミュージックビデオを見る限り、彼の音楽性と同様に、無国籍的な都会生活をしている人物のようだ。(ビデオの最初の方に、寿司を食べる様子も出てくる)
それにしても、近年インドのインディーミュージックシーンで80年代的な映像をやたらと目にするようになった。
80年代のインドは経済解放政策を取り入れる前で、例えば家庭用ビデオカメラなどは極めて入手しづらい時代だった。
実際は、こうした懐古的な映像で表されるような80年代はインドにはほとんど存在しなかったと言っていい。
だからこそというべきか、持ち得なかった過去への架空のノスタルジーとしての80年代ブームが来ているのかもしれない。
日本でも90年代に、60年代や70年代の洋楽的なサウンドがもてはやされたりしたことがあったが、それと同じような現象とも言えるだろうか。



3. Hanumankind  “Genghis”


ベンガルールのアンダーグラウンド・ラッパーが3位にランクイン。
これまで、日本のアニメを題材にするなど、かなりサブカル寄りなラップをリリースしていたHanumankindが化けた。
(過去のHanumankindについてはこちらから)
ソリッドなビートに、確実に言葉をビートに乗せてゆくラップ。
技巧にも音響にも走らずに、まるで詩人のようにリリックを紡いでゆくその姿勢は、インドの英語ラッパーではかなり珍しい部類に入る。
今年は同郷のSmokey the Ghostも充実した作品を数多くリリースしていた。
これまで、インドのヒップホップシーンはムンバイやデリーのヒンディー語(あるいはパンジャービー語)ラッパーが牽引してきたように思うが、ここに来てベンガルールの英語ラップシーンも燃え上がりつつあるようだ。



4. The Lightyears Explode – “Nostalgia 99”


4位はムンバイのロックバンドThe Lightyear Explode.
かつてはパンク的なアティテュードを感じさせる楽曲が多かったが、ここ最近は明確にレトロ調のダンスポップを意識した曲作りを行っている。
それが単に懐古趣味によるものなのか、ヴェイパーウェイヴのようなある種の批評性を持ったものなのかは今ひとつ分かりづらいが、いずれにしてもこうしたサウンドが今のインドで「クールなもの」として受け入れられているというのは確かなようだ。
この曲も1999年頃を懐かしむ内容の歌詞に反して、サウンドはかなり80's的。



5. Swarathma “Dus Minute Aur”


5位にようやく英語以外のインドの言語で歌う楽曲がランクイン。
Swarathmaはベンガルールのフォークロックバンド。
インドには、自国の伝統音楽と西洋のロックを融合した「フュージョン・ロック」バンドが数多くいるが、彼らがユニークなのは、いわゆる宮廷音楽的な古典音楽ではなく、より土着的な民謡をロックと融合しているところ。
70年代のイギリスのロックで例えると、クラシックの影響を受けたリッチー・ブラックモア(Deep Purple, Rainbow)や、オペラとロックの融合を試みたQueenではなく、イギリスやアイルランドの民謡を現代風に演奏したPentangleやFairport Conventionに近いと言えるかもしれない(と書いても一部のおっさんしか分からないが)。
他の古典音楽系のフュージョンロックバンド(例えばこの記事を参照)と比べると、その歌い回しは実に独特で、正直に言うと、日本人のロックリスナーの耳で聴いて、かっこいいと思えるかどうかは微妙なところだ。
この曲はオリジナル曲で、睡眠の大切さを訴える内容だという。
なんだかますます分からなくなってきたが、Rolling Stone Indiaからの評価は高く、2018年にも彼らのアルバム"Raah e Fakira"がベストアルバムの一枚に選ばれている。
なんにせよ、都会の若者向けの媒体で、欧米風の音楽だけでなく、伝統文化の要素を色濃く残した音楽がきちんと評価されているっていうのは喜ばしいことだと思う。
改めて聴くと、ポストロック的に始まってハードロック的に展開し、美しいハーモニーも入って来るアレンジがなかなかに秀逸。
ちなみに彼らがカバーする伝統音楽はインド各地におよび、ベンガルの大詩人タゴールの曲もカバーしている。



6. Jaden Maskie “Rhythm Of My Heart”


ゴアを拠点に活動するシンガーソングライターによるR&B風味の楽曲。
5位のSwarathmaとはうってかわって、いかにもRolling Stone Indiaが選びそうな曲だ。
キャッチーなメロディーとダンサブルなアレンジはいかにも現代のグローバルなポップミュージックで、ちょっとK-Popっぽくもあるけれどそう聞こえないのは、憂いを帯びた彼の声のせいだろう。
それにしても、こう言ってはなんだが、冴えない理系の大学生みたいな見た目の彼がこんな気の利いたポップスを歌うなんて、インドも変わったものだとつくづく思わされる。



7. Karshni “daddy hates second place”


Karshniはプネーのシンガーソングライター。
ピアノの伴奏で美しく歌う内容は、子どもに期待しすぎるあまり、一位以外は認めなくなってしまっている父親についてとのこと。
今のインドに、英語で歌う弾き語り系のシンガーソングライターは本当に多いが、リスナー層が厚いジャンルではないので、一部を除いてそこまで多くのリスナーを獲得しているとは言い難い状況だ。
だが、彼ら/彼女たちの多くは、商業的な成功よりもアーティストとしての表現を重視しているようで、彼女のように優れた才能も少なからず存在するので見逃せない。



8. Adrian D’souza, Neuman Pinto “Never Let it Go”


ムンバイのドラマーとシンガーソングライターのコラボレーションによる、さわやかなシティポップ風の楽曲。
名前を見る限り、どちらもクリスチャンのようだ。
D'souzaもPintoもインドのクリスチャンに多い姓で、音楽界では、やはりムンバイを拠点にセンスの良い楽曲を作っているNikhil D'souzaというシンガーもいる。
インド洋を望むマリン・ドライブあたりを運転しながら聴いたら最高の気分が味わえるだろう。



9. Albatross "Neptune Murder"


ムンバイのAlbatrossは、かなりドラマティックな構成の楽曲を特徴とするメタルバンド。 
2008年結成というから、インドではなかなか古株のバンドということになる。
プログレッシブ・メタル的な部分もあるが、過剰なテクニカルさはなく、芝居がかったクセの強いヴォーカルの印象が強い。
全体的な雰囲気は、欧米のバンドで言うとデンマーク出身のKing Diamondに似ている。
2021年にこういうサウンドを奏でるバンドも、2021年にこの曲をベスト9に選出するRolling Stone Indiaも、個人的には決して嫌いではない。



10. Krishna.K, AKR "Butterflies"


チェンナイのシンガーソングライターKrishna.KとプロデューサーのAKRのコラボレーション。 
アコースティックで軽やかなサウンドに絡むサイケデリックなシンセが印象的なドリームポップ的な曲。
Rolling Stone Indiaによると、「今なお求められている、そよ風のように心地よいオールドスクールなポップのアレンジによる現実逃避」とのこと。
“A thousand butterflies could fly us away on a chariot of gold through the mystic galaxy.”という歌い出しのフレーズがインド的(神話的)に聞こえるような気がしなくもない。



というわけで、今回はいかにもRolling Stone Indiaっぽい英語ポップスを中心に、インドのインディペンデント・シーンに特徴的な80年代テイストを感じさせる楽曲が目立つ結果となった。
Swarathma以外は、言われなければインドのアーティストだと分からない楽曲ばかりで、いわゆる洋楽ポップス的なセンスの良さが年々進化していることが一目瞭然だ。
Albatross以外は、オシャレな服屋とかカフェでかかっていても違和感なく聴けるレベルに達していると思うが、それは同時にグローバルな市場で圧倒的な差別化ができる個性の欠如ということでもあり、その殻をどこまで破れるかが、今後のインドのアーティストの課題となってくるのかもしれない。
いずれにしても、変わり続けるインドの都市部のカルチャーがリアルに伝わってくる面白い選曲であることは確かで、こうしたインドのステレオタイプから大きく外れた音楽シーンはますます拡大してゆくことになるだろう。



一昨年2020年のRolling Stone Indiaが選んだベストシングル10選はこちら




--------------------------------------
「軽刈田 凡平(かるかった ぼんべい)のアッチャーインディア 読んだり聞いたり考えたり」
更新情報や小ネタはTwitter, Facebookで!
Twitter:
https://twitter.com/Calcutta_Bombay

Facebook:
https://www.facebook.com/軽刈田凡平のアッチャーインディア-読んだり聴いたり考えたり



軽刈田 凡平のプロフィールこちらから

2018年の自選おすすめ記事はこちらからどうぞ! 
2019年の自選おすすめ記事はこちらから
2020年の軽刈田's Top10はこちらから
2021年の軽刈田's Top10はこちらから

ジャンル別記事一覧!
 

goshimasayama18 at 21:35|PermalinkComments(0)