北斗の拳

2019年04月26日

『北斗の拳』をインドで実写映画化してくれないものか

前回、話題のインド映画(ヒンディー語)『パドマーワト 女神の誕生』について、「『北斗の拳』の実写版のようだった(いい意味で)」という感想を述べたが、そういえば、以前大ブームとなったテルグ語映画の『バーフバリ』を見たときも同じような印象を受けたことを思い出した。
暑苦しいほどのヒロイズム、荒唐無稽なほどの強さや精神力を、どこか冷めたメタな視点を入れずに違和感なく表現できるのは、いまや世界中でインド映画だけだ。
インドなら『北斗の拳』の世界観を完璧に映像化できるはず。
多くのファンが想像し、そして諦めた『北斗の拳』の実写映画化を、誰かインドで実現してくれないだろうか。

ハリウッドによる日本のマンガやゲームの実写化は、これまで世界中のファンに数知れない失望をもたらしてきた。
『ドラゴンボール』『スーパーマリオ』『ゴジラ』…我々には、無用なアメリカナイズや脚色によって数々の名作が台無しにされてきた苦い思い出がある。
しかも、最近ではさらに『ポケモン』とか『君の名は。』とか『進撃の巨人』までアメリカで実写映画化されようとしていると聞く。
アニメファンでなくても、これ以上、ハリウッドに日本の財産ともいえるコンテンツをめちゃくちゃにされるのを見たくはないという人たちは多いだろう。

だが、インドならやってくれるはずだ。
「世紀末を舞台に、伝説の暗殺拳の継承をめぐって戦いが繰り広げられる」という破天荒なストーリーを余計なアレンジ無しで表現できるのは、インド映画をおいて他にない。
そして、強さと悲しみを抱えた救世主、覇道を突き進む冷酷なダークヒーロー、慈愛に満ちたヒロイン、義を貫くサブキャラクターなどの強烈すぎる登場人物を完璧に演じることができるのもまた、インド人俳優をおいて他にないはずだ。

その理由は何故か。
登場する男性キャラがほぼ全員マッチョである『北斗の拳』を、もし日本やアメリカで映画化するとしたら、出演する俳優を限られた肉体派スターの中から選ばなければいけないという制約があるが、インド映画界においては、男性スターはほぼもれなく全員筋肉質。
単純に演技力やキャラクターのイメージに近い俳優を選ぶだけで良い。
限りない愛と慈悲をたたえた女性キャラクターたちも、美しすぎるインド人女優が演じれば、全く不自然さを感じないだろう。
インド人俳優たちは、インドの中ではかなり色白な人が多いので、日本人の目線で見ても、少なくともハリウッド俳優に演じさせるよりは違和感が少ないはずだ。
彼らがもれなく目鼻立ちがはっきりした劇画的な美男美女であることもポイントが高い。
原哲夫先生が描くキャラクターのイメージにピッタリだ。
インド映画と『北斗の拳』両方のファンなら、この役はこの俳優にやってほしい、というアイディアがいくらでも出てくるだろう。

『バーフバリ』や『パドマーワト』を見れば分かる通り、昨今のインド映画では、映像技術や特殊効果に関してもハリウッドに引けを取らないものを持っている。
少なくとも日本の子供向け特撮映画よりははるかに高いレベルに達している。
北斗神拳の異次元の戦いも、完璧に映像化してくれるに違いない。

もうお分かりだろう。
『北斗の拳』を実写映画化するとしたら、日本でもハリウッドでもなく、どう考えてもインドしかありえないのだ。


インドと『北斗の拳』といえば、忘れられない思い出がある。
もう1年以上前の話になるが、友人のインド北東部のデスメタル・アーティストが、突然Facebookのプロフィール画像をこの絵に変えたのだ。
omae wa mou shindeiru

それだけでも十分びっくりしたが、これに対して彼や彼の友人たちが、コメント欄に日本語で「Omae wa mou shindeiru」とか「Nani?」とか書いているのを見て、さらに驚いた。
彼に「これが『北斗の拳』のケンシロウって知ってるの?」と聞いたところ、「もちろん知ってるよ。この『お前はもう死んでいる』『ナニィ?』っていう動画がすごく流行ったんだよ」とのこと。

また別のムンバイの友人も、前回の記事をGoogle翻訳で読んで「何か『北斗の拳』(Fist of the North Star)に関連したことを書いたみたいだけど、何だって?」と連絡してきた。
彼もまた「お前はもう死んでいる」の動画を知っていたらしい。
さらに彼からはこんな動画を教えてもらった。
インド版「お前はもう死んでいる。ナニィ?コンピレーション」。こんなの作ってる人もいるんだ!


そう。インドでもサブカルチャー好きの若者たちの間では、『北斗の拳』はもう十分に知られているのだ。
分かりやすい勧善懲悪、過剰なまでの悲劇性、愛、宿命、そして派手なアクション。
『北斗の拳』はインド映画と共通する、インドの人々が大好きなテーマをいくつも持っている。
悲しい愛と胸のすくようなヒーローの活躍は、インドでも大ヒットするに違いない。
誰かインドの映画監督に、「こんな素晴らしい原作がありますよ!」と紹介してくれないものだろうか。
この「お前はもう死んでいる」「ナニィ!」の名シーンに関しては、世界中でいろんな種類の面白動画が作られていて(気になる人はYoutubeで検索を!)、あらゆる国で有名になっているのだ。
このシーンをかっこよく映像化することができれば、世界中でヒットさせることも夢ではない。


ちなみにインドと北斗の拳といえば、ケンシロウはシク教徒の悪党とも戦っている。

『北斗の拳』は第一話で舞台が日本であることが示唆されているが、トキが幽閉されていたこのあたりは核戦争後の西葛西だろうか。

もし『北斗の拳』がインドで映画化されるとして、ひとつだけ注文をつけるとしたら、頼むからケンシロウやラオウにダンスを踊らせるようなことはやめてくれ、ということだろうか。
そこだけは、ひとつよろしくお願いします。



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goshimasayama18 at 21:53|PermalinkComments(0)