お正月記念! 新作落語「ガネーシャ」インドのインディーズシーンの歴史その10 インダストリアル・メタルバンド Pentagram

2019年01月01日

解題 新作落語「ガネーシャ」

改めまして、新年あけましておめでとうございます。
ちょうど1年ほど前、何をトチ狂ったか、インド神話を落語にしてみよう!という訳のわからないアイデアが降って湧いてきて、この「ガネーシャ」を一気に書き上げました。
新作落語「ガネーシャ」へのリンクはこちら

書いてはみたものの、いつもインドのロックだのヒップホップだのと書いているのに急に「新作落語」っていうのもちょっと唐突すぎるよなあ、というあたり前すぎることに気づいたのですが、やはりせっかく考えたものを出さずにいるというのは宿便のような快からぬ感覚があり、「正月に出すんならいいか」というわけのわからぬ理由にかこつけて、1年近くのお蔵入り期間を経てようやくアップしてみた次第です。

落語の筋書きとしても実に拙く、また神話の紹介としても不出来なことこの上ない(この下ないと言うべきか)この「ガネーシャ」ですが、恥ずかしながら出来の悪い子ほど可愛いというような気持ちでいるのもまた確かでして、蛇足どころかムカデにさらに足を加えるような無粋の極みではございますが、噺のはしばしに出てくるインド特有の事柄について、少しばかし解説をしたためましたので、ぜひこちらもお読みいただけましたら幸いでございます。
読んだけどつまらなかった、という方については、別に解説を読んだところで笑えてくるものでもないんですけど、お時間がございましたらどうかお読みください。


七福神:めでたい七福神のうちインド由来の神様は3人。
 大黒天は「マハーカーラ」というシヴァの別名が元になっている。
 この噺でも分かる通りシヴァはけっこうワイルドな神様だけど、大黒天になると福の神ってことになる。
  毘沙門天は「クベーラ」という今のインドではマイナーな神様が原型。
 「クベーラ」は富と財宝の神だったが、これは逆に毘沙門天になると武神になるのが面白い。
  弁財天のルーツは学問と芸術の神「サラスヴァティー」で、インドでも今も広く信仰されている。
  サラスヴァティーが持っているのは、琵琶の原型になったヴィーナというインドの楽器。
 Sarasvati
(画像出展:Wikipedia)

インドの神様の数:日本よりさらにスケールが大きくて、八百万どころか3,300万の神様がいることになっています。もちろん、本当にそんなにいるわけではなくて、「とにかくたくさんいる」ということの比喩表現なんでしょうけど、「ひょっとしたら本当にそれくらいいるかも」と思わせる何かがあります、インドには。

印度・天竺:落語の舞台となった江戸時代後期のインドは、地域にもよるけどイスラーム王朝のムガル帝国かイギリス統治時代だった。日本における天竺のイメージは仏教の故郷だが、当時仏教はすでにインドでは衰退して久しく、現代同様、大多数がヒンドゥー教を信仰していた。
ちなみにインドの仏教王朝といえば11世紀ごろまで栄えていたガンダーラ王朝が有名だが、ガンダーラの所在地は、現在のインド領の北西にあたるパキスタンやアフガニスタンのあたりだ。

クリシュナ:マハーバーラタに登場する英雄神。プレイボーイのイケメンで笛を持った姿で描かれる(確かに牛若丸的要素が強い)。その後、ヴィシュヌ神の化身の一つという扱いになり、現在もインド各地で高い人気を誇る。
Krishna
(画像出展:Wikipedia) 

サラスヴァティー:上記の「七福神」の欄を参照。

シヴァ:破壊と再生を司る神。ナタラージャと呼ばれる踊りの神でもある。

パールヴァティー:シヴァの妻の女神。金色の肌の美人とされる。
ShivaAndParvati
パールヴァティーとシヴァ。三又の鉾があり、首のコブラ、第三の目、ロングヘアーなどの特徴が伺える。頭部には女神ガンガーがガンジス河を口から吹いているのが分かる。手前にあるシヴァのシンボルのリンガ(男根)はインドの寺院でよく見かけられる。
インドの神様についてはまともに説明するとめちゃくちゃ長くなり、またそこまでの知識もないので各自調べて見てください。

ホーリー:春の訪れを祝って色のついた粉や水をぶっかけあう祭り。最近では都市部で音楽フェス化したイベントも見られる。

バラタナティヤム:インドで最古の伝統をもつと言われている南インドの舞踊。

芝浜:芝の魚屋を主人公にした落語。酒好きで借金まみれの主人公が改心して働く人情噺。「また夢になるといけねえ」は、使用人を雇うほどになり借金も返済した大晦日の夜、妻にひさしぶりの酒を勧められたあとに呟く有名なセリフ。
昨年末に見た蜃気楼龍玉師匠のが良かった。

サードゥー:ヒンドゥーの修行者。家と俗世を捨て、最低限のものだけを持って(ほとんど裸の人も!)ほどこしを受けながら放浪して修行する。
悟ったような人も俗物もいて、尊敬されていたり軽蔑されていたりする。
サドゥー


パールヴァティーが怒ったら:パールヴァティーは優しい女神とされているが、別神格としてライオンにまたがり10本の手に武器をの手にした女神ドゥルガー、殺戮を好む戦いの女神カーリーの姿をとることもある。
カーリーは色黒で生首でできたネックレスをし、切り落とした悪鬼アスラの首を手に夫シヴァを踏みつけている姿で描かれる。
カーリー


元犬:人間になった犬が主人公の落語。当代だと隅田川馬石師匠のがかわいくて面白い。

粗忽長屋:行き倒れを見つけた粗忽者が、「同じ長屋の兄弟分に違いない、死んだことを本人に伝えないと」とわけのわからないことを言い出し、言われた本人も信じてしまうシュールでぶっとんだ落語。
当代だと桃月庵白酒師匠のが爆笑。

例に挙げた落語家が偶然だけど全員五街道雲助一門になってしまいました。
次回からはまたいつものブログに戻ります! 


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goshimasayama18 at 22:01│Comments(0)落語 

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