Fani
2019年06月04日
Big Dealがラップで訴える故郷オディシャ州のサイクロン被害からの復興
5月3日、20年ぶりとなる猛烈な強さのサイクロン'Fani'がインド東岸とバングラデシュを直撃した。
インド東部オディシャ州の政府は事前に各種メディアを通じて120万人以上の人々に避難を指示し、43,000人のボランティアを準備してサイクロンに備えた。
インド東部オディシャ州の政府は事前に各種メディアを通じて120万人以上の人々に避難を指示し、43,000人のボランティアを準備してサイクロンに備えた。
この'Fani'によって、インドでは同州を中心に72名が亡くなったが、10,000人を超える死者・行方不明者を出した1999年のサイクロンと比べると大幅に犠牲者数を減らすことができたのは、事前の準備と対策が功を奏したからだと言えるだろう。
とはいえ、生活基盤が破壊された状況からの再建は容易ではなく、オディシャ州は多くの支援を必要としている。
とくに沿岸部には貧しい漁民が多く暮らしており、住まいや漁船を破壊されたりした者も少なくないようだ。
Big Dealはオディア語(オディシャ州の言語)でラップした最初のラッパーであり、"Mu Heli Odia"(俺はオディシャ人)という曲をリリースしたこともある、名実ともにオディシャを代表するヒップホップアーティストだ。
オディシャのニュースサイトMyCityLinksにBig Dealが語ったところによると、この曲は、過去20年で5つのサイクロンに見舞われたオディシャが、決して打ちのめされず、そのたびに立ち上がってきたことを示すものだという。
この曲は地元言語オディア語ではなく、英語とヒンディー語でラップされているが、インド国内で少しでも多くの人に今回の被災への意識を高めるために、話者数の多い言語を選んだそうだ。
彼は'Fani'襲来の2日後に曲を書き始め、2週間でこの曲を完成させた。
(mycitylinks.in "Big Deal’s “I am Odisha” tells the resilience of disaster-prone State")
いつものように、Big Dealのラップから感じられるのは、ファッション的な暴力性や露悪性ではなく、真摯で誠実なメッセージであり、問いかけである。
自分のコミュニティーをレペゼンし、抑圧された人々の声なき声を代弁し、社会的なメッセージを発信する。ここには、ヒップホップの美徳の全てがある。
過去の大災害と比べて人的被害が少なかったせいか、サイクロン通過後の状況は、海外でも、そしてインド国内でもほとんど報道されていないようなのだ。
'Fani'が過ぎ去ると、インドのニュースは、ほとんど下院選挙一色となってしまった。
しかし、最大風速毎時250キロ、再低気圧937ヘクトパスカルに達した'Fani'の被害は甚大だった。
被害の中心地は州沿岸部のプリー地区、コルダ地区で、12世紀に建築された有名なジャガンナート寺院も被害を受けた。
被災者数は1,700万人弱にのぼり、オディシャ州内の物的損害の推定額は17.4億米ドルに達するという。
'Fani'が過ぎ去ると、インドのニュースは、ほとんど下院選挙一色となってしまった。
しかし、最大風速毎時250キロ、再低気圧937ヘクトパスカルに達した'Fani'の被害は甚大だった。
被害の中心地は州沿岸部のプリー地区、コルダ地区で、12世紀に建築された有名なジャガンナート寺院も被害を受けた。
被災者数は1,700万人弱にのぼり、オディシャ州内の物的損害の推定額は17.4億米ドルに達するという。
'Fani'の被害を受けたインフラ再建のためには、24億6,000万ドルが必要とされている。
甚大な被害にも関わらず、その後の支援が不十分な状況に対して、同州プリー出身の日印ハーフのラッパーBig Dealは、さらなる支援を呼びかける楽曲をYouTubeで公開した。
"I am Odisha".
豊かな自然のもとで暮らすオディシャの人々にとって、日本同様に自然災害の脅威は避けられないものだ。
甚大な被害にも関わらず、その後の支援が不十分な状況に対して、同州プリー出身の日印ハーフのラッパーBig Dealは、さらなる支援を呼びかける楽曲をYouTubeで公開した。
"I am Odisha".
豊かな自然のもとで暮らすオディシャの人々にとって、日本同様に自然災害の脅威は避けられないものだ。
1999年に続き、2013年の'Phailin'、さらには今年の'Fani'と、オディシャ州は度重なるサイクロンの被害に見舞われており、そのたびに住民たちはそこから立ち直ってきた。
このビデオにも出てくるように、過去の被災経験から、オディシャ州には数多くの避難施設(シェルター)が建設され、今回の'Fani'上陸の際には、適切な避難行動によって人的被害を最小限にとどめることができた。
このビデオにも出てくるように、過去の被災経験から、オディシャ州には数多くの避難施設(シェルター)が建設され、今回の'Fani'上陸の際には、適切な避難行動によって人的被害を最小限にとどめることができた。
とはいえ、生活基盤が破壊された状況からの再建は容易ではなく、オディシャ州は多くの支援を必要としている。
とくに沿岸部には貧しい漁民が多く暮らしており、住まいや漁船を破壊されたりした者も少なくないようだ。
私も20年ほど前にプリーを訪れたことがあるが、海岸沿いに掘っ立て小屋のような漁民の住居がひしめきあうように建てられていたのを覚えている。
もし彼らの生活が20年で大幅に改善していなければ、彼らが生命以外のほぼ全てを失ってしまったであろうことは想像に難くない。
Big Dealはオディア語(オディシャ州の言語)でラップした最初のラッパーであり、"Mu Heli Odia"(俺はオディシャ人)という曲をリリースしたこともある、名実ともにオディシャを代表するヒップホップアーティストだ。
日印ハーフの彼は、少年時代には、顔立ちの違いからいじめを受けたこともあったそうだが、それでもオディシャ州をレペゼンするアーティストになり、活動拠点を南部の大都市バンガロールに移した今も、オディシャ人であることを誇る楽曲をリリースしている。
このビデオでは、自身のラップスキルと報道の映像、そして美しいオディシャの自然や文化を織り交ぜながら、報道が途絶えた今も苦しんでいる被災者に代わって支援を訴えている。
このビデオでは、自身のラップスキルと報道の映像、そして美しいオディシャの自然や文化を織り交ぜながら、報道が途絶えた今も苦しんでいる被災者に代わって支援を訴えている。
オディシャのニュースサイトMyCityLinksにBig Dealが語ったところによると、この曲は、過去20年で5つのサイクロンに見舞われたオディシャが、決して打ちのめされず、そのたびに立ち上がってきたことを示すものだという。
この曲は地元言語オディア語ではなく、英語とヒンディー語でラップされているが、インド国内で少しでも多くの人に今回の被災への意識を高めるために、話者数の多い言語を選んだそうだ。
彼は'Fani'襲来の2日後に曲を書き始め、2週間でこの曲を完成させた。
(mycitylinks.in "Big Deal’s “I am Odisha” tells the resilience of disaster-prone State")
いつものように、Big Dealのラップから感じられるのは、ファッション的な暴力性や露悪性ではなく、真摯で誠実なメッセージであり、問いかけである。
自分のコミュニティーをレペゼンし、抑圧された人々の声なき声を代弁し、社会的なメッセージを発信する。
'Fani'の被害を受ける前の美しいオディシャを取り戻すためにも、彼のこの活動をシェアしたいと思う。
Big Dealによる世界初のオディア語ラップ、"Mu Heli Odia"で、この土地の美しさを改めてご覧いただきたい。
過去のBig Dealに関する記事はこちらから。
「レペゼンオディシャ、レペゼン福井、日印ハーフのラッパー Big Deal」
「律儀なBig Deal」(インタビュー)
「インド独立記念日にラップを聴きながら考える」(彼が独立記念日に寄せて作った曲について)
「"Gully Boy"と『あまねき旋律』をつなぐヒップホップ・アーティストたち」(彼がインド北東部への差別について作ったプロテストラップについて)
"I am Odisha"の動画の最後に出てくる州政府首相による基金のウェブサイト(cmrfodisha.gov.in)では、日本からの支援は難しいようなので、日本で支援を受けつけている団体を紹介する。
「NPO法人JAPAN INDIA CLUB」という、プリー在住のロックドラマーの宮原"ナチョス"剛さんが代表を務める団体だ。
同団体は2014年からプリーで日本とインドのミュージシャンによる音楽フェス「オディシャジャパンフェスティバル」を開いており、日本からはモーモールルギャバンなどのバンドが出演している。
現地プリーに拠点のあるこの団体が、緊急支援プロジェクトを立ち上げており、詳細は以下のリンクから確認できる。
サイクロンへの支援についてはこちらから:
JAPAN INDIA CLUB 【緊急】『インドオディシャ州プリー2019サイクロン災害救援プロジェクト』
JAPAN INDIA CLUBについてはこちらから:
JAPAN INDIA CLUBとは?活動理念
団体のウェブサイトからのメッセージを引用して紹介します。
(引用以上)
JAPAN INDIA CLUBが行なっているODISHA JAPAN FESTIVALの様子はこちら!
JAPAN INDIA CLUBでは、来年もプリーのペンタコタ地区でこのフェスティバルの開催を考えているとのことで、そのためにも1日もはやく現地の生活が健やかになるよう願っているというメッセージをいただいた。
Let's help rebuild Odisha!
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凡平自選の2018年度のおすすめ記事はこちらからどうぞ!
Big Dealによる世界初のオディア語ラップ、"Mu Heli Odia"で、この土地の美しさを改めてご覧いただきたい。
過去のBig Dealに関する記事はこちらから。
「レペゼンオディシャ、レペゼン福井、日印ハーフのラッパー Big Deal」
「律儀なBig Deal」(インタビュー)
「インド独立記念日にラップを聴きながら考える」(彼が独立記念日に寄せて作った曲について)
「"Gully Boy"と『あまねき旋律』をつなぐヒップホップ・アーティストたち」(彼がインド北東部への差別について作ったプロテストラップについて)
"I am Odisha"の動画の最後に出てくる州政府首相による基金のウェブサイト(cmrfodisha.gov.in)では、日本からの支援は難しいようなので、日本で支援を受けつけている団体を紹介する。
「NPO法人JAPAN INDIA CLUB」という、プリー在住のロックドラマーの宮原"ナチョス"剛さんが代表を務める団体だ。
同団体は2014年からプリーで日本とインドのミュージシャンによる音楽フェス「オディシャジャパンフェスティバル」を開いており、日本からはモーモールルギャバンなどのバンドが出演している。
現地プリーに拠点のあるこの団体が、緊急支援プロジェクトを立ち上げており、詳細は以下のリンクから確認できる。
サイクロンへの支援についてはこちらから:
JAPAN INDIA CLUB 【緊急】『インドオディシャ州プリー2019サイクロン災害救援プロジェクト』
JAPAN INDIA CLUBについてはこちらから:
JAPAN INDIA CLUBとは?活動理念
団体のウェブサイトからのメッセージを引用して紹介します。
【緊急】
救援金の受付を開始いたします。
5月3日プリーを襲った巨大サイクロンによる災害について
2019年5月3日、インド東部オディッシャ州プリーに巨大サイクロン「Fani -ファニ-」が上陸しました。
「ファニ」の勢力はプリー至上最大級のサイクロンで、現在も120万人以上が避難生活を送っていると報道があります。
想像を絶する暴風雨が人々や家を襲い、停電、断水、通信手段断絶等の甚大な被害をもたらしています。
現在はインド政府の対応や近隣の週からのサポートもあり少しずつ、復旧に向かってはおりますが、
依然として猛暑等も重なり、この過酷な状況は続いています。
今現在、我々が把握している現地からの被災情報は
「プリーの学校、民家、商店、ホテル等の崩壊」
「ライフライン断絶、復旧の見通しがたたない」
「多くの方が避難している」
「漁村の船も家屋もすべてなくなり、漁村が村ごとなくなったこと」
そして、甚大な被災に遭われた現地では
人々が協力し合い、過酷な状況下で復興を目指し、
「前向きにがんばっている」
ということです。
しかし連絡手段が限られている中、実際の被災状況などが少しづつ明らかになってきてはいますが、最新の被災情報を入手することは困難を極めています。
この甚大な被害に一刻も早く対応をするために、
日本国内での救援金の募金による支援のお願いを開始することと致しました。
この度のみなさまからお寄せいただきました救援金は、
当NPO法人が責任を持ち、2019サイクロン災害救援金として、
被災した方々への支援活動及び復興活動のために使用させて頂くことをお約束致します。
(引用以上)
JAPAN INDIA CLUBが行なっているODISHA JAPAN FESTIVALの様子はこちら!
JAPAN INDIA CLUBでは、来年もプリーのペンタコタ地区でこのフェスティバルの開催を考えているとのことで、そのためにも1日もはやく現地の生活が健やかになるよう願っているというメッセージをいただいた。
Let's help rebuild Odisha!
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goshimasayama18 at 23:24|Permalink│Comments(0)