Football

2018年07月10日

インドのサッカー&クリケット事情!

FIFAワールドカップもいよいよ大詰め!
日本代表は善戦むなしくベルギーに敗れてしまったが、インドの人たちも同じアジアの日本代表を応援してくれていて、インドの友人やミュージシャンたちもSNSで日本代表の健闘を称える書き込みをたくさんしていた。

インドのサッカー事情はというと、代表チームのFIFAのランキングは97位と振るわないが、近年の著しい経済成長から国内のリーグは目覚しい発展を見せている。
選手としてデル・ピエロやフォルランが、指導者としてマテラッツィやジーコがインドのクラブチームに移籍したニュースを覚えているサッカーファンも多いだろう。(フォルランは現在は中国のクラブチームに所属)
ヨーロッパで活躍した名選手が多く国内のクラブチームに所属しているものの、代表チームのレベルは今ひとつという状況は、中国やJリーグ発足時の日本に似ていると言えるかもしれない。

ただ、何事も一筋縄ではいかないインド。
国内のサッカーリーグ事情もなかなかに複雑な状況になっている。
インドには、もともと2007年に発足したIリーグというプロサッカーのリーグがあった。
ところが、2014年にインドの大財閥リライアンスやインド最大のテレビ局のスターTVをスポンサーとしたインディアン・スーパーリーグ(ISL)という新たな別のリーグが発足。
ISLは豊富な資金力をもとにIリーグを上回る人気を博すようになり、先ほど名前を挙げた名選手、指導者たちも、IリーグではなくISLに所属している(あるいは、していた)。
両リーグ間の資金面や人気面の差は大きくなってきており、Iリーグから脱退してチームごとISLに移籍するクラブも出ている。
FIFAは1カ国1リーグ制を条件としているため、両リーグの統合が議論されているが、例によって交渉はうまくいっていないというのが現状のようだ。

そんなインドで国民的人気を集めるスポーツと言えば、クリケット。
インドに行けば、都会でも田舎でも、必ずクリケットをしている子どもたちを見かけるはずだ。
アタクシも、聖地ヴァラナシのガンジス河のほとりで遺体を焼いているすぐそばで、クリケットに興じている子どもたちを見たときには、ずいぶん驚いたものだった。
インド人にとって、クリケットは映画と並ぶ国民的な娯楽なのだ。
日本では全く人気も知名度もないクリケットだが、実はサッカーに次ぐ世界2位の競技人口を誇るスポーツであり、インドのみならずパキスタン、バングラデシュ、スリランカといった南アジア諸国やオーストラリア、ニュージーランド(つまり、旧イギリス植民地)でも人気を博している。
クリケットのワールドカップは世界中で数億人に視聴される一大イベントとなっているそうだが、人口10億人のインドで大人気だったら、まあそうなるわな。
とくにインドで盛り上がるのはナショナルチームの対パキスタン戦。
カシミール地方の領有権問題をはじめ、政治、宗教など様々な面で対立するパキスタンとの一戦は、試合会場の警備にロケット・ランチャーが配備されるほどの真剣勝負の一大イベントだ。
インド・パキスタン戦でのパキスタンの勝利を祝っていた人が逮捕されたこともあるという、もはや完全にスポーツの枠を超えた戦いになっているのだ。

インドのクリケットのリーグ、インディアン・プレミア・リーグ(IPL)にはデリー、コルカタ、ムンバイ、チェンナイ、バンガロールといったインド各地の大都市の9チームが所属し、世界最大のクリケットリーグとなっている。(八百長問題で出場停止処分を受けているチームもあるというのがなんともインドらしいが)
日本とインドの合作で、「巨人の星」をインドのクリケットに翻案した「Suraj the Rising Star」というアニメが2012年に作られたときには、日本でもそれなりに話題になったので覚えている人もいるんじゃないかと思う。
 
このアニメで、原作での長嶋茂雄に相当するキャラクター、サミール(Samir)のモデルになっているのが、ムンバイ出身の大スター選手、サチン・テンドルカール(Sachin Tendulkar)。
彼の名前は、以前紹介したムンバイのラッパー、DIVINEの地元レペゼンソング「Yeh mera Bombay」にも地元の誇りとして登場している。

彼を扱ったドキュメンタリー映画の楽曲を担当したのは、インド現代音楽界の超ビッグネーム、A.R.Rahman.
インドの国民的作曲家による国民的スポーツ・ヒーローへのトリビュート・ソングがこの「Sachin Sachin」だ。


同じイギリス発祥のクリケットがここまで人気があるのに、サッカー(ラグビーも)が弱いのは何でだろうと思っていたけど、インドの友人に聞いたところ、「単に国が金をかけていないからだよ」とのこと。
コンタクトの多いスポーツなので、汚れの概念とかそういうのが関係しているのかと思ってた。

インドでもワールドカップのような世界トップレベルのサッカー観戦は人気があるみたいだし(そういえば、「ベッカムに恋して」っていうインド系イギリス人の映画もあった)、国内リーグも盛り上がっている。
スポーツは宗教や民族の多様性を抱えるインドがひとつになれる数少ない要素だ。
世界中で人気のあるサッカーであれば、いろいろな対戦国があるし、クリケットのようにパキスタン戦ばかりに注目が集まることもないだろう。
国としての一体感を高めるためにも、もっとサッカーにお金をかけても良いように思うんだけど。

インド国内のサッカー事情に関しては、以下の2本の記事がよくまとまっていて面白い。
・ムンバイのクラブチームとそのファンを追った記事。
VICE『クリケットの街から眺めるインドサッカー界の未来』
・インドのサッカーブームと2つのリーグについての記事
サッカーダイジェスト『歪な国内リーグとU-17W杯に6万超の観衆。空前のサッカーブームに湧くインドの現実』

最後に、以前紹介したデリーのレゲエ・バンド、Reggae RajahsのGeneral Zoozがソロの名義で出したこの曲を。
Champions.

では今日はこのへんで。 





goshimasayama18 at 01:03|PermalinkComments(2)