今年も日本のバンドが出演!Ziro Festivalのラインナップが面白い!インドのヒップホップをネクストレベルに押し上げるデリーの新進レーベル、Azadi Records

2019年08月13日

ここ最近の面白い新曲を紹介!Karsh Kale feat. Komorebi, Aswekeepsearching, Swarthy Korwar feat. MC Mawaliほか

ここ最近、以前紹介したアーティストを中心に面白いリリースが相次いでいるので、今回はまとめて紹介してみます。

以前「インドのインディーズシーンの歴史的名曲レビュー」でも取り上げたタブラプレイヤー兼フュージョン・エレクトロニックの大御所Karsh Kaleは、日本のカルチャーの影響を受けた女性エレクトロニカアーティストKomorebiをフィーチャーした新曲をリリース。
Karsh Kale feat. Komorebi "Disappear" 
 
両方のアーティストの良さが活きた素晴らしい出来栄えの楽曲。
Komorebiはここ1〜2年でどんどん評価を上げており、ついにフュージョン音楽(ここで言うフュージョンはインド伝統音楽と現代音楽の融合のこと)のパイオニアの一人で、メインストリームの映画音楽でも活躍するKarsh Kaleに抜擢されるまでになった。
映像から音作りまで、非常にアーティスティックな彼女が今後どのような受け入れられ方をするのか、注目して見守りたい。

バンガロールを拠点に活躍するポストロックのAswekeepsearchingは、よりロック色の強い新曲"Rooh"(ウルドゥー語で「精神」という意味の単語か)をリリース。

今作では、ひとつ前のアルバム"Zia"で見られたエレクトロニックの要素は見られず、よりロック的な音作りの楽曲となっているが、演奏はともかくヴォーカルがLUNA SEAの河村隆一っぽく聴こえるところが好みが分かれそうだ。
彼らは新曲と同名のニューアルバムを準備中とのこと。
インドのポストロックシーンの代表格である彼らが、どんな新しいサウンドを届けてくれるのだろうか。


アメリカ出身のインド系女性シンガーMonica Dograは、フュージョンヒップホップ的な楽曲"Jungli Warrior"をリリース。

Divineらのガリー・ラップ以降、なんの変哲も無いインドの日常風景やそこらへんのオヤジをかっこよく撮るのが流行っているようだが、このビデオでもボート漕ぎのおっさんが非常にクールな質感で映されている。
オシャレで絵になるもののみを映すのではなく、日常を「リアルでかつクールなもの」として再定義するこの傾向は、かっこいいし面白いし個人的にも大好きだ。
タイトルはの"Jungli Warrior"は「ワイルドな戦士」といった意味。
余談だが英語でも日本語でも通じる"Jungle"はインド由来の言葉である。

在英インド系タブラ奏者/ジャズ・パーカッショニストのSarathy Korwarは、ムンバイのアンダーグラウンドヒップホップクルーSwadesiのMC Mawaliをフィーチャーした"Mumbay"をリリース。
 
ひたすらムンバイの街と人々を映した映像は、まさに日常をクール化する作風の具体例と言っていいだろう。
ムンバイの映像に合わせて、もろジャズなトラックに、ラップと呼ぶにはインド的過ぎるMawaliの語りが乗ると、まるでニューヨークあたりのように、不穏かつスタイリッシュに映るのが不思議だ。
冒頭に映画『ガリーボーイ』で有名になったフレーズ'Apna Time Aayega'がプリントされたTシャツや、ダラヴィのラッパーたちが少しだが映っている。
音楽的には変拍子が入ったノリにくいリズムが、不思議な緊張感を醸し出していて、大都会ムンバイの雰囲気が伝わってくるかのような楽曲に仕上がっている。

Sarathy Korwarは、2016年に名門Ninja Tuneから、デビュー・アルバム"Day to Day"をリリースしたアーティスト。
ジャズにインドに暮らすアフリカ系少数民族Siddi族の音楽を取り入れた音楽性がジャイルス・ピーターソンやフォー・テットにも高い評価を受け、その後はカマシ・ワシントンらのオープニング・アクトを務めるなどヨーロッパを中心に活躍している。
"Mumbay"は彼のセカンド・アルバム"More Arriving"からの楽曲。
Sarathyは「これまでにイギリスで考えられてきた典型的なインドのサウンドではなくて、本国とディアスポラ双方の2019年の新しい音楽のショーケースを見せたかったんだ」と述べている。
アルバムの他の楽曲にはデリーの大注目ラッパーPrabh Deepや闘争のレゲエ・アーティストDelhi Sultanateも参加している。
新しい世代の在外インド人系フュージョン・アーティストとして要注目だ。

この"Mumbay"という楽曲は、「ムンバイ(ボンベイ)という都市へのラブレターのようなもの」で、この街の二重性や相反する物語を表すもの」だそう。
https://www.vice.com/en_in/article/xwndb7/stream-sarathy-korwars-new-single-mumbay-ft-mc-mawali-of-swadesi) 
以前紹介したDIVINEの"Yeh Mera Bombay"とも似たテーマを扱っているようにも思える。

ちなみにムンバイの老舗ヒップホップクルー、Mumbai's Finestによると「ムンバイは名前で、ボンベイは感情だ。同じように聴こえるかもしれないけど、ボンベイには意味があるんだ(欠点もね)」(Mumbai is the name and Bombay is a feeling, It may sound the same, but Bombay is the meaning (demeaning)!)とのこと。

この街の文化的な豊かさやいびつさが、今後ますます素晴らしい作品を生むことになりそうだ。



今回紹介したアーティストを過去に取り上げた記事はこちらから。








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