2024年度版 軽刈田 凡平's インドのインディー音楽top10

2025年01月12日

インドのDJミックス特集! BGMにもパーティーにも使える(かも)


というわけで、年末年始にムンバイに行って帰ってきた。
久しぶりの現地での体験は全てがアメイジングで、その内容は「季刊民族学」というちょっとばかり入手が簡単ではない雑誌の「春号」に書く予定なので、みなさん乞うご期待。
(Amazon等では扱いがないのだけど、各自がんばって入手して読んでくれたらうれしいです)
そこには書ききれない部分もたくさん出てきそうなので、それはまた別の場所(ここかも)でおいおい書いていきます。

あんまりここを留守にしてもいけないので、新年最初の記事として、今回は「インドの各種DJミックス特集」。



YouTubeを渉猟していると、「インド人のインド人によるインド人のためのDJミックス動画」を結構たくさん見つけることができる。
いかにもインドっぽい、例えばディワーリーやホーリーといった現地のお祭りに合わせたミックスも味わい深いのだけど、今回は、インドっぽさを色濃く残しながらも、普遍的にかっこいいと思える動画をいくつか紹介してみる。


まずはヒップホップから。
最近いちばん食らったのが、AminJazというDJが、ムンバイのちょっとオシャレ床屋でインドのヒップホップに限定して披露したDJセット。


ムンバイとデリーのヒンディー語ラップのかっこいい曲を中心にまとめたミックスは、インドのヒップホップの入門編としても最適だ。
会場になっているのはインディーズ系のクラブイベントがよく行われている「Khar Social」近くのNomad Barberというお店。
調べてみたらヘアカットが1100円〜4400円、髭の手入れが1800円〜3300円くらいだった。
日本の感覚だと安いけど、ロンドンやベルリンにも店舗があるお店のムンバイ支店のようで、インドでは高級サロンということになるはず。
たむろしている連中が盛り上がるでもなく普通に会話したりとか思い思いにしている感じもリアルでとても良い。



続いては、ムンバイのローカル列車の中でUSのヒップホップ中心に、たまにインドのヒップホップを混ぜてミックスしている動画。
DJをしているのは、ヒップホップ以外にもいろんなジャンルを回すことがあるらしいDhiraajという人。


洋の東西を問わず、都会の夜にはヒップホップが似合う。
彼らがDJをやっているのは、ムンバイの北の郊外のBorivali駅からオシャレなエリアのBandra駅まで、近郊鉄道ウェスタン・ラインの車内。
この動画、たぶん無許可で勝手にやっているんだろうけど、まあこういうことがやれちゃうおおらかさがインドの魅力の一つではある。
トラヴィス・スコットから始まって、最後に地元の英雄DIVINEで締める構成も◎。



次はハウス。
「マラーティー語ハウス」というニッチすぎるジャンルで活躍するKratexによるEpic Marathi Sunset DJ Setをどうぞ。


街から離れて自然の中でプレイされるインド声楽が入ったハウスは超気持ちいい!
トランスみたいに退廃的な感じがないので、パーティーなどあらゆる場面で使い勝手が良いところもポイント高い。
Kratexはマラーティー語のハウスをM Houseと名付けて積極的にプレイしていて、昨年、ラッパーのShreyasを迎えた"Taambdi Chaamdi"というコミカルな曲をスマッシュヒットさせている。
ここで披露しているのはそのふざけた感じとはまったく異なる二枚目な感じのミックスで、かなりかっこいいとは思うのだけど、インド国外(というかマハーラーシュトラ州外)のどこに需要があるのかはちょっと分からない。
撮影はムンバイとプネーの真ん中らへんにあるVasundhara Villasという高級リゾートホテルがいっぱいある場所みたいです。



さっきローカル線のなかでヒップホップをかけていたDhiraajがラージャスターン州ウダイプル(レイクパレス・ホテルで有名な街)の宮殿で披露したチル・プログレッシブ・ハウスセットがこちら。


こちらは選曲にはとくにインドっぽい部分はないので、日本でも場面を選ばず使いやすい動画になっている。
何に使いやすいのかは書いている私もよく分からないが、インドっぽい格好のDJがインドっぽい場所で無国籍なハウスをずっとかけているという、そのギャップがなんとも粋なので、ちょっとしたパーティーなどで映像込みでずっと流しっぱなしにしておくのもいいんじゃないでしょうか。


続いてはアマピアノ。
インドでアマピアノと言って通じるのは海外の流行を追いかけている音楽好きだけだとは思うが、こういうジャンルもちゃんとローカライズしている人がいるというのがインドの音楽シーンの素敵なところだ。
PRIYANKAというDJがINDIA-MAPIANOと名付けてミックスしたDJセットがこちら。


ボリウッドっぽいポップな歌を中心にミックスしているが、こうやって聴くと、インドの歌ってどんなビートにも合うなあ。
逆にインドの歌にはどんなジャンルと合わせても絶対に個性を失わない芯の強さがあるとも言える。
マイナスイオンがいっぱい出てそうなロケーションも癒される感じがして良い。



ここからは、世界各地の良質なクラブミュージックを紹介しているBoiler Roomに取り上げられたインドのDJを2組ほど紹介する。

まずはご存知Karan Kanchan.


ムンバイで彼のDJを2回ほど見る機会があったのだけど、どちらもめちゃくちゃ盛り上げていた。
IIT Bombayの巨大学園祭Mood Indigoのヒップホップ・ナイトでは、学生中心の客層を意識してボリウッド・ソングを交えたセットリストを披露していて、'Om Shanti Om'みたいな曲では当然大合唱。
それだけでなく、Hanumankindの"Big Dawgs"やスコット・トラヴィスの"Fe!n"でも観客たちが歌って踊って大いに楽しんでいたのが印象的だった。
一方、ムンバイの人気クラブantiSOCIALでの自身主催のイベント'Neckwreck'では、ゴリゴリのベースミュージックをプレイ。
こちらも異常とも言えるほどの盛り上がりで、トリで出演したUKのHamdiのパフォーマンスではウォール・オブ・デスやモッシュピットまで発生していた。



こちらはインド先住民(アーディヴァーシー)の権利についてなど、社会的・政治的なトピックを扱うことが多いムンバイのヒップホップグループSwadesiのBamboyによるパフォーマンス。


結果的にブラジルっぽいノリになっているところがすごく面白い!
他にもデリーのレゲエ・セレクタのDelhi Sultanateとか、デリーのラッパーのPrabh Deepとか、インドのベースミュージックの元祖的存在であるNucleyaとか、インド北東部出身のフィメールラッパーのRebleとか、インド人アーティストのBoiler Roomでのパフォーマンスはかなりたくさんアップされているので、興味がある人はぜひチェックしてみてください。


けっこう前に書いたようにインドではlo-fi系のリミックスもかなり普及していて、ボリウッドなどのヒット曲のlo-fiバージョンがリリースされるという現象もかなり定着している。


リミックスやDJという文化の日常への膾炙の度合いでいうと、インドは日本よりもかなり進んでいるんじゃないかなあ、と思う次第です。





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