メタル
2019年01月05日
インドのインディーズシーンの歴史その10 インダストリアル・メタルバンド Pentagram
久しぶりの今回は記念すべき10回目!
今回紹介するのは、1994年にムンバイで結成されたバンド、Pentagram.
このリストに入っているのは1996年に発表したデビューアルバム'We Are Not Listening'からの楽曲'Ignorant One'だけど、あいにくスタジオ音源が見つからず、楽曲的にもなんかイマイチだったので、ここは独断で同じアルバムから'The Price Of Bullets'をお送りさせていただきます!
Pentagramはヘヴィロックにエレクトロ/インダストリアル的なアプローチも取り入れたバンドで、Wikipediaによると初期にはSeal、Depeche Mode、Prodigyなどのカバーをしたこともあったという。
この曲では、大胆にラップが導入されており、中間部の古典音楽風のパートもなかなかうまく組み込まれている。
90年代のインドのロック事情を考えると、1996年にこの音楽性は「かなり早い」と言える。
当時からちゃんとファンがいたのか心配になるくらいだ。
より大々的にエレクトロ・ロックを取り入れたのは2002年に発表した2枚目のアルバム'Up'からで、2005年にはイギリスのグラストンベリー・ミュージック・フェスティバルにインドのバンドとしては初の出演を果たすなど、2000年代に入ってからはさらに活躍の幅を広げた。
2006年のアルバム'It's Ok, It's All Good'から、かなりエレクトロ色が強い、'Electric'
同じアルバムから、さらにポップなメロディーの'Voice'
2011年のアルバム'Bloodywood'から、ムンバイの有名なお祭り、Ganesh Visarjanで撮影された'Tomorrow's Decided'.
世界的な視点で見たら、とくに新しいことをやっているわけではないかもしれないが、彼らもまたインドのインディー音楽史のなかではインダストリアル・メタルのパイオニアということになる。
それにしても、ここまでインド側(在外インド系アーティストではなく)の紹介してきたミュージシャンはほぼ例外なくヘヴィーロック系。
音楽途上国にさまざまな音楽文化が流入するとき、まずいちばん始めにメタルが入ってくるという話があるが、インドのインディーシーンもそんなふうに発展していったのだと思うとなかなかに感慨深いものがある。
次回の「インドのインディーズシーンの歴史」はまた在外インド系アーティストを紹介します!
それでは、また!
凡平自選の2018年度のおすすめ記事はこちらからどうぞ!
2018年01月28日
デスメタルバンドから返事が来た!Alien Godsのギタリストが語るインド北東部の音楽シーン
こないだのブログで、インド北東部7州「セブン・シスターズ」にどうやら多くのデスメタルバンドがいるらしい、ということを取り上げた。
インドの中でも辺境とされ、自然豊かなこの地域で、どうしてそんなに激しい音楽が流行っているのか。
探ってみるためにいくつかのバンドにメッセージを送ってみたところ、Top 10 Indian Death Metal Bandで第9位の、アルナーチャル・プラデーシュ州イーターナガル出身のAlien Godsからさっそく返事が来た!
メッセージをくれたのはギタリストのTana Doni.
「俺たちに興味を持ってくれてありがとう。どんな方法でも喜んで協力するよ」
と、なんかいい奴っぽい。
ではさっそく、インタビューの様子をお届けします。
凡「まず最初に、Youtubeやなんかを見ていて、インド北東部にたくさんのメタルバンドがいることに驚いたんだけど」
Tana「アルナーチャルには他にもいいバンドがたくさんいるよ。よかったら紹介するよ」
と教えてくれたバンドは、
プログレッシブ・ブラックメタルとのふれこみのLunatic Fringe
マスロックバンドのSky Level.
現代的なヘヴィーロックで、なかなか面白いギターを弾いている。
ロック系ギターインストのAttam. 彼は近々アルバムを出すという。
凡「イーターナガルとかアルナーチャル・プラデーシュ州のメタルシーンについて教えてくれる?」
Tana「正直言って、シーンはアンダーグラウンドなものだよ。北東部にはいろんなジャンルが好きな人がいるから。でもマニプル州は他の北東部の州よりシーンが発展しているかな」
凡「どんなところで演奏してるの?」
Tana「Govermental hall(公民館のようなところか)とか、Community Ground(屋外の公共の場所か)とか」
なんと。田舎ながらもシーンがあって、愛好家が集うライブハウスみたいなものがあるのかと思ったら、本当に好きな人たちがなんとか場所を借りて続けている状況のようだ。
凡「Alien Godsはブルータルなサウンドが印象的だけど、どんなバンドに影響を受けたの?」
Tana「実は俺は3枚目のアルバムができてから加入したから、よく分からないんだよね。今のメンバーでオリジナルメンバーはボーカルだけなんだ」
またしてもびっくり。でもそれって代わりになるレベルのプレイヤーが身近にいるってことだよね。アングラとはいえそれなりにプレイヤー人口はいる様子。
凡「じゃあ、あなた自身はどう?いつ、どんなふうにこういう音楽と出会ったの?」
Tana「最初はパンクロッカーだった。2007年、高校生の頃のことさ。Blink182やSum41が好きだった。それからハードコア・パンクに興味を持つようになったんだ」
凡「へえー!でもインドってあんまりパンクが盛んじゃないように思うけど」
Tana「インドにもいい感じのアンダーグラウンドのパンクシーンがある。”The Lightyears Explode”はチェックすべきだよ。彼らとは地元のフェスで共演したんだ」
The Lightyears Explodeはこんなバンド。
ポップなサウンドに内向的な歌詞。なかなかいいじゃないですか。
インドだと、メタルバンドはだいたいがとことんヘヴィーなデスメタル系なのに、パンクになるとポップになる傾向があるのかな。
凡「じゃあ、ポップ・パンクからハードコア・パンク、そこからデスメタルって感じなんだね」
Tana「デスメタルの前はブラックメタルだったよ。これが俺の最初のバンドなんだ」
ギターがメロディアスで、日本のメタル好きにも人気が出そうなサウンドだ。
Tana「それからAlien Godsに加入して、今ではSacred Sacrecyっていうバンドもやっている」
Sacred Secrecyはよりブルータルかつテクニカルな感じのバンドのようだ。
凡「好きなバンドとか、好きなギタリストは?」
Tana「いくつか挙げるなら、Cradle of Filth, Dimmu Borgir, Cannibal Corpse, Cryptopsy, Cattle Description, Strapping Young Ladかな」
凡「どれもデスメタルとかブラックメタルの大御所だね。実は僕、Strapping Young Ladのデヴィン(ヴォーカル/ギター。Steve VaiのSex & Religionというアルバムでヴォーカリストを務めた)はヴァイと一緒のツアーで見たことがあるよ」
Tana「へえ!それはすごくラッキーだね!俺、Strapping Young Ladのコンサートを見るためだったら何でもするよ。彼はまさにレジェンドだね。ところで、マキシマム・ザ・ホルモンってバンドは知ってる?」
凡「もちろん、日本のバンドだよね。日本じゃヘヴィーな音楽はアンダーグラウンドだけど、彼らはすごく人気があるよ」
Tana「だろうね。だからこそ俺が住む北東インドまで彼らの音楽が届いてるんだと思う。彼らのスタイルは好きなんだ。すごく興味をそそるよ。いくつか日本のバンドでお勧めを教えてくれたらうれしいんだけど」
さて、困った。最近のこの手のジャンルは全然知らない。
凡「日本じゃメタルだともっとメロディアスなやつが人気なんだよ。X Japanとか、知ってる?」
Tana「うん。ってか知らない奴いる?」
あ、そうなの。日本の皆さん、インド北東部でもXは有名です。
彼にいくつか日本のバンドを教えてあげる。タナはかなりコアなメタルファンのようで、たとえば日本の老舗ブラックメタルバンドのSighも聴いたことがあると言っていた。
凡「それじゃあ、最後の質問。ミュージシャンとしての夢を教えてくれる?」
Tana「ワールドツアーだよ。俺はステージプレイヤーなんだ。スタジオに座ってるより、ツアーをしていたい」
凡「ありがとう。いつか日本でライブが見られたらうれしいな。またニュースがあったらぜひ教えて」
と、かいつまんで書くとこんな感じのインタビューだった。
インタビューを終えて、いくつかのことについて分かったし、いくつかのことについて反省もした。
まず分かったのは、セブン・シスターズ諸州では、けっしてデスメタルが盛んなわけではなく、世界中の他のあらゆる地域と同じように、メタルはアングラな音楽で、でも根強いファンがいるということ。
それから、ポップなパンクからハードコア・パンクに進み、そこからだんだんよりヘヴィーでテクニカルな音楽が好きになっていったという彼の音楽キャリアは、日本でも欧米でも、世界中のどこにでもあり得るようなものだということ。
反省したというのは、自分の中のどこかに、こんなに辺鄙なところで(失礼)デスメタルをやってるなんて、なにかすごく面白い秘密があるんじゃないだろうか、と無意識に思ってたということだ。
そもそもデスメタルのミュージシャンにインタビューすること自体初めてだったけど、彼とやり取りをしていて、アルナーチャル・プラデーシュという、自分が全く行ったことがない場所の人と話しているという気が全然しなかった。
っていうか、まるでこの手の音楽が好きな日本の後輩と話しているような気さえした。
インターネットで世界中が繋がったこのご時世、ネットがつながる環境さえあれば、世界中のどこにでも、同じようなものに惹かれる人たちがいる。
流行っているポップミュージックは国によって違っても、コアな音楽には国境はない。彼と話をしていて、改めてそう認識した。
また、以前書いたように、インド北東部の人々は、インドのマジョリティーと文化的なバックグラウンドを共有しないがゆえに、よりダイレクトに欧米のカルチャーの影響を受けるのだろう。おそらくはそれがこの地域でデスメタルが盛んなように見える理由だ。
それから、「Strapping Young Ladのライブを見るためだったら何でもするよ」という彼の言葉と、ライブハウスが無いから公民館みたいな施設を借りてライブをやっているということにも、なんというかこう、ぐっと来た。
セブン・シスターズ出身の別のデスメタルバンドが、デリーでライブをやったときのインタビューでこんなふうに答えていた。
(地元でのライブとデリーでのライブの違いはどう?という質問に対して)「地元じゃ誰もヘッドバンギングなんかしないで、みんな座ってじっと見ているんだ。こっちだと音楽に合わせて体を動かしてくれて、デリーのほうがずっといいよ」
おそらく彼らは本当にこういう音楽が好きで、観客が盛り上がってくれなくても、演奏をすること自体の喜びを糧にして演奏を続けているのだろう。
もちろん自分だって、こういうブログをやるくらいだから、音楽は好きなつもりだ。でも「彼らのライブを見るためだったら何でもする」とまで言えるほど好きなミュージシャンがいるだろうか。
ミュージシャン目線で見ても、日本にはいくらでも演奏する場所がある。もし無かったら、自分たちでどこか場所を借りてまで演奏したい、自分たちでシーンを作りたい、自分たちのやっている音楽が理解されなくても、ずっと演奏を続けていたい、そこまで思っているバンドマンが日本にどれくらいいるだろう。
「ぼくが今生きてるのが世界の片隅なのか どこを探したってそんなところはない」と歌ったのはブルーハーツだったが、まさしくその通り。
音楽の世界に中心も片隅もなく、あるのは演奏する人、聴く人の心だけだ。セブン・シスターズのメタルバンドたちは、間違いなくヘヴィーミュージックのど真ん中で演奏を続けている。
Alien GodsのフロントマンSaidはこう語る。
「俺たちはただ音楽が好きなだけなんだ。俺たちは名誉や金のために音楽をやっているわけじゃない。すぐれた音楽を演奏する喜びを感じたくてやっているんだ…」
彼らの音楽が好みじゃないって人たちも、この言葉には感じるところがあるんじゃないかな。
2018年01月21日
神話炸裂!インドのペイガン・メタル!
こんにちは、伊藤政則です(ウソ)。
先日、映画「バーフバリ」についての記事で、神話的なものがインド人の感性に深く根ざしているのではないか、ってな話を書いたのだけど、今回はそれに関連して一席。
インドの若者って実は結構メタル好き率が高いのではないかと思っていて、以前紹介したRolling Stone India誌が選ぶ2017年ベストアルバム10選とか、ベストミュージックビデオ10選の中にも、今どきしれっとゴリゴリのデスメタルやスラッシュが選ばれるくらい。
というわけで、今回紹介するのはインドのペイガン・メタル!
とは言ってみたものの、みなさん、ペイガン・メタルって言葉はご存知ですか?
知らねえよなあ。
知らなくて普通です。
ヘヴィ・メタルという音楽は、その創生期から反キリスト教的、悪魔主義的なイメージを打ち出していたのは周知の通り。Black Sabbathとかね。
でもそれって、おそらく当初は反社会的、アンチモラルな感じで、かつ不気味でやばい感じのイメージ作りだったと思うんですよ(単なる悪趣味という気もしないでもない)。
ところがだんだん、本気で悪魔崇拝をし始めて、ビバ悪魔!地獄最高!ってな音楽を作る奴らが出てきた。
いわゆるブラック・メタルというやつですな。
屍体を模した白塗りのメイクをして(コープス・ペイントという)、トゲトゲのいっぱいついた黒い服を着て「地獄からやってきた悪魔だぜ!ギャー!」ってな歌を歌う。
ひどい連中になると、悪魔主義の思想を行動に移して教会に放火したり、殺人を犯したりする奴も出てくる。何て奴らだ。
ところが、そのうち彼らは気づいたんでしょうな。
「あれ?悪魔って、キリスト教の中の概念じゃん。アンチ=キリストって言ってるのに、キリスト教が考え出した概念を歌ってるのっておかしくね?」と。
そこで彼ら(註:ブラック・メタルの本場、北欧のバンド達のことです)は考えた。
「キリスト教の考えた概念である悪魔について歌うんじゃなくて、キリスト教伝来以前の俺たちの独自の文化や信仰をメタルにしよう!これこそが真の反権威、反宗教だ!」と。
こういう思想の音楽をペイガン・メタルという。
同じような発想でできたジャンルにヴァイキング・メタルというのもあって、もちろん食べ放題のことを歌詞にしているのではなく、俺たちの古代の英雄たる海の覇者をメタルにしようって寸法だ。
で、インド。
北欧で「独自の文化」をブラック・メタル、デス・メタル的サウンドに乗せた連中がいたのと同じように、インドでも独自の文化、具体的には神話的ヒンドゥー世界をメタルにしたバンドっていうのがいる。
彼らはVedic Metalというジャンルで呼ばれていて、VedicというのはVedaの形容詞。世界史で習ったリグ・ヴェーダとかのヴェーダだ。
Vedic Metalというのはインドの古典である神話、伝承、哲学なんかをテーマにしたバンドということ。
前置きが長くなりました。まずはこちらをお聴きください、Rudraで” Hymns from the Blazing Chariot”
「オーム!」のマントラとタブラのイントロから、怒涛のメタル・サウンドに!
どうやらインドの超大作古典文学「マハー・バーラタ」をテーマにした曲の模様。
このビデオ、バーフバリみたいなドラマ部分もイカす。
考えてみれば、神々の戦いを描いたヒロイックな神話はヘヴィーメタルの題材にぴったりだよなあ。
ちなみにRudraというのはインド神話に出てくる暴風神とのこと。
Wikipediaによると、なになに、「『リグ・ヴェーダ』の中では彼はアスラとも呼ばれ、アスラ神族が悪魔とされる時代以前の名残りをとどめている。」
おおっ!インドのペイガン・メタルにぴったりのバンド名じゃないか!
続いての曲。The Down Troddence で、その名も”Shiva”
彼らは”Folk Metal”として紹介されることも多いようで、フォークっていっても南こうせつとかさだまさしじゃなくて、民間伝承メタルという意味だろう。
続いてDevoidの”Brahma Weapon”
「神の武器」とでも訳したら良いのかな。
だんだんおなかいっぱいになってきたので、次で最後!
Bhairav で”Kaal ratri”
いつ歌が始まるのかと思っていたらなんとインストだった。2分30秒くらいからの展開が結構すごい。
さて、欧米のペイガン・メタルバンドが宗教的権威たるキリスト教への反発から悪魔主義、ペイガニズムに傾いていったのは最初の方に書いた通り。
それじゃあインドのVedic Metalはどういうところから出てきたのか。
インドの最近の小説なんかだと、欧米文化に憧れつつも、物質主義的、功利主義的な考え方に反発する若者の気持ちというのが描かれていて、欧米で生まれたエクストリームミュージックにヒンドゥーの神話という組み合わせは、そういう西洋へのアンビバレンツな感情というところから出てきたものなんじゃないだろうか。
西洋から生まれた音楽のある種の究極と言えるデスメタル的なサウンドに乗せて、自分たちの文化的・宗教的なルーツを誇らしげ歌うというのは、矛盾と言えば矛盾だけどなんだかとっても面白い。
単に手近にあるものでこういうサウンドにふさわしいモチーフがヒンドゥー神話だったってだけかもしれないけれど。
本日の各バンド、改めて紹介します。
Rudraはインドではなくシンガポールのインド系のバンドで1992年結成。
あ!いきなりインド本国のバンドじゃなかった!インド系ではあるけど…。それにかなりの歴史があるバンドでした。
かなり早い段階からこの音楽性を導入していたようで、幾度かのメンバーチェンジの末、現在はKathir – Vocals&Bass、Shiva – Drums、Simon – Guitars、Vinod – Guitarsのメンバーで活動している。
メタルとインド舞踊の融合といったかなーり斬新な試みもしているようだ。
The Down Troddenceは2009年結成のケララ州のバンド。
このバンドには名前を見るとムスリムのメンバーも在籍しているみたいだ。
ヒンドゥー的なテーマを扱っていても反イスラム的な思想というのはないみたいで、そう考えるとインドの音楽シーンというのは本当に健全。
この”Shiva”のビデオはIndiGo South Asian Music Awardsのベストミュージックビデオ賞を受賞したとのこと。
反体制、宗教、戦争をテーマにしたデス/スラッシュ・メタルバンドらしいが詳しくは不明でした。
Bhairavは2009年にデリーで結成されたバンドで、シヴァ神への絶対的な帰依を拠り所にしているという。
音楽的には80年代のスラッシュメタルに影響を受けているようだ。
日本に縄文メタルとか無いし、アメリカにもインディアンメタル(あれ?インドのメタルになっちゃったけど)というのは無い(知る限りでは)。
「メタル」というすでにそれ自体が強烈な個性を放つジャンルすらも自らの伝統的世界観に取り込んでしまうインド。さすが、懐が深いなあ。
と思ったら、モンゴルのメタルバンドというのも凄かった!
https://gakkimania.jp/freak/1174
いやはや世界は広いっすな。
追記:Vedic Metalのジャンルに括られるバンドとして、チェコのCult of Fire、ウクライナのAryadevaといった東欧のバンドもいる。
面白いところでは、ロシアのバンドでKartikeya というのがいて、彼らはインドの古典声楽(マントラみたいなもの?)と共演した楽曲なんかも発表している。"Kannada - Munjaaneddu Kumbaaranna"という曲。
なんかもう独特の世界だ(このバンド、普段は普通のデス声で歌っている)。間奏のギターソロは筋肉少女帯の橘高みたいだし。
なぜ非インド人である彼らがVedic Metalを標榜しているのかは不明だが、おそらくはインド-ヨーロッパをつなぐアーリア人主義的なものがあるのではないかと思われる。この考えを突き詰めるとナチズムに行き着くわけで(実際にブラック・メタルバンドには親ナチを表明しているバンドもいる)、Vedic Metalにはこういった危険な側面もあることも頭に入れておきたい。
入れておいてどうする、とも思うけど。