2018年04月08日
本格的レゲエバンド!その名もReggae Rajahs!
インドのロックやヒップホップを中心に紹介してきたこのブログだけど、そういえばレゲエについては今まで全然触れてこなかった。
ではインドにレゲエミュージシャンがいないのかというとそんなことはなくて、シーンは小さいながらも素晴らしいバンドがちゃんといます。
今回紹介するReggae Rajahsはまさにそうしたバンドの一つ。
Rajaはインドの諸言語で「王様」を意味する言葉。
そこにジャマイカンが信奉するラスタファリアニズムのJah(神・救世主)をミックスしたインドのレゲエバンドにぴったりの名前だ。
ラスタファリアニズムは、主にジャマイカの黒人たちに信奉されている思想で、ものすごくおおざっぱに言うと、堕落した物質主義社会から脱し、心の豊かさを求めてアフリカに回帰することを求める運動ということになる。
今回紹介するReggae Rajahsは、歌詞を見るとそうしたラスタファリアニズムに強く傾倒しているというわけでもなさそうだが、サウンドの面ではかなり本格的なレゲエサウンドを聴かせてくれている。
さっそく1曲聴いてみてください。
"Dancing Mood"
どうです。音楽にもビデオにもインド要素ゼロのゴキゲンなロックステディサウンドでしょう。
あとこのバンドはメロディーセンスが良い!
レゲエ好きじゃなくても、普遍的に良いと思えるキャッチーさじゃないでしょうか。
Reggae RajahsのメンバーはヴォーカルとMCのGeneral Zooz(a.k.a. Mr. Herbalist)とDiggy Dang、DJのMoCityの3人に、2013年に加わったDJと映像を担当するZiggy The Blunt、いろいろ調べたけど今ひとつ役割が分からない(ごめんよ)BeLightsの5人組。
オフィシャルサイトでは、インドで最初のレゲエサウンドシステムを自称している。
ここでもう1曲ゴキゲンなやつを。First Time.
あいかわらず気持ちのいいレゲエサウンドに、坂本九の「明日があるさ」のような一目惚れの恋をテーマにした青春ナンバーだ。
「どうか俺のFacebookリクエストを受け入れてくれ」みたいな現代風ながらも初々しい歌詞が甘酸っぱくて良い。インドの小説や映画やなんかを見ると、垢抜けている今風の若者でも恋愛には結構奥手だったりして、そういうところがインド人のまあかわいいところだ。
Reggae Rajahsは2009年にデリーで結成された。
それぞれイギリス、アメリカ帰りのGeneral ZoozとDiggy Dang、イラク生まれでデリー育ちのDJ MoCityが、デリーで行われたボブ・マーリィのバースデー記念イベントで出会ったことがきっかけになったようだ。
インドではまだまだ数少ないレゲエファンが「え?君もこういうの好きなの?」って感じで出会ったのだろう。
インドではまだマイナーなジャンルに海外で触れた在外インド人が、帰国とともにそのジャンルのインドでのパイオニアになるというのは他のジャンルでもよく見られるパターンで、21世紀に入ってもまだまだ黎明期だったインドのミュージックシーンを象徴するエピソードだと言える。
General Zoozの名前は、このブログで以前紹介したSu Realの"Soldiers"という曲のレゲエパートで本格的なラガヴォイスを披露していたことで覚えている人もいるかもしれない(いないか。面白い曲なのでぜひリンクを辿ってみて)。
DJ MoCityの本名はモハメド・アブーディ・ウライビ。
名前とイラク出身ということからも分かるようにムスリムなのだろうが、他のメンバーの本名を見るとヒンドゥー系の名前で、彼らは多国籍、多宗教のメンバーがレゲエという音楽への愛情で結ばれたバンドと言えるだろう。
彼らは自分たちのバンドでの活動のみならず、Goa Sunsplashというイベントを主催したり、MoCityがboxout fmというネットラジオ曲を運営したりするなど、インド全体のレゲエを中心とした音楽カルチャーの振興にも力を入れているようだ。
いったいどこにそんな資金が?と思わなくもないが、彼らの経歴から想像するに「家がお金持ち」ってことなのかもしれない。
彼らの曲の中でも、個人的にとても気に入っている曲。So Nice.
ちょっとメロウで最高にピースフルなヴァイブの曲で、海沿いの道をドライブしながら聴いたら気持ち良いだろうなあ。
中間部の「Irie!」っていうコール&レスポンスのところ、ぜひライブで一緒にやってみたい。
彼らはニューデリーでのSnoop Dogのオープニングアクトを務めたり、Dub Inc(フランス)、Million Stylez(スウェーデン)、Ziggi Recado(オランダ)、Appache Indian(インド系イギリス人)、Dreadsquad(ポーランド)といった世界中のレゲエアクトと共演したり、ポーランド、ブラジル、フィリピンをツアーする等、国境を越えた活動をしている。
彼らのバイオグラフィーを見てみると、初期にはゴアやマナリといった西洋人ヒッピーが多い都市での活動が多かったようで、インドのアーティストにしては珍しく、コアなジャンルとはいえ非常にインターナショナルな受け入れられ方をしていると言える。
続いては大麻礼賛の曲"Pass the Lighter".
合法化せよ!(legalize!)というピーター・トッシュのようなアジテーションが印象的な1曲。
インド文化(一部のヒンドゥー文化)とレゲエカルチャーの共通点をあえて探すとすれば、大麻がポジティブなものとして捉えられていることと、菜食主義が尊いものとされていることが挙げられるだろうか。
実際、彼らもインタビューでインドのレゲエシーンにおけるラスタファリアニズムの重要性について聞かれたときに「ラスタ文化はインド文化にとても影響を受けているよ。インドの文化にはサードゥー(ヒンドゥーの行者)がいて、髪をドレッドにして大麻を吸ったり森の中で瞑想したりしているし」という、分かったようなよく分からないような回答をしている。
彼らはルーツスタイルのレゲエに最も愛着があるようだが、他にもダンスホールやダブを取り入れることもあって、こんなソカテイストのある曲もやっている。
今回紹介した曲はみんな「Beach Party EP」に入っていて、個人的にも昨年から随分と聴いているよ。
はい。てなわけで、今回はもろインド!って感じじゃなくて、より無国籍な魅力のあるインドのレゲエアーティスト、Reggae Rajahsの紹介でした!
確かに、いろんなリズムやトラックと融合できるヒップホップ(というかラップ)に比べると、レゲエって地域性が出にくい(そしてローカライズがあまり求められていない)ジャンルなのかもしれないね。
あ、そうだ。レゲエの世界だと、ヒップホップで言うところのラッパーをdeejay、DJをSelectaと呼ぶ習わしがあるけど、門外漢なので今回は一般的なほうの表記で書かせてもらいました。
てなわけで、それJAHまた!
ではインドにレゲエミュージシャンがいないのかというとそんなことはなくて、シーンは小さいながらも素晴らしいバンドがちゃんといます。
今回紹介するReggae Rajahsはまさにそうしたバンドの一つ。
Rajaはインドの諸言語で「王様」を意味する言葉。
そこにジャマイカンが信奉するラスタファリアニズムのJah(神・救世主)をミックスしたインドのレゲエバンドにぴったりの名前だ。
ラスタファリアニズムは、主にジャマイカの黒人たちに信奉されている思想で、ものすごくおおざっぱに言うと、堕落した物質主義社会から脱し、心の豊かさを求めてアフリカに回帰することを求める運動ということになる。
今回紹介するReggae Rajahsは、歌詞を見るとそうしたラスタファリアニズムに強く傾倒しているというわけでもなさそうだが、サウンドの面ではかなり本格的なレゲエサウンドを聴かせてくれている。
さっそく1曲聴いてみてください。
"Dancing Mood"
どうです。音楽にもビデオにもインド要素ゼロのゴキゲンなロックステディサウンドでしょう。
あとこのバンドはメロディーセンスが良い!
レゲエ好きじゃなくても、普遍的に良いと思えるキャッチーさじゃないでしょうか。
Reggae RajahsのメンバーはヴォーカルとMCのGeneral Zooz(a.k.a. Mr. Herbalist)とDiggy Dang、DJのMoCityの3人に、2013年に加わったDJと映像を担当するZiggy The Blunt、いろいろ調べたけど今ひとつ役割が分からない(ごめんよ)BeLightsの5人組。
オフィシャルサイトでは、インドで最初のレゲエサウンドシステムを自称している。
ここでもう1曲ゴキゲンなやつを。First Time.
あいかわらず気持ちのいいレゲエサウンドに、坂本九の「明日があるさ」のような一目惚れの恋をテーマにした青春ナンバーだ。
「どうか俺のFacebookリクエストを受け入れてくれ」みたいな現代風ながらも初々しい歌詞が甘酸っぱくて良い。インドの小説や映画やなんかを見ると、垢抜けている今風の若者でも恋愛には結構奥手だったりして、そういうところがインド人のまあかわいいところだ。
Reggae Rajahsは2009年にデリーで結成された。
それぞれイギリス、アメリカ帰りのGeneral ZoozとDiggy Dang、イラク生まれでデリー育ちのDJ MoCityが、デリーで行われたボブ・マーリィのバースデー記念イベントで出会ったことがきっかけになったようだ。
インドではまだまだ数少ないレゲエファンが「え?君もこういうの好きなの?」って感じで出会ったのだろう。
インドではまだマイナーなジャンルに海外で触れた在外インド人が、帰国とともにそのジャンルのインドでのパイオニアになるというのは他のジャンルでもよく見られるパターンで、21世紀に入ってもまだまだ黎明期だったインドのミュージックシーンを象徴するエピソードだと言える。
General Zoozの名前は、このブログで以前紹介したSu Realの"Soldiers"という曲のレゲエパートで本格的なラガヴォイスを披露していたことで覚えている人もいるかもしれない(いないか。面白い曲なのでぜひリンクを辿ってみて)。
DJ MoCityの本名はモハメド・アブーディ・ウライビ。
名前とイラク出身ということからも分かるようにムスリムなのだろうが、他のメンバーの本名を見るとヒンドゥー系の名前で、彼らは多国籍、多宗教のメンバーがレゲエという音楽への愛情で結ばれたバンドと言えるだろう。
彼らは自分たちのバンドでの活動のみならず、Goa Sunsplashというイベントを主催したり、MoCityがboxout fmというネットラジオ曲を運営したりするなど、インド全体のレゲエを中心とした音楽カルチャーの振興にも力を入れているようだ。
いったいどこにそんな資金が?と思わなくもないが、彼らの経歴から想像するに「家がお金持ち」ってことなのかもしれない。
彼らの曲の中でも、個人的にとても気に入っている曲。So Nice.
ちょっとメロウで最高にピースフルなヴァイブの曲で、海沿いの道をドライブしながら聴いたら気持ち良いだろうなあ。
中間部の「Irie!」っていうコール&レスポンスのところ、ぜひライブで一緒にやってみたい。
彼らはニューデリーでのSnoop Dogのオープニングアクトを務めたり、Dub Inc(フランス)、Million Stylez(スウェーデン)、Ziggi Recado(オランダ)、Appache Indian(インド系イギリス人)、Dreadsquad(ポーランド)といった世界中のレゲエアクトと共演したり、ポーランド、ブラジル、フィリピンをツアーする等、国境を越えた活動をしている。
彼らのバイオグラフィーを見てみると、初期にはゴアやマナリといった西洋人ヒッピーが多い都市での活動が多かったようで、インドのアーティストにしては珍しく、コアなジャンルとはいえ非常にインターナショナルな受け入れられ方をしていると言える。
続いては大麻礼賛の曲"Pass the Lighter".
合法化せよ!(legalize!)というピーター・トッシュのようなアジテーションが印象的な1曲。
インド文化(一部のヒンドゥー文化)とレゲエカルチャーの共通点をあえて探すとすれば、大麻がポジティブなものとして捉えられていることと、菜食主義が尊いものとされていることが挙げられるだろうか。
実際、彼らもインタビューでインドのレゲエシーンにおけるラスタファリアニズムの重要性について聞かれたときに「ラスタ文化はインド文化にとても影響を受けているよ。インドの文化にはサードゥー(ヒンドゥーの行者)がいて、髪をドレッドにして大麻を吸ったり森の中で瞑想したりしているし」という、分かったようなよく分からないような回答をしている。
彼らはルーツスタイルのレゲエに最も愛着があるようだが、他にもダンスホールやダブを取り入れることもあって、こんなソカテイストのある曲もやっている。
今回紹介した曲はみんな「Beach Party EP」に入っていて、個人的にも昨年から随分と聴いているよ。
はい。てなわけで、今回はもろインド!って感じじゃなくて、より無国籍な魅力のあるインドのレゲエアーティスト、Reggae Rajahsの紹介でした!
確かに、いろんなリズムやトラックと融合できるヒップホップ(というかラップ)に比べると、レゲエって地域性が出にくい(そしてローカライズがあまり求められていない)ジャンルなのかもしれないね。
あ、そうだ。レゲエの世界だと、ヒップホップで言うところのラッパーをdeejay、DJをSelectaと呼ぶ習わしがあるけど、門外漢なので今回は一般的なほうの表記で書かせてもらいました。
てなわけで、それJAHまた!
goshimasayama18 at 21:04│Comments(0)│インドのレゲエ