SacredSecrecy
2018年06月09日
アルナーチャルのメタル・ブラザー、Tana Doniの新曲!
まだこのブログが海のものとも山のものともつかなかった頃(今でもそうですが)、いちばん初めにインタビューに答えてくれたインド北東部の最果て、アルナーチャル・プラデーシュ州イタナガルのギタリスト、Tana Doniが在籍するデスメタルバンド、Sacred Secrecyが新曲2曲を発表した。
当時はAlien Godsというバンドのギタリストとしてインタビューに答えてくれたが、現在は自らがギターとヴォーカルを務めるこのSacred Secrecyというバンドでライブを重ねており、Sacred Secrecyのスタジオレコーディング音源としてはどうやらこれが最初のリリースとなる模様。
今回リリースした曲は、"Leech" (見慣れない単語なので調べてみたら、意味は"蛭")と"Shitanagar".
どちらもブルータルでグルーヴィーなデスメタル!
速さやテクニカルに走るバンドが多い中で、このスタイルは逆に新鮮に響くのではないだろうか。
"Shitanagar"
曲はこちらのサイトReverbNationから視聴&無料ダウンロード可能なので、メタルヘッズのみなさんはぜひ聴いてみてください。
"Shitanagar"は、彼のホームタウンのイタナガル(Itanagar)にクソのShitを合わせたタイトルで、無理やり訳せば「クソナガル」か。
辺境の田舎町で暮らさざるを得ない彼の気持ちが歌われており(というか咆哮されており)、以前聞いたところによると、
俺たちはクソの川から水を飲む…
気づかないままクソまみれの穴の中で暮らす…
クソの上で転がっているのに幸せだと思っている連中…
ブタのほうがまだ清潔なくらいだ…
クソナガル…
といった歌詞。
ワタクシからはさすがに行ったこともない街をここまでディスるのは憚られるが、閉鎖的な田舎の小さな街でデスメタルみたいなコアな音楽を演奏する彼の焦燥感やある種の絶望感は想像に難くなく、むしろパンク的なアティテュードの曲だと言える。
厭世的な歌詞を極端に激しいサウンドに乗せることで憂鬱をぶっとばす、というのはパンクロック以降に発明された退屈への特効薬だ。
こういうタイプの(まあ表現はずいぶん過激だが)屈折した故郷への感情は、かえって国や地域を問わない普遍的なものなんじゃないだろうか。
ところで手前味噌でなんだけど、Tanaへのインタビューに至る、インド北東部のメタル事情を巡る一連の記事は結構面白いと思うので、改めてリンクを貼っておきます。
まずはイントロダクション。インド固有?の神話メタル、ヴェーディック・メタルについてはこちらから
インド北東部はもしやメタルが盛んなのでは?という疑惑と推論の記事はこちらから
記念すべき当ブログインタビュー第一弾、Tanaへのインタビューはこちらから
やはりインドの北東部はメタルが盛んみたいだ、という統計と分析はこちらから
忘れた頃に返事が来た、ミゾラム州のメタルブラザーVedantのバンド、Third Sovereignについてはこちらから
Third SovereignのVedantへのインタビューはこちらから
デスメタルばっかりじゃないぜ。シッキム州のハードロックバンド、Girish and the Chroniclesの紹介はこちらから
そのGirishへのインタビューはこちらから
うわ、こんなに書いてたのか。
たぶん、インド北東部のメタル事情に関しては、俺が日本でいちばん詳しいんじゃないかと思うよ。
これからも、こんなもの好きなこのブログをヨロシクお願いします。
当時はAlien Godsというバンドのギタリストとしてインタビューに答えてくれたが、現在は自らがギターとヴォーカルを務めるこのSacred Secrecyというバンドでライブを重ねており、Sacred Secrecyのスタジオレコーディング音源としてはどうやらこれが最初のリリースとなる模様。
今回リリースした曲は、"Leech" (見慣れない単語なので調べてみたら、意味は"蛭")と"Shitanagar".
どちらもブルータルでグルーヴィーなデスメタル!
速さやテクニカルに走るバンドが多い中で、このスタイルは逆に新鮮に響くのではないだろうか。
"Shitanagar"
曲はこちらのサイトReverbNationから視聴&無料ダウンロード可能なので、メタルヘッズのみなさんはぜひ聴いてみてください。
"Shitanagar"は、彼のホームタウンのイタナガル(Itanagar)にクソのShitを合わせたタイトルで、無理やり訳せば「クソナガル」か。
辺境の田舎町で暮らさざるを得ない彼の気持ちが歌われており(というか咆哮されており)、以前聞いたところによると、
俺たちはクソの川から水を飲む…
気づかないままクソまみれの穴の中で暮らす…
クソの上で転がっているのに幸せだと思っている連中…
ブタのほうがまだ清潔なくらいだ…
クソナガル…
といった歌詞。
ワタクシからはさすがに行ったこともない街をここまでディスるのは憚られるが、閉鎖的な田舎の小さな街でデスメタルみたいなコアな音楽を演奏する彼の焦燥感やある種の絶望感は想像に難くなく、むしろパンク的なアティテュードの曲だと言える。
厭世的な歌詞を極端に激しいサウンドに乗せることで憂鬱をぶっとばす、というのはパンクロック以降に発明された退屈への特効薬だ。
こういうタイプの(まあ表現はずいぶん過激だが)屈折した故郷への感情は、かえって国や地域を問わない普遍的なものなんじゃないだろうか。
ところで手前味噌でなんだけど、Tanaへのインタビューに至る、インド北東部のメタル事情を巡る一連の記事は結構面白いと思うので、改めてリンクを貼っておきます。
まずはイントロダクション。インド固有?の神話メタル、ヴェーディック・メタルについてはこちらから
インド北東部はもしやメタルが盛んなのでは?という疑惑と推論の記事はこちらから
記念すべき当ブログインタビュー第一弾、Tanaへのインタビューはこちらから
やはりインドの北東部はメタルが盛んみたいだ、という統計と分析はこちらから
忘れた頃に返事が来た、ミゾラム州のメタルブラザーVedantのバンド、Third Sovereignについてはこちらから
Third SovereignのVedantへのインタビューはこちらから
デスメタルばっかりじゃないぜ。シッキム州のハードロックバンド、Girish and the Chroniclesの紹介はこちらから
そのGirishへのインタビューはこちらから
うわ、こんなに書いてたのか。
たぶん、インド北東部のメタル事情に関しては、俺が日本でいちばん詳しいんじゃないかと思うよ。
これからも、こんなもの好きなこのブログをヨロシクお願いします。
goshimasayama18 at 00:24|Permalink│Comments(0)
2018年02月18日
以前紹介したアーティストの近況
このブログで取り上げたお気に入りのミュージシャンたちの近況をまとめてお知らせです。
トリプラ州のアイデンティティーとポジティブなメッセージを英語でラップするBorkung Hrankhawl(BK)は地元のラッパーやシンガーと共演した新曲をYoutubeにアップ。
共演はポップシンガーのParmita Reang、ロックバンドLadybirdのヴォーカリストのNuai、ポップロックシンガーのAben、ラッパーのZwing Lee。
この曲は州議会選挙の前にトリプラ人の意識を高めるためにジャンルを超えたアーティストが集まって作った作品とのことで、今回もメッセージ色の強い曲になっているようだ。
BKのいつものパートナー、Inaによるロック/EDM色の強いトラックは相変わらずだが、歌の部分がちょっと弱いかな。
共演のZwing LeeはBKと同じような北東部出身者への人種差別反対の主張をラップしているようで、メッセージ色の強い"Mere Geet"のミュージックビデオは一見の価値がある。
同じく英語ラッパーではインドNo.1とも称されることの多いバンガロールのBrodha Vも新曲をYoutubeにアップ。
今回はインド音楽が入ってくるのは最後の方のみで、全体的にEminemっぽいフロウが印象的に仕上がっている。
以前インタビューを行ったアルナーチャル・プラデーシュ州のデスメタルギタリスト、Tanaは、自身のバンドSacred Secrecyのニューアルバムのレコーディングを終えたところとのこと。
現在ミキシング中でリリースは夏頃だそうなので、完成したらまたみなさんに紹介できると思います。
ところで、先日のインタビューの結論として、インド北東部でもデスメタルはやっぱりアングラな音楽だった、という話になっていたけれど、彼のFacebook を見ていたら、非常に気になるものを見つけた。
それがこれ。
Feestival of Arunachalっていう、かなりちゃんとした地元のお祭りっていうか公式行事にタナのデスメタルバンドSacred Secrecyが出演するという。
他の出演者は地元のオーディション番組の優勝者、伝統音楽や映画音楽のシンガー、政治家など。
午後7:40からのわりといい時間に出してもらえるみたいだけど、日本だとこういうイベントに地元のデスメタルバンドが出演ってないよね。
やっぱりインド北東部、デスメタルが市民権を得てるんじゃないだろうか。
と思って本人に確認してみたら、「運営スタッフと知り合いで出演させてもらったんだよ。主催のお役人にはただの地元のロックバンドって言ってあるんだ。連中は演奏するまでどんな音楽か知らないんだよ。いつもこんなふうに騙してるんだけど、オーディエンスには楽しんでもらってるよ。騒音だって思う奴も、俺たちの音楽のパワーを感じてくれてるはずだね」とのこと。
なんだよそれ、最高じゃないか。
トリプラ州のアイデンティティーとポジティブなメッセージを英語でラップするBorkung Hrankhawl(BK)は地元のラッパーやシンガーと共演した新曲をYoutubeにアップ。
共演はポップシンガーのParmita Reang、ロックバンドLadybirdのヴォーカリストのNuai、ポップロックシンガーのAben、ラッパーのZwing Lee。
この曲は州議会選挙の前にトリプラ人の意識を高めるためにジャンルを超えたアーティストが集まって作った作品とのことで、今回もメッセージ色の強い曲になっているようだ。
BKのいつものパートナー、Inaによるロック/EDM色の強いトラックは相変わらずだが、歌の部分がちょっと弱いかな。
共演のZwing LeeはBKと同じような北東部出身者への人種差別反対の主張をラップしているようで、メッセージ色の強い"Mere Geet"のミュージックビデオは一見の価値がある。
同じく英語ラッパーではインドNo.1とも称されることの多いバンガロールのBrodha Vも新曲をYoutubeにアップ。
今回はインド音楽が入ってくるのは最後の方のみで、全体的にEminemっぽいフロウが印象的に仕上がっている。
以前インタビューを行ったアルナーチャル・プラデーシュ州のデスメタルギタリスト、Tanaは、自身のバンドSacred Secrecyのニューアルバムのレコーディングを終えたところとのこと。
現在ミキシング中でリリースは夏頃だそうなので、完成したらまたみなさんに紹介できると思います。
ところで、先日のインタビューの結論として、インド北東部でもデスメタルはやっぱりアングラな音楽だった、という話になっていたけれど、彼のFacebook を見ていたら、非常に気になるものを見つけた。
それがこれ。
Feestival of Arunachalっていう、かなりちゃんとした地元のお祭りっていうか公式行事にタナのデスメタルバンドSacred Secrecyが出演するという。
他の出演者は地元のオーディション番組の優勝者、伝統音楽や映画音楽のシンガー、政治家など。
午後7:40からのわりといい時間に出してもらえるみたいだけど、日本だとこういうイベントに地元のデスメタルバンドが出演ってないよね。
やっぱりインド北東部、デスメタルが市民権を得てるんじゃないだろうか。
と思って本人に確認してみたら、「運営スタッフと知り合いで出演させてもらったんだよ。主催のお役人にはただの地元のロックバンドって言ってあるんだ。連中は演奏するまでどんな音楽か知らないんだよ。いつもこんなふうに騙してるんだけど、オーディエンスには楽しんでもらってるよ。騒音だって思う奴も、俺たちの音楽のパワーを感じてくれてるはずだね」とのこと。
なんだよそれ、最高じゃないか。
goshimasayama18 at 02:27|Permalink│Comments(0)