DeathMetal

2018年07月21日

Demonic Resurrectionによる驚愕のインド神話コンセプトアルバムの中身とは!

このブログでたびたび紹介しているムンバイのシンフォニック・デスメタルバンドDemonic Resurrection.
今回は、前回の記事で書いた通り、彼らによるインド以外ではありえない驚愕のコンセプト・アルバム"Dashavatar"を紹介します!

その前に、まずインド人の約8割が信仰するヒンドゥー教についておさらい!
ヒンドゥー教は、キリスト教やイスラム教のように特定の開祖を持つ一神教とは大きく異なる特徴を持つ。
ヒンドゥー教は紀元前2,000年〜1,500年頃に現在のイランあたりからインドに進入したアーリア人が起こした「バラモン教」をルーツとし、様々な土着の民間信仰を取り入れながら成立した。
こういった成立過程の宗教だから、輪廻と解脱の概念やカースト制度といった共通項はあるものの、様々な神様が崇められている多神教であり、時代や地域によって人気のある神様が変わったり、信仰する神様によって重要な神話(例えば宇宙の成立過程)が異なっていたりする。

そもそも、「ヒンドゥー」という名称からして、インド人が自ら名乗り始めたものではなく、ペルシア人たちが「インダス川の東に住む人々の信仰」という意味で呼び始めたものであり、単一の信仰を指すものでは無かった。
どちらかというと、仏教やキリスト教のような一神教よりも、「八百万の神」を信仰の対象とする日本の神道に近い成り立ちの宗教と言うことができるだろう。

そのヒンドゥー教で最も人気のある2大神様といえば、シヴァ神とヴィシュヌ神。
とくに、ヴィシュヌ神はさまざまな土着の信仰や神話と融合、合併し、今日では有名なものだけでも10のアヴァター(化身)を持つ神とされている。
この10のアヴァターをサンスクリット語で"Dashavatara"と呼ぶ。 
そう、今回紹介するDemonic Resurrectionのアルバム、"Dashavatar"は、この10の化身ひとつひとつを楽曲の形に昇華した、壮大にして神話的なコンセプトアルバムだというわけだ。

それぞれの曲のタイトルが、ヴィシュヌ神の10の化身のひとつひとつを指していて、曲順もご丁寧にそれぞれの化身がこの世界に登場したと言われる順番になっている。

収録順に見ていくと、

1.Matsya(半人半魚)

伝説によれば、太陽神スーリヤの息子マヌ王が祖先の霊に水を捧げるべく川へ入ると、手の中に角を生やした小さな金色の魚マツヤが飛び込んで来て、大きな魚に食べられないよう守って欲しいと頼んできた。
マヌはその金色の魚を瓶の中に入れて育てたが、魚はすぐに大きくなった。
そのため池へ移されたが、すぐに成長して入りきらなくなるため、川へそして海へと次々に移されていった。
マツヤは7日後に大洪水が起こり全ての命を破壊することを予言した。
マヌは海にも入りきらなくなった巨大魚マツヤがヴィシュヌの化身であることに気づいた。彼に船を用意して七人の賢者と全ての種子を乗せるよう言うと魚は姿を消した。
やがて大洪水が起こり、マツヤ(ヴィシュヌ)は船に竜王ヴァースキを巻きつけてヒマラヤの山頂まで引張った。
こうしてマヌは生き残り人類の始祖となり、地上に生命を再生させた。(Wikipediaより。一部修正加筆。以下同)

2.Kurma(亀)

Kurmaは神話上の乳海攪拌の際、攪拌棒に用いられたマンダラ山を海底で支えた大亀。
もともと『マハーバーラタ』ではマンダラ山を支えたのは長寿で知られる亀王アクーパーラで、ヴィシュヌ信仰とは関係がなかったが、『ラーマーヤナ』以降、ヴィシュヌ神の化身である亀とされるようになった。
(乳海攪拌とは、神話上の神々と悪魔との戦いの中で、神が霊薬「アムリタ」を得るために「乳の海」を攪拌したことを指す。広大な乳海をかき混ぜるために、海底の巨大亀Kurmaの上に大マンダラ山を置き、その山に巻きつけた龍王ヴァースキを引っ張ることで攪拌を行ったそうな。スケールが大きすぎるのとシュールすぎるのとで、だんだんわけが分からなくなってきたと思うけど、先は長いのであんまり気にしないように。あとさっきからロープ代わりに使われてる竜王ヴァースキの扱いが悪くてかわいそう。)

3.Varaha(猪)

Varahaはヒンドゥー教における猪の姿をしたヴィシュヌ神の第3のアヴァターラ(化身)である。大地(プリティヴィー)を海の底へ沈めた、恐ろしきダイティヤ族の王ヒラニヤークシャを打ち破るために遣わされ、1000年にも及ぶ戦いの末、勝利を収める。
ヴァラーハは純粋な猪、もしくは擬人化され、猪の頭を持つ男の姿で描かれた。
後にそれは4本の腕を持ち、2本で車輪と法螺貝、残りの手で矛、剣あるいは蓮を持ち、あるいは祈りの姿勢をとる姿で描写された。
大地は猪の牙の間に握られていた。
このアヴァターラはプララヤ(洪水)からの蘇生及び新しいカルパ(周期)の確立を象徴し、それゆえ創造神話を構成すると考えられる。
(「純粋な猪」とか、「大地は猪の牙の間に握られていた」とか、最後の一文とか、よくわからない要素が増えてきたが、あんまり難しく考えずに次に進もう) 

4.Vamana(小人)

ヴァーマナはヴィシュヌの化身である矮人で、デーヴァの敵、バリ(チャクラヴァルティ)から天と地を全て騙し取った。
ヴァーマナはバラモンの乞食少年を装って3歩歩いた分だけの土地を要求し、バリは師のアスラグル・スクラチャリヤの警告にもかかわらず、それを認めた。ヴァーマナは巨大化し、1歩目で大地を跨ぎ、2歩目で天を踏み、地底世界(パーターラ)はバリのために残しておいた。しかしバリは約束が履行されない事を望まなかった。そのためヴァーマナは3歩目でマハーバリの頭を踏み付けて地底世界へ押し付けることで同意した。バリは不死身にされ、今も地底世界に棲むと言われる。 
(今ひとつ神話の内容が頭に入ってこない理由は、神話のストーリー展開が唐突なだけじゃなくて、名前が馴染みにくいってこともあるよね。「バリ(チャクラヴァルティ)」ってどういう意味か。a.k.a.みたいなことなのか。あと不思議なことに4曲めと5曲めだけ、神話と曲の順番が逆になっている。)

5.Narashimha(獅子面の人間)

ヒンドゥー教におけるヴィシュヌの第4のアヴァターラで、ライオンの獣人(Nara=人, simha=ライオン)である。アスラ族のヒラニヤカシプを退治したといわれる。
ヒラニヤカシプは苦行をブラフマーに認められ、1つの願いを叶えてもらった。その際に願ったのは「神とアスラにも、人と獣にも、昼と夜にも、家の中と外にも、地上でも空中でも、そしてどんな武器にも殺されない体」という念の入ったものだった。ヴィシュヌは実質不死身の体を得たヒラニヤカシプを倒すため、彼の息子でヴィシュヌ信者のプラフラーダに、夕方の時刻に玄関までヒラニヤカシプを誘導してもらい、ヒラニヤカシプが調子に乗って割った柱の中からライオンの頭をした人間の姿、すなわちナラシンハとして飛び出し、地上でも空中でもない彼の膝の上で、ヒラニヤカシプの体を素手で引き裂いて殺した。
(この曲だけちゃんとしたミュージックビデオ風だが、B級映画に出てくる獣人みたいなのがイカす!)

6.Parashurama(聖仙)
斧を持ったリシ(聖仙)のアヴァターラ。一部のクシャトリヤ(戦士たち)が極端に力をもち、己の愉楽のために人々の財産を奪うようになった。斧をもったパラシュラーマが現れ、邪悪なクシャトリヤを滅ぼした。
(この曲はYoutubeになかったのでこちらからどうぞ) 

7.Rama(王子)

インドの叙事詩『ラーマーヤナ』の主人公。シーターを妃とした。
神話上、特にヴァイシュナヴァ派では、ヴィシュヌのアヴァターラ(化身)であるとされる。
ダシャラタ王と妃カウサリヤーとの間に生まれ、異母兄弟にバラタ、ラクシュマナ、シャトルグナがいる。『ラーマーヤナ』によると、彼ら4兄弟はいずれもラークシャサ(羅刹)の王ラーヴァナを倒すために生まれたヴィシュヌ神の4分身であるという。
大聖ヴィシュヴァーミトラの導きによって、ミティラーの王ジャナカを尋ね、そこで王の娘シーターと出会い、結婚する。
しかしバラタ王子の母カイケーイー妃によって、14年の間アヨーディヤを追放された。ダンダカの森でラーヴァナによってシーターを略奪され、これをきっかけにラークシャサ族との間に大戦争が勃発する。
(以前紹介したAnanda Bhaskar Collectiveの"Hey Ram"もこのラーマ神のことだ。とても人気のある神様なので、RamやRamaという名前は「神よ!」というような一般名詞的な呼びかけとしても使われている。)

8.クリシュナ(牛飼い)

ヒンドゥー教でも最も人気があり、広い地域で信仰されている神の1柱であり、宗派によってはクリシュナとして、あるいはヴィシュヌの化身(アヴァターラ)としてスヴァヤン・バガヴァーン(神自身)であるとみなされている。 
(今度はラーマヤーナと並んで有名なインド古典の超大作文学、マハーバーラタの中の主要キャラクター、クリシュナ。細かく紹介するとあまりにも長くなるので割愛!)

9.Buddha(仏陀)
ヒンドゥー教の伝統の多くに於いては、ブッダをダシャーヴァターラ(神の十化身)として知られる最も重要な10の化身の最も新しい(9番目の)化身を演じさせている。これは大乗仏教の教義がヒンドゥー教に取り込まれ、ヒンドゥー教の1宗派として仏教が扱われるようになったためである。後述の通り、偉大なるヴェーダ聖典を悪人から遠ざけるために、敢えて偽の宗教である仏教を広め、人々を混乱させるために出現したとされた。
(Youtubeになかったのでこちらからどうぞ。そう、仏教の開祖である仏陀ことゴータマ・シッダールタは、ヒンドゥー教の中ではヴィシュヌ神の化身のひとつとされているのだ)

10.Kalki(汚辱の破壊者)
翼の生えた白馬とともに現れる最後のアヴァターラ。宇宙を更新するために悪徳の時代カリ・ユガの終わりに登場するとされる。白い駿馬に跨った英雄、あるいは白い馬頭の巨人の姿で現される。
(この曲もYoutubeになかったので、こちらからどうぞ。この世紀末的なKalkiはインド的神秘主義好きに好まれる存在のようで、同じ名前のフランスのサイケデリックトランスアーティストもいる)

と、ついつい全曲背景となる神話を紹介してしまったが、リリックビデオを見てもらえれば分かる通り、インド神話を知らないと何のことやら分からない単語がいっぱい出てくる、まさにインドならではのヘヴィーメタルなのだ。

例えば3曲目のVarahaの歌い出しはこんな感じだ。

”新たなカルパ(劫=宇宙単位の長い時間)の夜明けに
 ブラフマー(インド神話の創造神)がその創造物を作り上げたとき
 ブーミデヴィ(地母神)は波の上に投げつけた… "

と、独特の固有名詞が多すぎて、インド神話の予備知識が無いと何のことだか全然わからない。
いや、インド神話を調べてみたうえで訳してみても、やっぱり難解であることに代わりはないのだけど、なんとなく神話的な雰囲気で楽しめるようにはなってくると思う。
まあとにかく、Demonic Ressurectionのシンフォニック・デスメタルサウンドは、この途方もなく壮大なインド神話の世界を雄弁に語っているわけだ。

このヴィシュヌの10の化身こと"Dashavatara"、インド国民どれくらい深く親しまれているかというと、こんなアメリカのヒーローものみたいなテイストのアニメ映画が作られていたりもする。

 
こんなアルバムを作るなんて、Demonstealerなんて凶々しい名前を名乗ってるけど、きっと敬虔なヒンドゥー教徒なんだなあー。
と思って尋ねてみたら、彼の回答はこんなだった。

「いや、俺は無神論者で、いかなる神も信じていない。俺は宗教はとにかく大っ嫌いで、人間が作り出した最悪のものだと思ってる。神や宗教は人々をコントロールするためのただの道具だね。ヒンドゥー教にいたっては宗教ですらなくて、ただの生活様式だよ。俺に言わせればヒンドゥーはただの馬鹿な連中が信じてる教訓めいた物語で、偶像を作っては崇めてるのさ」

と、気持ちいいほどの全否定っぷり。
考えてみれば、料理番組で牛肉をがんがん料理している彼が敬虔なヒンドゥー教徒なわけがない。
それならば、いったいどうしてこんなヒンドゥー神話をテーマにしたアルバムを作ったのだろう。

「そうは言っても、神話の物語時代は面白いし、俺にとって興味深いものなんだ。実際のところ、俺はこういう物語をすごく笑えるくだらない形で見て育ったんだ。地元のテレビで神話のドラマをやってたんだけど、すごく変だったから、全然興味が持てなかった。でも俺のかみさんがナラシンハ(獅子男)の物語を話してくれた時、それがすごくクールだったから、それ以来はまっちゃったってわけさ」

このDashavatar、ヘヴィーメタルのコンセプトアルバムとしての完成度もとても高く、純粋に音楽としてもっと評価されるべき一枚だと思う。
でも、それにも増して、ヘルシー料理のインドにおけるパイオニアにして、あらゆる宗教を否定する無神論者が、奥さんから教わったヒンドゥー神話をもとに作ったデスメタルのコンセプトアルバムって、もうそれだけで面白すぎる要素が盛りだくさんだ。

神話と無神論、ヒンドゥー教と牛肉食も辞さない健康食、背徳的なデスメタルと愛妻っぷりという矛盾する要素が違和感なく1人の表現者、1枚のアルバムの中に収まっている。
Demonic Resurrectionの"Dashavatar"は、音楽的な内容だけでなく、こうしたバックグラウンドをとってみても、現代インドの価値観の多様性を象徴するアルバムになっているのだ。

続いてSahilは、その子どものころみていたというヒンドゥー神話に関するテレビ番組について教えてくれた。

「俺が言っていることはこの番組の様子を見れば分かるはずだよ。アルバムに入ってるのと同じヴィシュヌの化身(Avatar)がどんなに馬鹿げた感じになってるかってね。」
彼が教えてくれた、Matsya(半魚人)の物語の番組はこんな感じ。
 
うーん、人様が信仰の対象にしているものをおちょくるようなことは基本的にはしたくないのだが、10分くらいからの、生身の人間が演じているヴィシュヌ神なんかはやっぱりちょっと無理があるように思うなあ。

さらに続きはもっと凄い。コントの西遊記みたいなことになってる。
途中、何かに配慮してか、モザイクみたいなのも入るけど、気にせず見続けて欲しい。
ヴィシュヌの化身たる聖なる魚、Matsyaが出てきてからが(1:30あたりから)本当にヤバい!
 

「このメイク、衣装、見た目、すべてが馬鹿げててくだらないだろ」
とサヒールは言うが、う、うん。思いっきり同意するしかないね。

さて、そんな彼らは自分たちをどうカテゴライズしているのだろうか。
ヒンドゥー神話をテーマにしたヴェーディックメタルというカテゴリーもあるわけだが。
 
「俺たちは自分たちのことをシンフォニック・デスメタルにカテゴライズしたいね。でも俺たちの音楽の根本にあるのはデスメタルだ。今ではそこにインドの要素が加わってるかもね。昔の作品はもっとストレートなシンフォニック・デスメタルだったんだ」
とのこと。
まあ、そりゃ無神論者だしそうなるわな。
今回紹介したDashavatarのみならず、Demonic DesurrectionやDemonstealerについては、いろんなアルバムがネット上でも聴くことができるので、興味のある人はぜひチェックを!

さて、今回のインタビューに協力してくれたDemonstealerことSahil、ケトン料理研究家としてもますます活躍しており、最近ではこんな本も出版した模様!
ketogenic
そして本業の音楽でも(もはやどっちが本業か分からないが)イギリスの大規模野外メタルフェス、Bloodstockへの出演が決定した模様!
ヘヴィーメタルという枠組みを越えて、国際的な活躍をするアーティストとして、これからも注目してゆきたいと思います。

さらに、彼にはもうひとつ別の顔があり、それはレーベルオーナー。
自身の名を冠したDemonstealer Recordsから、自身のバンドDemonic ResurrectionやThird Sovereign、Albatrossといったインドのメタルバンドだけではなく、Dimmu Borgir、Behemothといった海外の大御所バンドのアルバムもディストリビュートしている。

インドのメタルシーンと健康食シーンという、正反対の二分野で比類なき活躍を続けるSahil Makhija、又の名をDemonstealer.
バンドもますます世界的な評価を得てきていて、やがて来日公演なんかもしてくれるかもしれない。
(してくれたらいいなあ)
その時には、ケトン食で健康的になった体で暴れに行くぜ!

といったところで、また! 


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goshimasayama18 at 23:11|PermalinkComments(0)

2018年05月17日

紹介したアーティストの近況!海外公演など

今までに紹介したアーティストの近況をお届けします。
ムンバイのラッパー、DIVINEはカナダのトロントで行われるDesi Festへの出演が決まった模様。
DesiFest
ヒンディー語のラッパーが海外公演というのは興味深いが、これはどうやら現地在住のインド人やインド系移民を主なターゲットとしたイベントのようだ。
過去の映像を見るとインド系でないお客さんもそれなりにいるようなので、日本でいうと代々木公園で行われている「ナマステ・インディア」とか「タイフェスティバル」みたいな要素もあるのかもしれない。
デシ・ヒップホップすなわちインド系ヒップホップは、もともと海外在住の南アジア系アーティスト(例えばパキスタン系アメリカ人のBohimia)によって勃興したムーブメント。
このイベントでも、他の出演者はカナダやアメリカ在住の南アジア系であるThe PropheC(バングラ)、Roach Killa(ヒップホップ)、Parichay(ボリウッド)、Amar Sandhu(ヒップホップ)、Haji Springer(ヒップホップ)らが中心。
ここ数年で急速に発展したインド国内のヒップホップを代表するアーティストであるDIVINEは、カナダではまだまだ「未知のアーティスト」だと思うが、その彼にオーディエンスがどんな反応を示すのか、ちょっと気になるところではある。

グジャラート州アーメダーバード出身のポストロックバンド、aswekeepsearchingは現在ヨーロッパツアー中。
aswekeepsearchingTour
こちらはドイツや東欧中心で、これはおそらくはインド系移民向けというよりも現地のポストロックファン向けのものなのではないかと思う。
ヒンディー語で歌っているバンドでも、こういう音響至上主義的なバンドの場合、海外のファンもツアーができる程にいるということなのだろう。
(実際、aswekeepsearchingはロシアのレーベルと契約している)

先日お伝えしたムンバイのデスメタルバンド、Gutslitのアジア弾丸ツアーに向けたクラウドファウンディングは遅々として進まず、$5,000に対して5月16日現在でまだ$710。
先日Facebookで「ドバイまでのチケットを買ったぜ」という報告があったが、ドバイは最初の公演地。
果たしてツアーの最後から2番目の日本へは無事たどり着けるのか。
また続報をお届けします。
日本公演に向けてぜひサポートがしたい!という方はこちらからどうぞ。
GutslitTour
ところで彼らのツアータイトルの下にある"Bobs and Vegene Edition"という謎の言葉。
これは調べてみたら、ネット上のネタにされている"Boobs and V◯◯◯◯◯"(つまり「オッパイと◯◯◯◯」)のミススペリング。
マヌケなインド人の男性たちが、SNSやネット上のニュースで女性に対して卑猥なことを言おうとして、思いっきり間違って書いてしまったものがネタにされているということらしい。
デス/グラインド系のバンドらしく悪趣味で下品なツアー名をつけたかったのだろうけど、あんまり性差別的な言葉はこのご時世マズいし、そこでちょっとアホを揶揄したようなツアータイトルにした、ってところだろうか。
予算もないのに17日間で16公演の弾丸ツアーを企画するバンドにしてはよく考えられているなあ、という気もする。

というわけで、本日はインドのミュージシャンの海外での展開の例をいくつか紹介してみました。
考えてみれば、日本のミュージシャンでも、海外在住の日本人・日系人向けに海外公演を行う演歌歌手なんかもいれば、コーネリアスとかギターウルフみたいにコアな音楽性で海外でも音楽ファンに受け入れられているアーティストもいる。
インドのアーティストも同じようなもので、一部のアーティストは人種や国境を越えて評価されるだけのクオリティーがあるということなのだろう。
最近ではBabymetalみたいに日本のガラパゴス的な音楽がそのまま海外でも人気を博す例もあるわけで、インドのミュージシャンもこれからますますグローバルな評価を受けてゆくことと思う。(というか、そうあって欲しい)
そのときに、「ああ、あのアーティストなら昔から知ってたよ」みたいな謎の優越感に、インド人たちといっしょに浸りたいものである。 

三者三様、今日紹介したそれぞれのアーティストの代表曲はこちらから。




それではまた!

goshimasayama18 at 00:09|PermalinkComments(0)

2018年02月25日

インドNo.1デスメタルバンド Third Sovereignへのインタビュー

ども、軽刈田凡平です。
さて、前回お届けした通り、今回はインド北東部ミゾラム州のデスメタルバンド、Third Sovereignへのインタビューの模様をお届けします。
thirdsovereign
今回インタビューに答えてくれたのはヴォーカリストのVedant.
彼もまたすっごくいい奴で、同い年ということも分かり、お互いが聴いてきた音楽の話からインドのメタルシーンまで、いろんな話題が出たインタビューになりました!

インタビューはWhatsappっていうアプリの通話機能で行ったんだけど、彼のアイコンは奥さん(美人!)と一緒に写ってるやつで、デス声で死や厭世的な内容を歌っている人とはとても思えなかったよ。

凡「はじめまして。今日は時間を取ってくれてありがとう」
V「こちらこそ。聞きたいことはなんでも聞いてくれ」
凡「まずはインド北東部、とくにミゾラム州のメタルシーンについて教えて」
V「 ここ3〜5年くらい、メタルバンドはすっごく増えてきてるよ。Third Sovereignは2003年にBassのJonahとReubenが始めたバンドなんだ。もともと二人はCarpathiaっていうバンドをやっていて、ジャムセッションしながら曲を作っていったんだ」
凡「そのころのメタルシーンはどうだったの?」
V「その前はComoraとか、いくつかのバンドしかいなかった。彼らは2000年ごろから活動しているミゾのカルチャーをテーマにしたバンドだよ」
Comoraは以前、インド北東部のメタルについて書いたときにも触れたバンドだ。そんなに長くやってるバンドだったとは。

V「インド全体でも、そのころはデスメタルバンドはそんなにいなかった。当時からやっているバンドで今も現役のバンドは他にいないかな。
2003年の結成当時はMalaっていうヴォーカリストとJasonっていうギタリストがいたんだけど、何度かメンバーチェンジがあって、2005年にはAnshumanっていうギタリストが加入した。俺が加入したのは2006年だ。ベースのJonahが学校の後輩で、誘われたんだ。俺も2010年に一旦バンドをやめたときがあって、そのときはDevRajというヴォーカリストが代わりに入ったんだ。設立メンバーのJonahも仕事の都合で一回バンドを離れたことがある」
凡「仕事って?」
V「彼のお父さんが小学校を経営してるんだ」

なんと、デスメタルバンドのメンバーがお父さんが経営している小学校で働くとは。これまたデスメタルのイメージと違う。

V「一回バンドはデリーに出たんだけど、デリーのスタジオが火事にあって、いろんなマテリアルが焼失しちゃったんで、またミゾラムに戻ってきた。今のメンバーはベースのJonah、ドラムのReuben、ギターのBenjaminにヴォーカルの俺」
凡「 メンバーはみんなミゾ人なの?」
V「もともとはミゾで結成されたバンドだった。でも俺はアッサム人だし、元メンバーのDevRajはシッキム人、Anshumanやヴィッキーはデリー出身のメンバーだった」
凡「なるほど。インターナショナルっていうかインターステイトバンドなんだね。メンバーのコミュニケーションは英語で?」
V「俺はミゾ語が少し分かるんだ。あとは英語だよ」

凡「ミゾのバンドとしてのアイデンティティーが曲にも生かされている?例えばブラジルのセパルトゥラは伝統的なリズムを取り入れたり、北欧のメタルバンドも伝統的なメロディーを取り入れたりしているよね」
V「 俺たちも"Sakei Ai Hla / Grave of Humanity"という曲でミゾのフォークロアを使っている。山猫を殺した男の物語だ。他にもミゾの暮らしで感じたことや考えたことが曲に生かされているよ」

確かに、言葉は分からないなりにも「土着の不気味さ」みたいなものがうまく取り入れられた曲だ。

凡「ところで、初めてメタルを聞いたのはいつだったの?」
V「90年代から00年代くらいかな。初めはグランジを聴いていた。Sound Garden, Nirvana, Alice in Chainsとかかな。あとはもっとクラシックなタイプのメタル。Skid Rowとか」
凡「ちょっと待って、歳、同じくらいじゃない?」

ここで同い年であることが判明。

凡「90年代後半にインドを旅行したんだけど、デリーとかアーグラーとかじゃロックなんて誰も聴いてなかったよ。いったいどこで聴いてたの?」
V「そうだよね、分かるよ。その頃プネーにいたんだ。だからいろんな音楽が聴けた。IITグワハティ校でも聴いてたよ」

なんと、彼はMITを超えるとも称されるインド工科大学、IIT出身のエリートだった!
グワハティは北東部のアッサム州の州都で、このあたりは以前から書いている通り、インドの中心部よりも欧米文化の影響が強いエリアだ。
ここでなら、欧米のエクストリームミュージックに触れる機会があったとしても全く不思議ではない。
また、ムンバイと同じマハーラーシュトラ州にあるプネーも多くの大学が集まる学園都市で、ここも以前から若者文化が非常に盛んな街だ。他の大都市と比べても、ロックやメタルに触れる機会は多かったのだろう。


V「その後、2000年代に入ってから友達に借りてメタルを聴き始めた。最初はIron Maidenの"X factor"、次にMegadethの"Youthanasia"、そこからPanteraの"Cowboys from Hell"、"Vulgar Display of Power"...Iron Maidenは新しいアルバムのBook of Soulsも良かったよ」

アラフォーの元メタルヘッズには懐かしいアルバムが並んでるんじゃないだろうか。

凡「そこからだんだんヘヴィーな音楽を聴くようになっていったわけ?」
V「そういうわけでもなくて、アコースティックなものとか、NirvanaやAlice in Chainsは今でも好きだし、リラックスしたいときはブルースも聴くよ」
凡「影響を受けたバンドは?」
V「もう長くやっているし、直接的に影響を受けるってことはあんまり無いんだけど、デスメタルで好きなバンドを挙げるとしたら、Cannibal Corpse、Morbid Angel、Suffocation、Deathとかフロリダのデスメタルバンドかな」

凡「ツアーについて教えて。アルバムのPerversion Swallowing SanityのあとのBlood and Rootsツアーではインドの9都市を回ったんだって?」
V「その予定だったんだけど、実は北東部の数都市しか回れなかった。主に経済的な問題と、チェンナイで大洪水が起きて、交通上の問題もあった。インドでは都市間の距離が離れているから、ツアーするのはとても難しいんだ。日本はどう?」
凡「日本だったら東京〜大阪間は新幹線で3時間くらいだから、かなりツアーはしやすい環境と言えるね」

インドに行ったことがある人なら分かると思うが、インドでは都市間の移動は近距離でも夜行列車で1泊くらいするのはざらで、こういったコアな音楽のファンが多いであろう大都市のデリー、ムンバイ、バンガロール、チェンナイ、コルカタ間を移動するなら、鉄道で2、3泊しながら移動することになる。
バンドにとって、楽器や機材を運びながらの移動は非常に困難なものになるのは想像に難くない。

V「それにメタルバンドをサポートしてくれるスポンサーや会場を探すのも難しいんだ。メタルファンはライブ会場にとっても、たくさんドリンクを注文してくれるいいお客さんってわけじゃないからね。グワハティのDavid KochやバンガロールのSalman U. Syedといった数少ないオーガナイザーがサポートしてくれている。」
凡「名前からするとDavidはクリスチャンでSalmanはムスリムなの?いろんなバックグラウンドの人が関わってるんだね」
V「Davidはヒンドゥーで、本名はDwep Jyotiっていうんだ。」

なぜさっきからバンドメンバーの出身地やプロモーターの宗教を気にしているかというと、インドのインディーズミュージックシーンに興味を持ってから、ひとつ確信を持ったことがあるからだ。
その答えは、やがてVedantによって明らかになる。

V「かつてはデリーにAmit Saigalっていう素晴らしいプロモーターがいて、彼はG.I.R.(Great Indian Rock) Festivalというイベントを主催していたんだ。Third Sovereignも出演したことがあって、ヘッドライナーはノルウェーのブラックメタルバンドのEnslavedだった」

なんと。Enslavedはアタクシも名前くらい聞いたことがあるビッグネームだ。

凡「Enslavedがインドでライブをやったの?信じられないよ」
V「ああ。2007年のことだ。Amitは素晴らしいプロモーターだった。メタルだけじゃなくて、オルタナティブとか、あらゆるスタイルのロックをサポートしていた。でも残念ながら彼は2012年に海で溺れて亡くなったんだ。彼がいた頃はロックの黄金時代だった。」

まだまだメタルやロックのマーケットが小さいインドでは、サポートしてくれる人材も不足している状況にあるようだ。

凡「メガラヤ州のPlague Throatはドイツのヴァッケン・オープンエア・フェスティヴァル(大規模なメタル系フェス)でも演奏したみたいだけど、Third Sovereignも海外でライブをやってもいいくらいの素晴らしいバンドだよね」
V「ありがとう。日本でもプレイしてみたいし、メタルの盛んなチェコでもライブがしたい。そのために、アーティストのサポートをしてくれる政府機関のICCR(Indian Council for Cultural Relations)と接触しつづけているんだ」
凡「え?政府の機関がデスメタルバンドのサポートをしてくれるの?」
V「ハハハ、普通はそんなことないんだけど、中にはメタルに理解のあるスタッフもいてね」

凡「Third Sovereignのライブにはいつも何人くらい集まるの?」
V「300〜400くらいかな。会場にもよるけど」

この音楽性でこれだけの集客、アンダーグラウンドとはいえ、かなりの人気バンドじゃないか

V「そういえば、日本のデスメタルバンドのDefiledや兀突骨(Gotsu-Totsu-Kotsu)もインドをツアーしていたよ。DefiledはコルカタのDeath Festというイベントに出演したし、兀突骨はシッキム州のガントクとか、バンガロールでもライブをしたはずだ」

またしてもびっくり!まさか日本のデスメタルバンドもインドに進出していたとは!
このジャンルの国際化は思ったより進んでいるみたいだ。
ライブはいったいどんな様子だったんだろう。機会があったらぜひ話を聞いてみたいものだ。

凡「へえ!彼らはインドで人気があるの?」
V「オーディエンスにすごくいい印象を与えたと思うよ」

凡「インドでのメタルのライブはどう?ヘッドバンギングとか、モッシュ(観客同士が激しく体をぶつけあう)とかするの?」
V「ああ、そうだよ。たまにはボディービルやってるような連中がモッシュからケンカを始めたりね。日本はどう?」
凡「デスメタルはあんまり分からないけど、ハードコアとかだとみんなモッシュしてるよ。もう少しクラシックなタイプのメタルだとみんなヘッドバンギングしてる」
V「日本でメタルといえば、俺はX Japanの大ファンなんだ。あと俺は黒澤明の映画も大ファンで、羅生門や七人の侍は何度も見てるよ」

ミゾラム州でもX JAPANは有名だった。
日本では、存在が大きくなりすぎてヘヴィーメタルという枠組みで語られることは少ないが、やはり日本で最も有名なメタルバンドといえばX以外には考えられないのだろう。
そしてここでクロサワの名前が出てくるとは。
正直、アタクシはあんまり彼の映画を見たことがないので、あまり反応できずになんか申し訳ない気分になる。

凡「ところで、VedantはThird Sovereignの音楽をどんなふうにカテゴライズする?デスメタル?ブラックメタル?」(※ブラックメタルはより反宗教的、悪魔主義的な傾向が強いサブジャンル)
V「デスメタルでも、ブラックメタルでも、好きなように呼んでくれて構わないよ」

ここで、確信をついた質問をしてみた。

凡「なんで聞いたかっていうと、インド北東部はクリスチャンの割合が非常に高いよね。ブラックメタルはもともと反キリスト教的な傾向のある音楽だから、そういった社会の状況と関係があるのかどうか知りたかったんだ。ヨーロッパのブラックメタルバンドの中には、教会に放火したりとか、非常にアンチ・キリスト教色の強いバンドもいたよね。北東部のブラックメタルもそういう過激なアティテュードを持っているの?それとも、いわゆるフィクション的なものとして演奏してるの?」

V「そうだな。知ってのとおり、インドの社会にはいろいろな問題がある。宗教と宗教が対立したりとか、地域やコミュニティーの対立とか。そういう社会問題が曲のテーマになることもある。俺たちは、反宗教というより、宗教同士、コミュニティー同士の対立にうんざりしているんだ。ブラックメタルやヘヴィーメタルはそれ自身がひとつの宗教みたいな感じだ。そういった様々な違いや対立にこだわるんじゃなくて、音楽は個人のバックグラウンドに関係なく夢中になることができる。アーティストはそういう表現のひとつとしてブラックメタルを演奏しているんだ」

そう。大国であるがゆえに宗教、言語、民族、貧富、カースト、地域と様々な多様性を抱えたインドは、対立する要素にも事欠かない。実際に、ヒンドゥーナショナリズムの台頭やイスラム過激派によるテロ、新しい州を求める独立運動や権利拡大運動など、様々な紛争が発生している。
紛争とまで行かなくても、基本的に所属しているコミュニティーが違えば、伝統的な社会の中ではお互いにあまり干渉しあわないのが常とされてきた。
でも、例えばヒップホップシーンでは、クリスチャンのDIVINEも、ムスリムのNaezyも、シク教徒のPrabh Deepも、北東部のBKも、共演したりもするし、その背景に関係なくリスナーの支持を受けている。
音楽の力による対立の超克。いや、そんな難しい事ではなく、誰がやっていようが素晴らしいものは素晴らしい。
こういう部分こそ、インドの音楽シーンの最も愛すべきところだと思う。
もちろん音楽そのものの素晴らしさもあるが、音楽という新しい価値観によって、伝統的な相違がいとも簡単に乗り越えられてくということ
それこそが、アタクシがインドの音楽シーンに非常に魅力を感じる最大の理由のひとつだ。

インドでは、エンターテインメントの本流であるボリウッド映画の世界でも、20年以上トップスターの座を維持しているシャー・ルク、アミール、サルマンのいわゆる「三大カーン」はインドでは少数派のムスリムだが、宗教感情に関係なく国民的な人気を得ているし。
そんな内容をVedantに伝えると、

V「ああ。宗教や文化や、あらゆる違いを乗り越えられるのが音楽の素晴らしいところだ。俺は今こうして遠く離れた東京にいる君と話をしている。そんなことができるのも、俺が音楽を演奏してきたからだ。自分がメタルをやってきたことで、いろんな文化のいろんな人たちとコミュニケートできる。こんなに素晴らしいことはないよ」

ありがとう。
その言葉をミュージシャン本人から聞けただけでも、インドの音楽についてのブログをやってて良かったと思えるよ。
宗教、文化、思想、地域。あらゆるものを乗り越える音楽の力を改めて感じさせられたインタビューになった。

彼らの音楽はデスメタル。
歌詞を調べてみると、死、絶望、憎悪、そんなのばっかりだ。
曲のタイトルも"Living This Hate"とかね(とてもかっこいい曲だけどね)。
でも、こういう極端な音楽のファンがインド中、世界中にいて、あらゆる差異を超えて繋がれるというのは本当に素晴らしいことだと思う。
世の中に絶望を感じて、こういう詞世界に魅力を感じている若者にとってみたら、こういった音楽をプレイするバンドがアメリカやヨーロッパだけじゃなくて、インドのすみっこの北東部にもいるってことが、とてもうれしいと感じるはずだもの。

Vedantは、「北欧のバンドの中には過激な行動をした奴らもいたけど、彼らも音楽自体は非常に素晴らしいと思うよ。大事なのはどんな人が演奏しているかじゃなくて、音楽それ自体なんだ」とも語っていた。
非常に成熟した芸術への接し方であるように思う。
ここ日本では、昨今、アーティストのちょっとした不祥事にも非常に過敏になる風潮があるが、こうした姿勢はアタクシ達日本人も大いに見習うべきところがあるだろう。

最後に、彼らが契約しているレーベルについて。
彼らの現時点での最新アルバム「Pervertion Swallowing Sanity」は、ムンバイの「Transcending Obscurity」というレーベルから発売されている。
このレーベルはKunal Choksiという人物によって運営されていて、このダウンロードや定額聴き放題全盛の時代に、世界中のアンダーグラウンドなエクストリームメタル音楽の膨大タイトルのCDをプレスしまくっているという、非常に酔狂かつ情熱的なレーベルだ。
いつかこのレーベルについても取り上げてみたいと思っている。

このレーベルからリリースされたThird SovereignのCDは、日本でもdiskunion で入手できるようなので、興味のある人は是非チェックを!

初めは興味本位で調べ始めたインドのデスメタル。
知れば知るほど深くてグッとくるなあー。
それではまた! 

goshimasayama18 at 02:45|PermalinkComments(0)

2018年01月26日

インド北東部でいったい何が!? Death Metal from “7 Sisters States”

前回、「インドのペイガン・メタル」なんていう濃いものを書いてしまったので、今回は軽くて洒落ているものを書こうと思っていたら、ああ、なんたること、また濃くてむさ苦しいネタを見つけてしまった…。

 

「インド北東部7州」といってピンと来る人は、相当インドが好きな人かインド人くらいだと思うので、まずはインドの地図をごらんください。

 インド地図

 

この菱形に近いインドの地図の東側のコルカタのさらに東、ちょうどバングラデシュに抉られるようになった東の端の、ちぎれてしまいそうな部分。

ここに、英語で”Seven Sisters”と呼ばれる7つの州がある。

アルナーチャル・プラデーシュ州、アッサム州、メーガーラヤ州、マニプル州、ミゾラム州、ナガランド州、トリプラ州の7つの州のことだ。

 インド北東部

いずれの州も北インドのアーリア系とも、南インドのドラヴィダ系とも違うモンゴロイド系の民族が暮らしていて、インドの大部分とはまったく違う文化や言語を持った地域だ。

それぞれの州ごとに、異なる言語や文化があり、さながらこの地域は民族のモザイクのような様相となっている。

気候の面でも、どちらかというと乾燥したインドの大地とは異なり、密林が広がる山岳地帯が多く、メーガーラヤ州のマウシンラムという村は年間で最も雨が降った場所(1985年。26,000mm)とされている。

この地域は中国、バングラデシュ、ミャンマー、ブータンと国境を接していて、私がよくインドに行っていた’90年代後半〜’00年代初頭頃は外国人の立ち入りが禁止されていた、まさしくインドの辺境中の辺境。

ちょっと景色や人々を見てみると、こんな感じだ。

 
メガラヤ州の絶景
Meghalaya-–-Visiting-the-cleanest-village-in-the-world-CP

マニプル州の谷間の街
manipur

ミゾラム州の州都、アイザウル
mizoram aizawl-city


 ナガランドの人々
Nagaland-People

 アッサムの茶畑。まるで静岡みたい。
assam-719

 

それぞれ独自の文化を保った人たちが豊かな大自然の中で暮らすのどかな地域っといった印象を受けるね。

Seven Sistersはインド辺境の古き良き文化が残る純朴な7姉妹といったイメージだ。
ところがしかし。

 

前回の記事を書いている時に、YoutubeThrashDeath Assaultという物騒な名前のユーザー(どうやらインドのヘヴィーメタル愛好家のようだ)が、Top 10 Indian Death Metal Bandという動画を挙げているのが目についたので、なんとなく見てみることにした。

それがこちら。

 

 

ちゃんとバンド名といっしょに出身都市の名前が出てくる親切仕様になっていて、アタクシのような人間にはありがたい。

へえ、インドにそんなにたくさんデスメタルバンドっているんだ、ムンバイとかバンガロールみたいな大都市、国際都市のバンドがたくさん出てくるのかなあ、と思ったて見ていたら、さにあらず。

耳慣れない地名が次から次へと出てくる。しかも、明らかにモンゴロイド系の顔のメンバーがいるバンドが出てくる出てくる。

 

紹介されているバンド名、出身都市、出身州を並べてみるとこんな感じ。

1. IIIrd Sovereign アイゾール(ミゾラム州) 

2. Gutslit : Mumbai ムンバイ(マハーラーシュトラ州)

3. Plague Throat シロン(メーガーラヤ州)

4. Demonic Resurrection ムンバイ(マハーラーシュトラ州)

5. Godless ハイデラバード(アーンドラ・プラデーシュ州)

6. Sycorax ダージリン(ウエスト・ベンガル州)

7. Agnostic グワハティ(アッサム州)

8. Killibrium ムンバイ(マハーラーシュトラ州)

9. Alien Gods イーターナガル(アルナーチャル・プラデーシュ州)

10. Wired Anxiety ムンバイ(マハーラーシュトラ州)

 

と、なんと例のインド北東部、セブン・シスターズ出身のバンドが4つも入っている。6位のSycoraxの出身地である紅茶で有名なダージリンも、州こそ違うが地理的にはかなり近いところにあり、じつに10バンド中半分がインド北東部出身ということになる。

9位のAlien Godsの出身地イーターナガルなんて、調べてみたら、人口35,000人のこんな町だ。

 itanagar-head-145

いったい何故、こんなにのどかな地方でデスメタルを?

しかも、全部、メロディアスだったりシンフォニックだったりしないゴリゴリの骨太な感じのやつだ。

 

ひょっとするとこれは選んだ人がこのへんの地方の人で、恣意的なランキングなんじゃないかと、今度は、www.toptens.comというサイトの「Top 10 Metal Band in India」という記事を見てみた。

Top 10といいながら144位までランキングされていて、まずそもそもインドにそんなにメタルバンドがいるってことに驚いた(最後のほうは「High School Band」とかも出てくるからなんとも言えないが)んだが、このランキング(デスメタルに限らない)でも、東北7州のバンドはTop10入りこそ逃したものの、100位までで21組もいる。

参考までに書くと、セブン・シスターズの人口は4,500万人。インド全土の人口の3.7%に過ぎない。州のGDP、一人当たりGDPも比較的低い州ばかりだ。

豊かな自然や独自の文化があり、楽器なんかもそうそう流通してなさそうな(買うお金だってバカにならないし)これらの州で、いったいなぜデスメタルが流行っているのか。

ナガランドなんかは、昔は首刈りの風習があって、一人前の大人の男と認められるには余所者の首を刈ってこないといけない、っていう習慣があったところなので、なんかこう、残虐性に惹かれる文化があるのだろうか。

それとも、この地域は歴史的にゲリラ的な独立闘争運動が盛んだったことから、インド政府に隷属せざるを得ない怒りのようなものが蓄積されているのだろうか。

 

ひとまず、どんなバンドがいるのか見ながら考えてみようか。

とはいえ、あんまり動く映像があるバンドが多くないんだよなあ。

まずは、インドのデスメタルバンド10選の3位、メーガーラヤ州のPlague Throatをどうぞ。
 

このバンドはドイツのフェスティバルでの演奏経験もあるようだ。

しっかし、デスメタルとはこういう音楽と分かっていながら、どうしても酒を飲みすぎて猛烈な頭痛と吐き気を催し、トイレでのたうちまわっている状態のように聴こえてしまって仕方がない。

デスメタルだなあ!とは思うけど、あまりにも類型的すぎてなんとも言えないなあ。まあ、それだけ良くできているとも言えるが。

 

続いては、インドのデスメタルバンド10選の9位、アルナーチャル・プラデーシュ州イーターナガル出身のAlien Godsのコルカタでのライブの様子がこちら。
 

あんなのどかなところ出身なのに、なぜこんなことに。

田舎のお母さん、心配してるよ。まあそれ言ったらSlipknotの故郷のアイオワだってど田舎なわけだから言いっこなしかもだけど。

 

今度はデスメタルから離れまして、インドのメタルバンド100選から18位のバンド、アッサム州のXontrax.


音は激しいけど、なんか短髪のメンバーがすごく真面目そう。

邪悪な感じがあんまりしないな…。もっともてそうな音楽やれよ、って言いたくなる感じ。

 

続いて、インドのメタルバンドベスト10041位、ミゾラム州のComora、お聴きください。


おお、ちゃんとした(?)ミュージックビデオだ。

こちらもサウンドは激しいけど、なんかすっげえ朴訥。山の中で民族衣装を着て演奏してる…。なぜこのシチュエーション、この格好でこの音楽なのか。

 

続いて、メタルバンドベスト10058位、首刈りがかつて行われていたというナガランドのIncipitというバンド。


これ、メタルじゃないじゃん。なんかジャーニーみたいな爽やか感じのロック。

メンバーやっぱり朴訥としてるなあ。

 

うーん、ランキング下位のバンドになってくると、朴訥ばかりが気になって、なにが彼らをメタルに駆り立てているのか、映像を見てもよく分からない。

 

ここから先は完全にアタクシの推測。

高野秀行の「西南シルクロードは密林に消える」って本によると、2002年ごろのナガランド州ディマプルという町の様子はこんなふうだったという。

 

何よりも意外だったのは、その若者たちのファッションだ。Tシャツか派手な柄のシャツをだらっと着流し、下は膝小僧が見え隠れするくらいの長さのハーフパンツ。頭にはバンダナを巻くかアポロキャップをかぶり、素足にジョギングシューズをはいている。いわゆるヒップ・ホップ系のストリート・ファッションというやつだ。

女の子もまちがってもサリーなど着ておらず、茶髪が多く、服装もTシャツにジーンズなどで、これまた日本の今時の若い子と変わらない。

(中略)

「ナガ人はクリスチャンだから、インド人よりずっとアメリカナイズされているんだ」

 

そう、インド全体では2%に満たないキリスト教徒だが、セブン・シスターズ諸州では人口の2割ものクリスチャンがいる。人口規模が圧倒的に多いアッサム州にヒンドゥー教徒が多いので、地域全体では2割にとどまっているが、ナガランド、ミゾラムでは9割、メーガーラヤでは7割以上がクリスチャンだ。

 

歴史的にヒンドゥー文化圏外だったこの地域では、もともとはヒンドゥー信仰よりもアニミズム(精霊信仰)が盛んだった。

そこに、西洋の宣教師たちがこぞって布教に訪れたことで、住民の多くがクリスチャンに改宗し、現在に至っている。

セブン・シスターズ諸州では、キリスト教への改宗によって精神的な面での欧米化が早くから進んでおり、かつ文化的にもいわゆるインド的なものへの共感がしづらい文化的背景であることから、ボリウッドの影響も少なかったと思われる。

おそらくだが、インターネットの発展などで、同時代の欧米の文化に接することができるようになったとき、セブン・シスターズの若者たちは、インドのポップカルチャーであるボリウッド的なものよりも、アメリカを始めとする欧米の文化のほうに魅力を感じたのではないだろうか。

その中の一部の若者たちはデスメタルのような激しいサウンドに惹かれ、結果的にインドの他の地域よりも、デスメタルバンドの数が顕著に多い、ということになった、とは言えないだろうか。

ちなみにこの地域、他国と国境を接する軍事上の要衝でもあるため、道路や電気といったインフラは意外と整備されているようで、楽器(エレキギターとかね)の入手や演奏は以外と容易だったのかもしれない。

とはいえ、やっぱりこの推論にはちょっと無理があるような感じもする。

 

こうなったら、便利なこのご時世、SNSを通じて直接彼らに聞いてみたいと思います。
いったいどんな返事が返ってくるのか、乞う御期待!



goshimasayama18 at 00:24|PermalinkComments(0)

2018年01月21日

神話炸裂!インドのペイガン・メタル!

こんにちは、伊藤政則です(ウソ)。

前回、映画「バーフバリ」についての記事で、神話的なものがインド人の感性に深く根ざしているのではないか、ってな話を書いたのだけど、今回はそれに関連して一席。

インドの若者って実は結構メタル好き率が高いのではないかと思っていて、以前紹介したRolling Stone India誌が選ぶ2017ベストアルバム10とか、ベストミュージックビデオ10の中にも、今どきしれっとゴリゴリのデスメタルやスラッシュが選ばれるくらい。

というわけで、今回紹介するのはインドのペイガン・メタル!

とは言ってみたものの、みなさん、ペイガン・メタルって言葉はご存知ですか?

知らねえよなあ。

知らなくて普通です。

 

ヘヴィ・メタルという音楽は、その創生期から反キリスト教的、悪魔主義的なイメージを打ち出していたのは周知の通り。Black Sabbathとかね。

でもそれって、おそらく当初は反社会的、アンチモラルな感じで、かつ不気味でやばい感じのイメージ作りだったと思うんですよ(単なる悪趣味という気もしないでもない)。

ところがだんだん、本気で悪魔崇拝をし始めて、ビバ悪魔!地獄最高!ってな音楽を作る奴らが出てきた。

いわゆるブラック・メタルというやつですな。

屍体を模した白塗りのメイクをして(コープス・ペイントという)、トゲトゲのいっぱいついた黒い服を着て「地獄からやってきた悪魔だぜ!ギャー!」ってなお歌を歌う。

ひどい連中になると、悪魔主義の思想を行動に移して教会に放火したり、殺人を犯したりする奴も出てくる。何て奴らだ。

 ブラックメタル
 典型的なブラックメタルバンドはこんな佇まい

ところが、そのうち彼らは気づいたんでしょうな。

「あれ?悪魔って、キリスト教の中の概念じゃん。アンチ=キリストって言ってるのに、キリスト教が考え出した概念を歌ってるのっておかしくね?」と。

 

そこで彼ら(註:ブラック・メタルの本場、北欧のバンド達のことです)は考えた。

「キリスト教の考えた概念である悪魔について歌うんじゃなくて、キリスト教伝来以前の俺たちの独自の文化や信仰をメタルにしよう!これこそが真の反権威、反宗教だ!」と。

こういう思想の音楽をペイガン・メタルという。

同じような発想でできたジャンルにヴァイキング・メタルというのもあって、もちろん食べ放題のことを歌詞にしているのではなく、俺たちの古代の英雄たる海の覇者をメタルにしようって寸法だ。

 

で、インド。

北欧で「独自の文化」をブラック・メタル、デス・メタル的サウンドに乗せた連中がいたのと同じように、インドでも独自の文化、具体的には神話的ヒンドゥー世界をメタルにしたバンドっていうのがいる。

彼らはVedic Metalというジャンルで呼ばれていて、VedicというのはVedaの形容詞。世界史で習ったリグ・ヴェーダとかのヴェーダだ。

Vedic Metalというのはインドの古典である神話、伝承、哲学なんかをテーマにしたバンドということ。

 

前置きが長くなりました。まずはこちらをお聴きください、Rudra” Hymns from the Blazing Chariot”


 「オーム!」のマントラとタブラのイントロから、怒涛のメタル・サウンドに!

どうやらインドの超大作古典文学「マハー・バーラタ」をテーマにした曲の模様。

このビデオ、バーフバリみたいなドラマ部分もイカす。

考えてみれば、神々の戦いを描いたヒロイックな神話はヘヴィーメタルの題材にぴったりだよなあ。

ちなみにRudraというのはインド神話に出てくる暴風神とのこと。

Wikipediaによると、なになに、「『リグ・ヴェーダ』の中では彼はアスラとも呼ばれ、アスラ神族が悪魔とされる時代以前の名残りをとどめている。」

おおっ!インドのペイガン・メタルにぴったりのバンド名じゃないか!

 

続いての曲。The Down Troddence で、その名も”Shiva”


彼らは”Folk Metal”として紹介されることも多いようで、フォークっていっても南こうせつとかさだまさしじゃなくて、民間伝承メタルという意味だろう。

 

続いてDevoid”Brahma Weapon”

「神の武器」とでも訳したら良いのかな。

 

 

だんだんおなかいっぱいになってきたので、次で最後!

Bhairav ”Kaal ratri”

 

いつ歌が始まるのかと思っていたらなんとインストだった。230秒くらいからの展開が結構すごい。


さて、欧米のペイガン・メタルバンドが宗教的権威たるキリスト教への反発から悪魔主義、ペイガニズムに傾いていったのは最初の方に書いた通り。
それじゃあインドのVedic Metalはどういうところから出てきたのか。 

インドの最近の小説なんかだと、欧米文化に憧れつつも、物質主義的、功利主義的な考え方に反発する若者の気持ちというのが描かれていて、欧米で生まれたエクストリームミュージックにヒンドゥーの神話という組み合わせは、そういう西洋へのアンビバレンツな感情というところから出てきたものなんじゃないだろうか。
西洋から生まれた音楽のある種の究極と言えるデスメタル的なサウンドに乗せて、自分たちの文化的・宗教的なルーツを誇らしげ歌うというのは、矛盾と言えば矛盾だけどなんだかとっても面白い。

単に手近にあるものでこういうサウンドにふさわしいモチーフがヒンドゥー神話だったってだけかもしれないけれど。

 

本日の各バンド、改めて紹介します。

Rudraはインドではなくシンガポールのインド系のバンドで1992年結成。

あ!いきなりインド本国のバンドじゃなかった!インド系ではあるけど…。それにかなりの歴史があるバンドでした。
 rudra

かなり早い段階からこの音楽性を導入していたようで、幾度かのメンバーチェンジの末、現在はKathir – Vocals&BassShiva – DrumsSimon – GuitarsVinod – Guitarsのメンバーで活動している。

メタルとインド舞踊の融合といったかなーり斬新な試みもしているようだ。




The Down Troddence
2009年結成のケララ州のバンド。

the down troddence
このバンドには名前を見るとムスリムのメンバーも在籍しているみたいだ。

ヒンドゥー的なテーマを扱っていても反イスラム的な思想というのはないみたいで、そう考えるとインドの音楽シーンというのは本当に健全。

この”Shiva”のビデオはIndiGo South Asian Music Awardsのベストミュージックビデオ賞を受賞したとのこと。

 

Devoidはムンバイのバンドで、2005年に結成。
 devoid

反体制、宗教、戦争をテーマにしたデス/スラッシュ・メタルバンドらしいが詳しくは不明でした。

 

Bhairav2009年にデリーで結成されたバンドで、シヴァ神への絶対的な帰依を拠り所にしているという。
bhairav
音楽的には80年代のスラッシュメタルに影響を受けているようだ。

 

日本に縄文メタルとか無いし、アメリカにもインディアンメタル(あれ?インドのメタルになっちゃったけど)というのは無い(知る限りでは)。

「メタル」というすでにそれ自体が強烈な個性を放つジャンルすらも自らの伝統的世界観に取り込んでしまうインド。さすが、懐が深いなあ。

 

と思ったら、モンゴルのメタルバンドというのも凄かった!

https://gakkimania.jp/freak/1174

 

いやはや世界は広いっすな。

 

 

追記:Vedic Metalのジャンルに括られるバンドとして、チェコのCult of Fire、ウクライナのAryadevaといった東欧のバンドもいる。

面白いところでは、ロシアのバンドでKartikeya というのがいて、彼らはインドの古典声楽(マントラみたいなもの?)と共演した楽曲なんかも発表している。"Kannada - Munjaaneddu Kumbaaranna"という曲。
 

なんかもう独特の世界だ(このバンド、普段は普通のデス声で歌っている)。間奏のギターソロは筋肉少女帯の橘高みたいだし。

なぜ非インド人である彼らがVedic Metalを標榜しているのかは不明だが、おそらくはインド-ヨーロッパをつなぐアーリア人主義的なものがあるのではないかと思われる。この考えを突き詰めるとナチズムに行き着くわけで(実際にブラック・メタルバンドには親ナチを表明しているバンドもいる)、Vedic Metalにはこういった危険な側面もあることも頭に入れておきたい。

入れておいてどうする、とも思うけど。



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