Raghav

2019年01月16日

Rolling Stone Indiaが選ぶ2018年のベストアルバムTop10!

前回、Rolling Stone India誌が選ぶ2018年のベストシングルを紹介したけど、今回は同誌が選ぶベストアルバムを紹介!
はっきりいって今回のほうがシングルよりもずっと面白くてかっこいい!
まだあまり知られていないグッドミュージックを探している人は是非ともチェックすべき10枚をご案内します。

こちらも順位はつけられていなかったので、ひとまず同誌サイトで紹介されている順に書いていきます。
アーティスト名とアルバム名のところにアルバム全体が聴けるサイトへのリンクになっていて、収録曲のYoutubeも貼っておいたので聴きながらお楽しみください。
それでは!

Rainburn, "Insignify"

イントロが結構長くて、曲が始まるのは1:53から。
選者の趣味なのだろうが、いきなりコテコテのメタルが出てくるところにこのセレクトの面白さを感じる。
今作はバンガロールを拠点に活動するプログレッシブメタルバンドのデビューアルバム。
インドではDream Theaterの影響下にあるようなこの手の音楽はかなり人気があり、多くのバンドが存在している(詳細後述)が、彼らはその中でもかなりレベルの高いバンドと言えるだろう。
2曲めの"Merchant of Dreams"(1:53〜)の途中にブルース風の進行が出てきたり、6曲めにアカペラ曲の"Purpose"(24:35〜)が収録されているあたりが個性だろうか。

The Local Train, "Vaaqif"

The Local Trainは2008年にインド北部チャンディーガルで結成され、現在はデリーを拠点に活動するヒンディーロックバンド。
ヒンディーロックとは何ぞやというと、文字どおりヒンディー語で歌われるロックのことだが、このバンドの場合、ヒンディーで歌ってもいかにもインド的な歌い回しは出てこず、完全に洋楽ロック的なメロディーとアレンジになっているのが良さでもあるし、少しもったいなく感じる部分でもある。
(ヒンディー語以外のマーケットにはなかなか届かないだろうから)

Dhruv Visvanath, "The Lost Cause"

ニューデリーで活動するシンガーソングライターで、アメリカのAcoustic Guitar Magazineで30歳以下の偉大なギタリスト30名に選ばれたこともあるというDhruv Visvanath。
このアルバムでも、ほぼアコースティックギターとヴォーカルハーモニーだけでドラマティックな楽曲を構成することに成功している。

Paradigm Shift, "Sammukh"

また出た!プログレッシブ・メタル・バンド!
彼らは最近日本でも注目されているPineapple Express同様、伝統音楽の要素(声楽やバイオリン)を大胆に取り入れた音楽性のバンドだ。
この手のプログレ・ミーツ・インディアなバンドは数多いが、変拍子や複雑なフレーズを駆使するプログレとインドの古典音楽にそれだけ親和性があるということなのだろう(他に注目株としてはタミルのAgam、もう少しグランジっぽいところでデリーのAnand Bhaskar Collectiveなど)。


Enkore, "Bombay Soul"

ムンバイのバイリンガルラッパー(英語とヒンディー)Enkoreが、このブログでも何度も名前が出て来ているデリーの鬼才トラックメイカーSez on the Beatのプロデュースでリリースしたアルバム。
Sezはいつものトラップ色の強いトラックではなく、スムースでチルな質感の音作りを意識している。
ギターを中心にしたメロウなトラックにところどころ顔を出すインド風味が心地よい。


Skyharbor, "Sunshine Dust"

アメリカ在住(インド系米国人?)のメンバーを含むSkyharborは、日本のBabymetalの全米ツアーのオープニングアクトを任されるなど人気上昇中のメタルバンドだ。
このブログではついついデスメタル、スラッシュメタル、正統派ヘヴィーメタルなどのオールドスクールなメタルバンドを中心に紹介してしまっているが、こういった現代的な音像のメタルバンドも多いので、いつかまとめて紹介したいところ。

Swarathma, "Raah-E-Fakira"

インドの伝統音楽とロックを融合したバンガロールのバンドの3枚目のアルバム。
これまで、Anand Bhaskar CollectivePineapple ExpressPakhseeなど、インドの古典声楽とロックを融合したバンドはいくつも紹介してきたけど、このバンドはより土着的・大衆的なインドのフォーク(民謡)とロックとの融合!
朗々としつつも繊細なニュアンスのある古典声楽と違って、骨太で素朴な歌声のインド民謡とロックの組み合わせは、これまた非常に面白い仕上がりになっている。
ロックの部分がけっこう練られたアレンジになっているので、朴訥としたヴォーカルが入ってくると、その落差にずっこけつつも、だんだん「これはこれでアリかも…」と思わされてくるから不思議だ。
ヴォーカリストは同じくインド民謡歌手のRaghu Dixitの弟、Vasu Dixit.
インドでは古典と現代音楽との融合が当たり前のように行われていて、またそれが普通にリスナーに受け入れられてもいる。
日本で同じようなことをしたら完全にイロモノだし、クールなものとして聴かれることもないだろう。
インド社会は急速に西欧化(ニアリーイコール資本主義化)しつつあるが、その根っこの部分には自分たちの文化や伝統の確固たる基盤があるのだ。


DCF_Shapes, "Live Vol.1"

インドの音楽シーンで活躍する一流プレイヤーによって構成されたファンクバンドのライブアルバムで、これが非常にかっこいい!
終始ファンキーなグルーヴにデジタル的な要素もうまくはまっていて、とにかく聴かせる、踊らせる。
ぜひライブで見てみたいバンドだ。
ちょっと渋さ知らズオーケストラみたいに聴こえるジャジーなところも気持ちいい。

ドラムにバンド名にもなっているDCFの別名を持つムンバイのセッションドラマーLindsey D'mello(2014年にDark Circle Factory名義で出したアルバムもかっこいい。DCFはその略称のようだ).
ギターにムンバイのインダストリアル・メタルバンドPentagramのRandolph.
サックスにインドを代表するジャズ・プレイヤーのRhys Sebastian D'souza.
'Funktastic'でラップを披露しているのはムンバイの老舗ヒップホップ・グループBombay Bassmentのメンバーでケニア出身のアフリカンであるBob katことBob Omulo.
ところで、インドのインディーズシーンの「ベテラン」である彼らの名前を見ると、英語のファーストネームやポルトガル語の苗字がずらり。インドのインディー音楽シーン創成期にクリスチャンのミュージシャンが果たした役割の大きさを再認識させられる。


Gabriel Daniel, "Conflicting"

バンガロールを拠点に活躍するオルタナティヴ系シンガー・ソングライターが、ドラマーとベースのサポートを加えて作ったアルバム。
いかにもシンガー・ソングライターといった叙情的な作風に、ところどころでポストロック的な要素やマスロックっぽい要素が光る。


Raghav Meattle, "Songs From Matchbox"

デリー出身のさわやか系シンガー・ソングライターのデビュー・アルバム。
60年代っぽくも聴こえるし、ちょっとジャック・ジョンソンみたいなサーフ系や西海岸系フォークを思わせる雰囲気もある楽曲は、どこか懐かしくて、そして完成度もとても高い。
インドのミュージシャンでここまでアメリカっぽい空気を感じさせる人は珍しい。


と、ざっと10枚を紹介してみた。
メタル、ロック、ヒップホップ、ファンク、SSWとジャンルも多岐にわたり、それぞれかなり聴き応えのある作品が揃っているのが分かるだろう。
シングル10選のときは、オシャレ感重視の雰囲気ものが多かった印象だが、このアルバム10選ではよりアーティストの個性が強く出た作品がピックアップされている。
Paradigm ShiftやSwarathmaみたいにいかにもインドといった要素が入ったバンドも面白いし、SkyharborやDCF_Shapesは国籍に関係なくかっこいい音楽を作っている。
Raghav Meattleの普遍的なグッドメロディーを作曲する才能も覚えておきたい。

「音楽とインド」というテーマで記事を書くことが多いため、ついついインドならではの音楽性や背景のあるアーティストを取り上げることが多いのだけど、こんなふうに純粋に優れた音楽を作っているミュージシャンたちもかなり高いレベルにいることが改めて分かるアルバムたちだった。
気に入ったアーティストがいたら、ぜひみなさんのプレイリストに加えてみてください。
2017年のベストアルバムtop10と聴き比べて見るのも一興です。
それではまた!

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goshimasayama18 at 23:18|PermalinkComments(0)