世界に進出するインドのメタルバンド!今年も日本のバンドが出演!Ziro Festivalのラインナップが面白い!

2019年08月06日

インドのインディーズシーンの歴史その14 バンガロール出身の洋楽的ロックバンドThermal And A Quarter

VH1INDIAによるインドのインディー100曲
今回は、ここのところすっかりご無沙汰していた、インドのインディーミュージックの歴史を辿るこの企画の第14回目をお届けする。
今回紹介するのは1996年結成のロックバンド、Thermal And A Quarterだ。
現在のメンバーはBruce Lee Mani(ギター/ヴォーカル)、Rajeev Rajagopal(ドラム)、Leslie Charles(ベース)の3人。(ベーシストは何度か交代している)
これまで、この企画ではムンバイやデリー、あるいは海外在住のミュージシャンを紹介することが多かったが、前回紹介したMotherjaneは南部ケーララ出身、そして今回のThermal And A Quarterも南部、インドのシリコンバレーとして有名なカンナダ州バンガロール出身のバンドだ。
1990年代、インドのインディーミュージックシーンはまだまだ小さかったが、特定の都市だけではなく、インドじゅうの大都市で同時多発的に発展してきた。

彼らは96年に結成されたのち、カレッジ・フェスティバルなどで経験を積み、2000年にファーストアルバム"Thermalandaquarter.com"をリリース(IT都市として世界中で知られるようになってきていた当時のバンガロールらしいタイトル!)。
今回紹介されている'One Small Love'は彼らが2009年にリリースした楽曲だ。

5拍子の変則的なリズムの楽曲だが、インド音楽の要素は全くなく、英語ヴォーカルのメランコリックなロックソング。

彼らはインドのなかでも非常に洋楽的なサウンドを聴かせるバンドと言えるだろう。
彼らの音楽にはロック、ファンク、ジャズ、ブルース、プログレなど、さまざまな音楽の要素がミックスされており、曲ごと、アルバムごとに多様なルーツをハイブリッドした楽曲を聴かせてくれている。
2001年にはDeep Purpleの、2012年にはGuns'n'Rosesのバンガロール公演のオープニングアクトも経験するなど、その評価はキャリアを通じてかなり高いようだ。

ホーンセクションを導入したファンキーな楽曲、"MEDs"


こちらもホーンセクションを導入した、シカゴのようなブラスロックを思わせるポップナンバー"I Am Endorsed, And you?". この2曲はいずれも2015年のリリース。


同じ年の作品から、SNSに没頭する生活を皮肉っぽく歌った"Like Me".


現時点での最新曲はレイドバックしたグルーヴが心地よいLeaders of Men.
 
彼らは自分たちの音楽性を「バンガロール・ロック」と名付けており、今世紀に入って「世界のバックオフィス」となったバンガロールの不安をテーマにしたコンセプトアルバムなども発表しているようだ。

インドのバンドであることを全く感じさせない英語ヴォーカルの洗練されたロックは、国際都市バンガロールならではのサウンドだ。
同時代ではなく過去の音楽(70年代あたり)を参照する感覚は、日本の渋谷系にも通じるものがある。
ルーツとなる音楽への深い理解と、それを再現する高い演奏能力には驚かされるばかりだ。

インドの音楽シーンの懐の深さを毎回感じさせられるこの企画、次回は'00年代に国内盤も発売されていたデリーのエレクトロニカ・デュオMIDIval Punditzを紹介!
乞うご期待!

参考サイト:https://www.livemint.com/Leisure/34ncrjzZbr52LR75w1ivwM/QA-Thermal-and-a-Quarter.html

 

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