RapperiyaBaalam

2018年05月26日

魅惑のラージャスターニー・ヒップホップの世界!

先日、ラージャスタン州ジョードプルのギャングスタ(?)ラッパー集団、J19 Squadへのインタビュー紹介した。
彼らは前に紹介したDIVINEBrodha Vに比べると、もっとマイナーかつローカルな存在だが、伝統色の濃いラージャスタン文化とヒップホップとの融合はとても面白くて聴き応えも見応え(ビデオの)もたっぷり。
詳細は以前の記事を見てもらうとして、とくに、ヒップホップのワイルドさが地域独特のマッチョ的美学と融合されているところなんて最高だ。

というわけで、今回はJ19 Squad以外のラージャスターニー・ヒップホップのアーティストを紹介したい。

まずは、Raptaanさん(たぶんこれがアーティストの名前であってると思う)で"Marwadi Hip Hop".



このビデオ、自慢のラクダとキスしたり(ラクダも踊る!)、ナイフで首を掻っ切る仕草をしてみたり、バイクに腰掛けて水パイプを吸ってみたりと、これまたほとばしるローカル色が最高!
子供からじいさんまで一族郎党をバックにラップしてるとこなんて、結果的にだけどチカーノ・ラップみたいなファミリーの結束感を感じさせられる。
"Hip, Hop, Marwadi Hip Hop"というリズミカルなリリックも、不穏さとキュートさを合わせ持ったトラックも普通にかっこいいし、サウンド的にもよくできている。
ここででてくるMarwadi(Marwari=マールワーリー)という言葉は、ラージャスタン州の中でもジョードプルを中心にかつて繁栄したマールワール王国にルーツを持つカーストのこと。
インド全土のみならず、世界中に広がる商人階級のネットワークで有名で、インドの大財閥、ビルラーに代表される「マールワーリー資本」はインド経済に今も大きな影響力を持ち続けている
J19がインタビューで触れていた戦士階級であるラージプートと並んで、この地域の帰属意識の大きな支柱になっているのだろう。
ちなみに言語の面でも、ラージャスターニー語のジョードプル地方の方言は「マールワーリー語」というまた別の言語として扱われることもあるようだ。

続いての曲は、J19 Squadとも共演していたRapperiya BaalamがKunal Verma、Swaroop Khanとコラボレーションした"Mharo Rajasthan"

オープニングの字幕によるとこの曲のタイトルは"Rajasthan Anthem"という意味だそうで、これまた地元愛炸裂の一曲だ(J19はジョードプル賛歌の"Mharo Jodhpur"という曲をやっていた)。
この曲は英語とラージャスターニー語のミックスだが、聴きどころはなんといっても、カッワーリーを思わせるインド北西部独特のコブシの効いた歌とハルモニウムが入った伝統色の濃いトラック!
映像の内容も、シーク教徒のとはまた違うこの地方独特のカラフルなターバンとか、砂漠、ラクダ、城、湖とラージャスタンの魅力が満載で、ラージャスタン州のプロモーションビデオとしても秀逸な出来になっている。

というわけで、J19 Squad以外にも魅力的なアーティストを多数抱えるのラージャスターニー・ヒップホップ。
そのローカル色の強さゆえに、インド全土で大人気!というふうになるのは難しいのかもしれないけれど、今後も注目していきたいと思います。

goshimasayama18 at 20:01|PermalinkComments(0)

2018年04月01日

インドいち美しい砂漠の街のギャングスタラップ J19Squad

インドでどこがいちばん素敵な街だった?と聴かれたら、それはなかなか難しい質問だ。
インドらしさという点でいえば混沌と聖性の街ヴァラナシか、歴史のある大都会デリーやムンバイか、現代的な大都会バンガロールか、いやいや大都市ではなく鄙びたブッダガヤやプリーも捨てがたい。
異国情緒のあるゴアや、独自の文化のあるシッキムも素晴らしく、まだ行ったことのない南インドや北東部にも素晴らしい場所はいくらでもあるだろう。

インド西部ラージャスタン州に、ジョードプルという街がある。
別名は「ブルーシティ」。
旧市街にある、築500年にはなろうかという家々の多くが青く塗られていることから、そう呼ばれている。
タール砂漠の乾燥した大地に、青い石造りの家と、人々の鮮やかな民族衣装が映える美しい街だ。

the-blur-city

jodhpurmen


People_in_Jodhpur_07

そう。アタクシは、インドでいちばん「美しい街」は?と聞かれたら、ジョードプルと答えることにしている。
古き良きインドが残っていて、ラクダに乗って砂漠の村々を訪れれば、何百年と変わらぬ暮らしをしている人々がいる。
青い旧市街は何よりも美しく、街の人々も大都会の観光地に比べてずっとフレンドリーだ。

ってのは全部、20年くらい前の記憶なのだけど、 果たしてあのジョードプルにもラッパーっているのかしらん、と思って調べてみたら、いた。
それもすんごいギャングスタラップ集団が。

ここまで紹介してきたインドのラッパーは、Big DealもBKも、ヒップホップのワイルドさは保ちつつも、基本的にはポジティブかつ真摯なメッセージをラップしていた。
あるいは、政治的な主張や差別への抗議をラップするとかね。
ところが今回紹介する連中はとことん「悪」。

奴らの名はJ19 Squad.
まずは1曲聴いてくださいよ。ワルいぜー。 "Bandook"

物騒な感じの連中が大勢集まって、ナイフを持った男にピストルを突きつけたり、女性を拉致したり、銃をぶっ放したりしてる。なんてやばそうな奴らなんだ。

今まで紹介した中ではストリート寄りのBrodha VとかDIVINEと比べても、はるかに強烈かつ直球なギャングスタアピール。
ラップのスキルも高くて、それも言葉は分からないなりにも、俺たちとんでもないワルだぜ、って感じムンムンのラップをしている。
2:40くらいからの「誰も俺たちを止められないぜ、ハッハッハー!俺たちが誰だか分かってんだろ。J19スクワッドだ!」っていうブレイクのところも、ベタだけどカッコよく決まってる。
ひと気のない道でこんな人たちに会ったら、思わず用事を思い出したふりして引き返すね、アタクシは。

かと思えば、ボブ・マーリィに捧げる、ってな曲もやってたりする。
"Bholenath A Tribute to Bob Marley"

…あの、みなさんいきなり思いっきり大麻吸ってるんですけど。
なんかヒンドゥー寺院みたいなところで、連中、ひたすら大麻吸ってる。
歌詞は分からないけど、ボブ・マーリィ全然出てこないし。
コブラやシヴァ・リンガ(男根の象徴)と、シヴァ神のシンボルばかりが出てきて、トリビュート・トゥ・ボブというよりトリビュート・トゥ・シヴァといった感じのような気もするな。
っていうか、インドでも大麻って違法なはずだけど、こういうビデオをアップして大丈夫なんだろうか。

で、なかでも最高なのがコレ!
地元のシンガーと思われる、Rapperiya Baalamと共演している曲"Raja"(王)

いきなりラクダに乗った男が(彼がRapperiyaか?)、いい感じに訛りのきついラップをかます。
インドっぽいトラックにラップを乗せる、っていうのは今までもあったけど、これはヒップホップ色の強いトラックに民謡っぽい歌が乗る!
そんでラッパーたちは地元の移動遊園地を練り歩きながらラップしまくる。
このビデオ、本当に最高じゃないか!
ヒップホップのルーツの黒人っぽさはもはやゼロで、完全にインドのラージャスタンの空気なのに、それでいて完璧にヒップホップのヴァイブがある、と思いませんか?
なにしろ、革ジャンのラッパーとターバンを巻いてラクダに乗った男が何の違和感もなく共存している。
これはラージャスタンの砂漠の男たちがアメリカ生まれのヒップホップを飲み込んだ瞬間のドキュメンタリーだとも言えるんじゃないだろうか。

そんな彼らも地元ジョードプルは何よりも誇りに思ってる(言葉わからないけど、多分)。
こないだ書いたインド各地のご当地ラッパーの記事でも紹介した、地元ジョードプルを讃える歌(多分)、"Mharo Jodhpur"


それにしても、彼ら、毎回大勢で映っているけど、J19というだけあって19人組なんだろうか。
地元のラージャスターニー語でラップしている曲もあれば、ヒンディーでラップしている曲もある。
( Youtubeのタイトルに"Rajasthani Rap"とか"Hindi Rap"とか書かれている)
かと思えば、つい最近リリースされた曲は、なんと"Hindi Rock".

歌はラップだけど、まさかの生バンドだ。
いったいJ19 Squadとは何者なのか?
JはジョードプルのJ?
19は人数?
ラッパーと楽器部隊がいるの?
ギャングスタっぽいアピールはマジ?それともフィクション?

さほどメジャーなグループではないらしく、検索してもさっぱり分からないしインタビュー記事などもヒットしない。
謎は深まるばかり。
彼らにもインタビューのオファーをしてみようと思うのだけど、果たして返事は来るでしょうか? 
乞うご期待! 

goshimasayama18 at 14:05|PermalinkComments(0)