インドのインディーズシーンの歴史その4 バングラ・ビートの時代!Apache Indian!インドで最大のロックフェス!NH7 Weekender!

2018年09月02日

日本文化に影響を受けたインド人アーティスト、エレクトロニカ編! Komorebi, Hybrid Protokol


成長著しいインドのインディーミュージックシーン(ニアリーイコール、非映画音楽シーン)で現在活躍しているアーティストたちは、いずれもがそのジャンルのパイオニア。
インドではインディーミュージックの歴史が浅く、国内にお手本となるアーティストがほぼいない状況なので、インドのミュージシャンは、必然的に海外の、とくにアメリカやイギリスのアーティストの影響を大きく受けているということになる。
このブログで取り上げているアーティストたちも、影響を受けたアーティストの話になると、欧米のミュージシャンの名前を挙げることが常で、例外的にインド人でよく名前が挙がるのはA.R.Rahmanくらい。
英語が達者なインド人たちにしてみれば、言語的にも理解しやすく、また世界の主流でもあるアメリカ、イギリスの音楽の影響を受けるのは当然のことなのだ。

アメリカ、イギリス以外の国の音楽では、K-Popも一定の人気があるようで、 Rolling Stone Indiaのような媒体にもBTSをはじめとするK-Popの情報がよく掲載されている。
そんなインドのなかで、日本のサブカルチャーもそれなりの存在感を示していて、アニメをはじめとする日本文化の影響を受けたアーティストというのも存在する。

その代表格が、その名もKomorebiというエレクトロニカ・アーティストだ。
KomorebiはTarana Marwahというカナダ出身、デリー在住の女性アーティストのソロプロジェクトで、宮崎駿をはじめとする日本のアニメやゲームなどの影響を公言している。
ビジュアルイメージに関しても、日本のいわゆる「カワイイ」カルチャーを意識しているようだ。 
Komorebi_-_Photo_credit_-_Rafique_Sayed

ジブリ的な世界観のミュージックビデオの"Time"

Midival PunditzのGrainと共作した曲"Dream"のビデオでは、インド系ドイツ人アーティストArchan Nairのイラストをフィーチャーしている。

彼女が昨年リリースした曲、"Candyland"
音楽的には、Bjork、Imogen Heap、Radiohead、ステージパフォーマンスに関してはGrimes、Lady Gaga、Madonnaにインスパイアされているそうで、日本的なポップなビジュアルイメージと叙情的なエレクトロニカ・サウンドを融合させることにより、無国籍でドリーミィな世界観を構築することに成功している。
彼女のSoundcloudでは、"Kyoto Breeze"、"Miyazaki's Dream"といった、より日本的なタイトルの曲や、このサイトでも紹介したMohini Deiや、ムンバイのブルースロックバンドBlackstratbluesのギタリストWarren Mendosaをフィーチャーした曲も聴ける。

彼女のほかにも日本に影響を受けたタイトルの曲を発表しているアーティストがいる。
コルカタを拠点に活動しているAneesh BasuとSoumajit Ghoshによるテクノ・ユニット、Hybrid Protokolが今年リリースしたこの曲のタイトルは"Tetsuo".
 
彼らに、「曲のタイトルは AKIRAの登場人物から取ったの?」と聞いたところ、そうではなく塚本晋也監督による"日本最初のサイバーパンク映画"、「鉄男」(Tetsuo the Iron Man)から取ったとのこと。
そっちのほうがよっぽどマニアックだよ! 
Chemical BrothersやUnderworld、Shpongleなどに影響を受けたという彼らのサウンドは、90年代テクノっぽいテクスチャーがあり、ダンスミュージックだけでなくリスニング・ミュージックとしても質の高いもの。

大自然の中でオーディエンス無しで40分のライブパフォーマンスを行うなんてこともしていて、まるで無人レイヴといった趣だが、自然と音楽のみというミニマルな環境がアーティストとリスナーのイマジネーションを刺激するという非常に面白い試みだ。

古い例で恐縮だが、ちょっとPink FloydのLive at Pompeiiを思い出した。
収録地はウエストベンガル州北部のシッキム州にほど近いカリンポンという町。
そう、インドのロックにはまるきっかけを作った男の一人、パサンサンが住んでいる(と思われる)町だ。

日本文化の影響を受けているアーティストはエレクトロニカのジャンルだけではなく、ロックバンドなんかもいるのだけど、長くなったのでそれはまた改めて紹介します。
エレクトロニカに関しても質の高いアーティストがゴマンといるインド。
そんな彼らを我々日本の文化が多少なりともインスパイアできていると思うととてもうれしく感じるね。

それでは、また! 

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