2018年09月29日
ケララ州の良質英国風フォーク・ポップ! When Chai Met Toast
こんにちは、軽刈田 凡平です。
今回紹介するのは、先日、ニューEP"Believe"を発売したばかりのケララ州コチ出身の4人組アコースティックロックバンド、その名もWhen Chai Met Toast!
彼らのBandcampのプロフィールによると、この素敵なバンド名はどうやら"When four Indian boys meet English folk"という意味の様子。
ではさっそく、彼らの新曲、"Believe".
彼らは2014年にギター、バンジョーを担当するAchyut Jaigopalとヴォーカル/ギターのAshwin Gopakumarの二人組として結成され、その後、キーボードのPalee FrancisとドラムのPai Saileshを加えて4人編成のバンドとなった。
サウンドだけ聴くとインドのバンドだと分からないようなサウンドがとても印象的だが、実際に彼らの高品質なポップミュージックは国際的な評価も高く、すでに日本のウェブサイトでも紹介されている。
サウンドもクオリティーが高いが、映像もとても美しく、昨今のインドのミュージックビデオのレベルの高さを感じさせる出来だ。
お気に入りのバンドとしてMumford and SonsやLumineersのようなバンドを挙げている彼ら。
少し前のアルバムでは、よりイギリスっぽいサウンドを聴かせてくれている。
ゴキゲンなバンジョーが印象的な、彼らの英国フォーク愛が伝わってくるような楽曲だ。
若手とは思えない洗練されたサウンドを聴かせてくれる彼らだが、まだ決して長くはないその活動期間がずっと順調だったわけではない。
2015年にはAshwinのアメリカへの引越しによってバンドは活動休止状態となり、その間Achyutは一時期カルナータカ州出身の伝統音楽的ポップシンガー、Raghu Dixitのツアーに参加していた。
しかし自分たちの音楽を表現したい情熱には抗えなかったのか、Achyutのツアーの終了とAshwinの帰国にともない、彼らはWhen Chai Met Toastとしての活動を再開。
今回はPaleeとPaiを加えた4人組としての再始動となり、ますますその評価を高めていった。
2017年に発表されたアルバムから、"Beautiful World"
同じアルバムから、Rolling Stone Indiaの2017年度ベストミュージックビデオ第9位に選ばれた曲、"Fight"
この曲ではよりロック色が強いサウンドを聴かせてくれているが、いずれにしてもインドのバンドらしさを全く感じさせないポップチューンだ。
その後も彼らの国際的な評価は高まるばかりで、つい先ごろも彼らのFacebookではニューEPからの楽曲"Khoj"がAppleのチャートにランクインしたことが喜びとともに報告されていたばかりだ。

ここで、そんな彼らの出身地であるケララ州を少しだけ紹介したい。
彼らの出身地ケララは、マラヤラム語を公用語とするインド最南部の州で、彼らの出身地コチは大航海時代から栄える歴史ある港町だ。
キリスト教徒(カトリック)が多い州として知られ、その割合は州の人口の20%にのぼる(インド全体ではクリスチャンの割合は2%程度)。

伝統的に州議会で力を持っていた共産党系の政党が教育や富の分配に力を入れ、低いGDPにもかかわらずインド全国の中で最も高い識字率(94%)、最も長い平均寿命(77歳)、最も低い人口増加率(3.4%)を達成しており、その政策は「ケララ・モデル」として高く評価されている。
ムンバイやデリー、バンガロールのような大都市もなければ、人口規模もそこまで大きくはない州だが、このような背景からか良質なミュージシャン、とくにロックバンドを数多く排出している。
80年代から活躍しているMotherjane, 13AD(現Ground Zero)をはじめ、Downtroddence, Chaos, Rocazaurusのようなヘヴィーメタル勢や、Avial, Agam, Thaikkudam Bridgeのようなマラヤラム語ヴォーカルのインドフュージョンロックなど、興味深いバンドが非常に多いので、改めて紹介する機会を持ちたい。
ちなみにケララ州を始めとするインド南部では、紅茶よりもコーヒーが好まれており、Facebookのプロフィールによると、Chaiの名を冠したバンド名にもかかわらず、彼らもチャイではなくコーヒーを飲んでいるとのこと。
どっちにしても、チャイのスパイシーさを全く感じさせないバンドのWhen Chai Met Toastでした。
それでは今日はこのへんで!
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今回紹介するのは、先日、ニューEP"Believe"を発売したばかりのケララ州コチ出身の4人組アコースティックロックバンド、その名もWhen Chai Met Toast!
彼らのBandcampのプロフィールによると、この素敵なバンド名はどうやら"When four Indian boys meet English folk"という意味の様子。
ではさっそく、彼らの新曲、"Believe".
彼らは2014年にギター、バンジョーを担当するAchyut Jaigopalとヴォーカル/ギターのAshwin Gopakumarの二人組として結成され、その後、キーボードのPalee FrancisとドラムのPai Saileshを加えて4人編成のバンドとなった。
サウンドだけ聴くとインドのバンドだと分からないようなサウンドがとても印象的だが、実際に彼らの高品質なポップミュージックは国際的な評価も高く、すでに日本のウェブサイトでも紹介されている。
サウンドもクオリティーが高いが、映像もとても美しく、昨今のインドのミュージックビデオのレベルの高さを感じさせる出来だ。
お気に入りのバンドとしてMumford and SonsやLumineersのようなバンドを挙げている彼ら。
少し前のアルバムでは、よりイギリスっぽいサウンドを聴かせてくれている。
ゴキゲンなバンジョーが印象的な、彼らの英国フォーク愛が伝わってくるような楽曲だ。
若手とは思えない洗練されたサウンドを聴かせてくれる彼らだが、まだ決して長くはないその活動期間がずっと順調だったわけではない。
2015年にはAshwinのアメリカへの引越しによってバンドは活動休止状態となり、その間Achyutは一時期カルナータカ州出身の伝統音楽的ポップシンガー、Raghu Dixitのツアーに参加していた。
しかし自分たちの音楽を表現したい情熱には抗えなかったのか、Achyutのツアーの終了とAshwinの帰国にともない、彼らはWhen Chai Met Toastとしての活動を再開。
今回はPaleeとPaiを加えた4人組としての再始動となり、ますますその評価を高めていった。
2017年に発表されたアルバムから、"Beautiful World"
同じアルバムから、Rolling Stone Indiaの2017年度ベストミュージックビデオ第9位に選ばれた曲、"Fight"
この曲ではよりロック色が強いサウンドを聴かせてくれているが、いずれにしてもインドのバンドらしさを全く感じさせないポップチューンだ。
その後も彼らの国際的な評価は高まるばかりで、つい先ごろも彼らのFacebookではニューEPからの楽曲"Khoj"がAppleのチャートにランクインしたことが喜びとともに報告されていたばかりだ。

ここで、そんな彼らの出身地であるケララ州を少しだけ紹介したい。
彼らの出身地ケララは、マラヤラム語を公用語とするインド最南部の州で、彼らの出身地コチは大航海時代から栄える歴史ある港町だ。
キリスト教徒(カトリック)が多い州として知られ、その割合は州の人口の20%にのぼる(インド全体ではクリスチャンの割合は2%程度)。

伝統的に州議会で力を持っていた共産党系の政党が教育や富の分配に力を入れ、低いGDPにもかかわらずインド全国の中で最も高い識字率(94%)、最も長い平均寿命(77歳)、最も低い人口増加率(3.4%)を達成しており、その政策は「ケララ・モデル」として高く評価されている。
ムンバイやデリー、バンガロールのような大都市もなければ、人口規模もそこまで大きくはない州だが、このような背景からか良質なミュージシャン、とくにロックバンドを数多く排出している。
80年代から活躍しているMotherjane, 13AD(現Ground Zero)をはじめ、Downtroddence, Chaos, Rocazaurusのようなヘヴィーメタル勢や、Avial, Agam, Thaikkudam Bridgeのようなマラヤラム語ヴォーカルのインドフュージョンロックなど、興味深いバンドが非常に多いので、改めて紹介する機会を持ちたい。
ちなみにケララ州を始めとするインド南部では、紅茶よりもコーヒーが好まれており、Facebookのプロフィールによると、Chaiの名を冠したバンド名にもかかわらず、彼らもチャイではなくコーヒーを飲んでいるとのこと。
どっちにしても、チャイのスパイシーさを全く感じさせないバンドのWhen Chai Met Toastでした。
それでは今日はこのへんで!
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「軽刈田 凡平(かるかった ぼんべい)のアッチャーインディア 読んだり聞いたり考えたり」
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goshimasayama18 at 13:29│Comments(0)│インドのロック