2021年01月08日
Rolling Stone Indiaが選ぶ2020年ベストミュージックビデオ10選!
というわけで、今回はRolling Stone Indiaが選ぶ2020年のインドのミュージックビデオ10選!
(元の記事はこちら↑)
「コレを選んできたか!」というのもあれば、「コレかあ?」というのもあり、また「コレは素晴らしかったのにすっかり忘れてた!」というセレクトもあったりして、こちらもまた興味深いランキングになっています。
時代性はともかく「洋楽っぽさ」を重視していたベストアルバム10選(こちら)とはうってかわって、ミュージックビデオのほうはインドならではの映像が選ばれているのも見どころ。
それではさっそく見てみましょう!
1. Sanjeeta Bhattacharya “Red”
Sanjeeta Bhattacharyaは、アメリカの名門バークリー音楽大学を卒業したシンガーソングライター。
日本語タイトルの"Natsukashii"など、これまでも興味深い楽曲を数多く発表している。
(元の記事はこちら↑)
「コレを選んできたか!」というのもあれば、「コレかあ?」というのもあり、また「コレは素晴らしかったのにすっかり忘れてた!」というセレクトもあったりして、こちらもまた興味深いランキングになっています。
時代性はともかく「洋楽っぽさ」を重視していたベストアルバム10選(こちら)とはうってかわって、ミュージックビデオのほうはインドならではの映像が選ばれているのも見どころ。
それではさっそく見てみましょう!
1. Sanjeeta Bhattacharya “Red”
Sanjeeta Bhattacharyaは、アメリカの名門バークリー音楽大学を卒業したシンガーソングライター。
日本語タイトルの"Natsukashii"など、これまでも興味深い楽曲を数多く発表している。
この新曲で、従来のオーガニック・ソウル的な曲調とは異なる違うラップを導入した新しいスタイルを披露した。
共演しているシンガー/ラッパーのNiu Razaはマダガスカル出身だそうで、バークリーの人脈だろうか。
音楽性の変化に合わせて、見た目的にも、これまでの自然体で可愛らしいビジュアルイメージから、大人っぽい雰囲気への脱却を図っているようだ。
ミュージックビデオはインドのインディー音楽によくある無国籍風の映像。
楽曲はあいかわらず上質だが、ミュージックビデオとして年間ナンバーワンかと言われると、ちょっと疑問ではある。
2. Kamakshi Khanna “Qareeb”
昨年は新型コロナウイルスの影響で通常の撮影が困難だったせいか、アニメーションを活かしたミュージックビデオが目立った一年だった。
この作品はフェルトの質感を活かしたコマ撮りアニメ。
インドのアニメのミュージックビデオは、ほとんど絵が動かない低予算のものから凝ったものまで、センスを感じられるものが多く、今後、日本のアーティストが制作を依頼したりしても面白いんじゃないかなと思う。
この曲のタイトルの"Qareeb"は「接触すること、そばにいること」を意味するウルドゥー語のようだ。
Kamakshi Khannaはデリーを拠点に活動しているシンガーソングライターで、出会いと孤独感を描いた映像が、憂いを帯びた歌声と切ないメロディーによく合っている。
3. Prabh Deep “Chitta”
デリーのアンダーグラウンド・ヒップホップシーンを代表するラッパー、Prabh Deepの"Chitta"もまた、実写とアニメーションを融合した作風。
前半の実写部分に見られる手書き風のエフェクトも最近のインドのミュージックビデオでよく見られる表現だ。
いつもどおりタイトなターバンにストリートファッションを合わせた彼のスタイルに、カートゥーン調の映像がマッチしている。
曲調は、メロウなビートのいつものPrabh Deepスタイル。
4. Shashwat Bulusu “Sunset by the Vembanad”
インド西部グジャラート州バローダのシンガーソングライターShashwat Bulusuの"Sunset by the Vembanad"は、彼のホームタウンを遠く離れた北東部のメガラヤ州、トリプラ州、アッサム州で撮影されたもの。
このミュージックビデオを制作したのはBoyer Debbarmaという映像作家で、自身もスケートボーダーであり、スケートボードを専門に撮影するHuckoというメディアの運営もしているという。
BoyerがShashwatの音楽に興味を持ってコンタクトしたところ、ShashwatもBoyerの映像をチェックしており、今回のコラボレーションにつながったそうだ。
個人的にもかなり印象に残った作品で、リリース当時、このミュージックビデオと絡めてインドのスケートボードシーンについての記事を書こうと思っていたのだが、すっかり忘れていた。
共演しているシンガー/ラッパーのNiu Razaはマダガスカル出身だそうで、バークリーの人脈だろうか。
音楽性の変化に合わせて、見た目的にも、これまでの自然体で可愛らしいビジュアルイメージから、大人っぽい雰囲気への脱却を図っているようだ。
ミュージックビデオはインドのインディー音楽によくある無国籍風の映像。
楽曲はあいかわらず上質だが、ミュージックビデオとして年間ナンバーワンかと言われると、ちょっと疑問ではある。
2. Kamakshi Khanna “Qareeb”
昨年は新型コロナウイルスの影響で通常の撮影が困難だったせいか、アニメーションを活かしたミュージックビデオが目立った一年だった。
この作品はフェルトの質感を活かしたコマ撮りアニメ。
インドのアニメのミュージックビデオは、ほとんど絵が動かない低予算のものから凝ったものまで、センスを感じられるものが多く、今後、日本のアーティストが制作を依頼したりしても面白いんじゃないかなと思う。
この曲のタイトルの"Qareeb"は「接触すること、そばにいること」を意味するウルドゥー語のようだ。
Kamakshi Khannaはデリーを拠点に活動しているシンガーソングライターで、出会いと孤独感を描いた映像が、憂いを帯びた歌声と切ないメロディーによく合っている。
3. Prabh Deep “Chitta”
デリーのアンダーグラウンド・ヒップホップシーンを代表するラッパー、Prabh Deepの"Chitta"もまた、実写とアニメーションを融合した作風。
前半の実写部分に見られる手書き風のエフェクトも最近のインドのミュージックビデオでよく見られる表現だ。
いつもどおりタイトなターバンにストリートファッションを合わせた彼のスタイルに、カートゥーン調の映像がマッチしている。
曲調は、メロウなビートのいつものPrabh Deepスタイル。
4. Shashwat Bulusu “Sunset by the Vembanad”
インド西部グジャラート州バローダのシンガーソングライターShashwat Bulusuの"Sunset by the Vembanad"は、彼のホームタウンを遠く離れた北東部のメガラヤ州、トリプラ州、アッサム州で撮影されたもの。
このミュージックビデオを制作したのはBoyer Debbarmaという映像作家で、自身もスケートボーダーであり、スケートボードを専門に撮影するHuckoというメディアの運営もしているという。
BoyerがShashwatの音楽に興味を持ってコンタクトしたところ、ShashwatもBoyerの映像をチェックしており、今回のコラボレーションにつながったそうだ。
個人的にもかなり印象に残った作品で、リリース当時、このミュージックビデオと絡めてインドのスケートボードシーンについての記事を書こうと思っていたのだが、すっかり忘れていた。
ミュージックビデオに出てくる若者はKunal Chhetriというスケートボーダー。
人気の少ない街中や、トリプラの自然の中で、大して面白くもなさそうにスケートボードを走らせる彼の姿には、不思議と惹きつけられるものを感じる。
例えば大都市の公園で得意げに次々にトリックを披露するような映像だったら、こんなに心に引っかかるミュージックビデオにはならなかっただろう。
彼の退屈そうな表情やたたずまいに、強烈なリアルさを感じる。
情熱的なようにも投げやりなようにも聴こえるShashwatの歌声も印象的。
5. DIVINE “Punya Paap”
軽刈田セレクトによる2020年のベスト10(こちら)にも選出したムンバイのラッパーDIVINEの"Punya Paap".
人気の少ない街中や、トリプラの自然の中で、大して面白くもなさそうにスケートボードを走らせる彼の姿には、不思議と惹きつけられるものを感じる。
例えば大都市の公園で得意げに次々にトリックを披露するような映像だったら、こんなに心に引っかかるミュージックビデオにはならなかっただろう。
彼の退屈そうな表情やたたずまいに、強烈なリアルさを感じる。
情熱的なようにも投げやりなようにも聴こえるShashwatの歌声も印象的。
5. DIVINE “Punya Paap”
軽刈田セレクトによる2020年のベスト10(こちら)にも選出したムンバイのラッパーDIVINEの"Punya Paap".
これまで「ストリートの兄貴」的なイメージで売ってきたDIVINEだが、名実ともにスターとなったことでそのイメージの転換を迫られ、この曲ではキリスト教の信仰や内面的なテーマを打ち出してきた。
一方で、まったく真逆のメインストリーム/エンターテインメント路線の曲にも取り組んでいて、彼の方向性の模索はまだまだ続きそうだ。
6. That Boy Roby “Backdrop”
チャンディーガル出身のロック・バンドThat Boy Robyはこのランキングの常連で、2018年には、サイケデリックなロックに古いボリウッドの映像を再編集したB級レトロ感覚あふれるミュージックビデオがランクインしていた(こちらを参照)。
その時は、「インドもいよいよドメスティックな『ダサさ』を逆説的にクールなものとして受け入れられるようになったのか」としみじみと感じたものだったが、今作では大幅に方向転換し、環境音楽的な静かなサウンドに、ドキュメンタリー風の映像を合わせたミュージックビデオを披露している。
あまりの変貌っぷりに、どうしちゃったの?と思ってしまうが、映像のクオリティは非常に高い。
インド北部ヒマーチャル・プラデーシュ州スピティ・ヴァレーの人々の冬の暮らしを詩情豊かに描いた映像は、同地で活躍する写真家Himanshu Khagtaによるものだそうだ。
7. Lifafa “Laash”
Lifafaは、バート・バカラック風のノスタルジックなポップスを演奏する「デリーの渋谷系バンド」Peter Cat Recording Co.のヴォーカリストSuryakant Sawhneyによるエレクトロニック・フォーク・プロジェクト。
Lifafa名義のソロ作品では、PCRCとはうってかわって、インドっぽさと現代らしさ、伝統音楽と電子音楽の不思議な融合を聴かせてくれる。
6分43秒もあるミュージックビデオは、ハンディカメラで撮られたロードムービー風だが、最後の最後で予想外の展開を見せる。
8. When Chai Met Toast “When We Feel Young”
ケーララ州出身のフォークロックバンドWhen Chai Met Toastの"When We Feel Young"も、やはりアニメーションによるミュージックビデオだった。
夜の道をドライブしながら過去を振り返る初老の夫婦を主人公とした映像は、彼らの音楽同様に、心温まる色合いとストーリーが印象に残る。
9. Komorebi “Rebirth”
宮崎駿などのジャパニーズ・カルチャーの影響を受けているデリーのエレクトロニカ・アーティストKomorebiの"Rebirth"は、CGと化した彼女がインドと日本を行き来する興味深い作品。
軽刈田による2020年のベスト10(こちら)ではコルカタのSayantika Ghoshをセレクトしたが、インドでは電子音楽とジャパニーズ・カルチャーの融合がひとつの様式となっているようだ。
10. Raghav Meattle “City Life”
軽刈田も注目しているムンバイのシンガー・ソングライターRaghav Meattleの"City Life".
お気に入りの曲が選ばれているとやはりうれしい。
フィルムカメラを使って撮られた映像は、コロナウイルス禍以降に見ると、もう戻れない過去のようにも見えて切なさが募る。
というわけで、Rolling Stone Indiaが選んだ2020年のミュージックビデオ10選を紹介してみました。
ベストアルバム同様、このミュージックビデオ10選も、音楽的にはこれといってインドっぽさのない、無国籍なサウンドが並んでいるのだが、やはり映像が入るとぐっとインドらしさが感じられる。
大手レーベルと契約しているDIVINE以外は、コロナウイルスの影響を受けたと思われるアニメーションやドキュメンタリー調(少人数での撮影を余儀なくされたのだろう)の映像が目立つのが印象的だ。
過去のランキングと比べてみるのも一興です。
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一方で、まったく真逆のメインストリーム/エンターテインメント路線の曲にも取り組んでいて、彼の方向性の模索はまだまだ続きそうだ。
6. That Boy Roby “Backdrop”
チャンディーガル出身のロック・バンドThat Boy Robyはこのランキングの常連で、2018年には、サイケデリックなロックに古いボリウッドの映像を再編集したB級レトロ感覚あふれるミュージックビデオがランクインしていた(こちらを参照)。
その時は、「インドもいよいよドメスティックな『ダサさ』を逆説的にクールなものとして受け入れられるようになったのか」としみじみと感じたものだったが、今作では大幅に方向転換し、環境音楽的な静かなサウンドに、ドキュメンタリー風の映像を合わせたミュージックビデオを披露している。
あまりの変貌っぷりに、どうしちゃったの?と思ってしまうが、映像のクオリティは非常に高い。
インド北部ヒマーチャル・プラデーシュ州スピティ・ヴァレーの人々の冬の暮らしを詩情豊かに描いた映像は、同地で活躍する写真家Himanshu Khagtaによるものだそうだ。
7. Lifafa “Laash”
Lifafaは、バート・バカラック風のノスタルジックなポップスを演奏する「デリーの渋谷系バンド」Peter Cat Recording Co.のヴォーカリストSuryakant Sawhneyによるエレクトロニック・フォーク・プロジェクト。
Lifafa名義のソロ作品では、PCRCとはうってかわって、インドっぽさと現代らしさ、伝統音楽と電子音楽の不思議な融合を聴かせてくれる。
6分43秒もあるミュージックビデオは、ハンディカメラで撮られたロードムービー風だが、最後の最後で予想外の展開を見せる。
8. When Chai Met Toast “When We Feel Young”
ケーララ州出身のフォークロックバンドWhen Chai Met Toastの"When We Feel Young"も、やはりアニメーションによるミュージックビデオだった。
夜の道をドライブしながら過去を振り返る初老の夫婦を主人公とした映像は、彼らの音楽同様に、心温まる色合いとストーリーが印象に残る。
9. Komorebi “Rebirth”
宮崎駿などのジャパニーズ・カルチャーの影響を受けているデリーのエレクトロニカ・アーティストKomorebiの"Rebirth"は、CGと化した彼女がインドと日本を行き来する興味深い作品。
軽刈田による2020年のベスト10(こちら)ではコルカタのSayantika Ghoshをセレクトしたが、インドでは電子音楽とジャパニーズ・カルチャーの融合がひとつの様式となっているようだ。
10. Raghav Meattle “City Life”
軽刈田も注目しているムンバイのシンガー・ソングライターRaghav Meattleの"City Life".
お気に入りの曲が選ばれているとやはりうれしい。
フィルムカメラを使って撮られた映像は、コロナウイルス禍以降に見ると、もう戻れない過去のようにも見えて切なさが募る。
というわけで、Rolling Stone Indiaが選んだ2020年のミュージックビデオ10選を紹介してみました。
ベストアルバム同様、このミュージックビデオ10選も、音楽的にはこれといってインドっぽさのない、無国籍なサウンドが並んでいるのだが、やはり映像が入るとぐっとインドらしさが感じられる。
大手レーベルと契約しているDIVINE以外は、コロナウイルスの影響を受けたと思われるアニメーションやドキュメンタリー調(少人数での撮影を余儀なくされたのだろう)の映像が目立つのが印象的だ。
過去のランキングと比べてみるのも一興です。
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