2018年01月13日
Rolling Stone Indiaによる2017年ベスト・アルバム!
Rolling Stone India誌が選ぶ2017年のベストアルバム10枚が発表された。
昨年はロック、ポップス、ヒップホップともにインドのインディーズ(略して印ディーズ)始まって以来の豊作だったとのこと。
記事はこちら。
順位は以下のとおり。
各ミュージシャンの出身地とジャンルも添えて紹介します!
1. Prabh Deep: Class-Sikh デリー ヒップホップ
アルバムタイトルを見てわかる通りシク教徒のラッパーで、これがデビューアルバム。
10月のリリース以来、大きな話題になっている作品。
デリーのヒップホップシーンはボリウッド系の華やかな(軽薄な)印象が強いけど、こうしたよりリアルな題材を扱ったシーンもちゃんとある。
知的かつ叙情的なトラックはデリーのトラックメーカーSez on the Beatによるもの。
2曲ほど紹介してみます。
2. Blackstratblues: The Last Analog Generation ムンバイ ロック(インスト)
その名に違わぬ、ポストロックや打ち込みの要素を一切含まない70年代風ギターインスト!
2017年のアルバムからのビデオがないので、こちらで聴いてみてください。
一音一音に心地よさのあるギターがジェフ・ベックを思わせる、最近いないタイプのギタリスト。
3位のTejasがゲスト参加している曲「Love Song To The Truth」もAOR風で、まったく「今」を感じさせないこのアルバムが2位っていうのも凄い!
3. Tejas: Make It Happen ムンバイ ロック(シンガーソングライター)
70年代的な要素に現代的・都会的なニュアンスもあるロック。
レニー・クラヴィッツとかMaroon5とかSuchmosあたりを思わせるところがある。
4. Skrat: Bison チェンナイ ロック
こちらもニューアルバムからのビデオがなかったのでこちらから音をどうぞ。
オルタナっぽかったり、例えばニュージーランドのDatsunsみたいな70年代ハードロックリバイバル的な雰囲気のある曲も。
5. Menwhopause: Neon Delhi ニューデリー ロック
これも最新アルバムからビデオになっている曲があんまり良くなかったので、こちらから音だけ聴いてみてください。
例えばFranz FerdinandやRadioheadっぽいUK色が強い曲、流麗なピアノソロがある曲、ちょっとプログレっぽい曲など。
6. Gutslit: Amputheatre ムンバイ デスメタル
来た!ブルータル・デスメタルバンド!演奏も上手い!ドラムとかやばいよ。
シーク教徒のベーシスト(6弦ベース!)はメタルらしくターバンも黒で決めてる!
こんな常識や世間体なんかクソ喰らえみたいな音楽やってるのに、戒律を守ってターバンはちゃんと巻くんだなあとしみじみ。
インドのデスメタルは結構盛んらしく、他にも面白いバンドがいるのでいずれ紹介します。
7. Kraken: LUSH デリー ロック
なんと日本のアニメや文化から影響を受けているバンドとのこと。
デリーには他にも日本文化に影響を受けたTarana Marwahというエレクトロニカのミュージシャンもいる。
なにかと欧米志向の印象が強いインドでも日本のサブカルチャーは一定の存在感を放っているみたいだ。
ビデオも日本のジブリの森?
8. Joshish: Ird Gird ムンバイ ロック
ポスト・プログレ(post-prog)バンドとして紹介されていて、そういうジャンル名は聞いたことがないけど、ポスト・ロックと呼ぶにはプログレ色が強くて、そう呼ぶのがいちばんしっくりくるバンド。
リズムチェンジや変わったコード感のバッキングが印象的。
9. Disco Puppet: Princess This バンガロール エレクトロニカ
インドのエレクトロニカは他のジャンルと比べてもかなりレベルが高いと思っているのだけど、これまた素晴らしく不思議な雰囲気のバンド。
アンビエントっぽかったり、ドラムンベースっぽいところがあったり。
中心人物のShoumik Biswasは同じくバンガロールのポストロックバンドSpace Behind The Yellow RoomのドラマーとカルカッタのポップロックバンドMonkey In Meのドラマーも勤めているとのこと。
カルカッタってずいぶん遠いけど大丈夫なのか。
10. Aswekeepsearching: Zia アーメダーバード ポストロック
個人的にこのバンドは凄く良いと思うなあ。10位じゃなくてもっと上でいいのに!
心地よい静かなパートから激しい部分まで、詩的かつ映像的なサウンドが素晴らしい。インドはポストロックが結構盛んなようだけど、酒も飲めないグジャラート州にこんなバンドがいるなんて!
Rolling Stoneという媒体の性質なんだろうけど、無国籍というかインド色の薄いものが多い中、社会派の1位と日本風味の7位が際立っているというのがアタクシの印象。
それにしてもヒップホップから70年代ロック、デスメタル、ポストロックまでというバラエティーの広さは凄い。
世界的な視点で見たときに、各バンドのサウンドに圧倒的なオリジナリティーや革新性があるかと言われるとそういうわけでもないけど、日本でもよくあるように、「まるで本場」みたいなサウンドが評価されてのランクインと思われる。
あんまりインド色の強いサウンドは敬遠してみました、みたいなね。
あとなんか頭が良さそうなバンドが多いよね。
バカです!ロックです!みたいなのは少なくともこの中にはいない。
Rolling Stone Indiaの好みなのか、インドでロックはけっこう上流説を裏付けるものなのか。
面白いバンドにもたくさん出会えたので、そのうち細かく紹介したいと思います!