カバー曲

2019年07月24日

インドのアカペラ・グループVoctronicaが来日!Aditi Rameshもメンバーの一人です

以前このブログでも紹介したムンバイのアカペラ・グループ、Voctronicaが来日する。
(参考「インド映画音楽 リミックス&カバーの世界!」) 

Voctronicaは、男女6人からなるアカペラ・グループ。
インド映画や洋楽のヒット曲のカバーを巧みなアレンジでカバーし、高い評価を得ている。

インド現代音楽界の巨匠A.R.Rahmanの曲を時代順に追った"Ecolution of A.R.Rahman".
(何度かメンバーの変遷があり、この時期は5人組だった)


「ヴォーカルのみのインストゥルメンタル・ナンバー」というコンセプトの"Dis Place"

この2つの動画を見れば、彼らの実力がお分かりいただけるだろう。
今回の来日は、8月9〜12日にかけて香川県高松市で開催される"2019 Vocal Asia Festival(ボーカルアジアフェスティバル)"のなかで開催される"2019 Asian Cup A Cappella Competition"に参加するためのもの。
このイベントは毎年アジア各国で場所を変えて開催されており、今年は高松での開催となる。
このコンペティションには、彼ら以外に日本、中国、韓国、香港、フィリピンの代表グループが参加する。
優勝賞金は3,000ドルで、優勝チームは来年上海で行われるアカペラ・フェスティバルへの出演が約束されるそうだ。

Voctronicaは海外での活躍が続いており、先日もモスクワで開催されたMoscow Spring Acapella Festivalに出演したばかり。
そこで披露した「ビートルズ・メドレー」の様子がこちら。

いきなり"I Want You(She's So Heavy)"から始まり、シブイなー!と思ったら1曲が超短い!
ものすごくせっかちなアレンジだが、全編にわたって素晴らしいアレンジのハーモニーを聴かせてくれている。

現在のメンバーは、Avinash Tewari, Arjun Nair, Warsha Easwar, Clyde Rodrigues, Nagesh Reddy, Aditi Rameshの6人。
それぞれが、ロックや古典など異なるバックグラウンドを持つシンガーで、2人のビートボクサーのうちの1人、Nageshはムンバイの老舗ヒップホップクルー、Mumbai's Finestの元メンバーでもある。
Aditi Rameshは、以前このブログでも紹介した、元法律家という異色の経歴を持つ女性ジャズ/ブルースシンガーで、ソロアーティストとしては先日ニューEPの"Leftovers"をリリースしたばかり。
彼女はもともと南インドの伝統音楽カルナーティック音楽を学んでいた経験があり、ソロEPのオープニングナンバーの"Origin"では、カルナーティックとジャズのスキャットを自在に行き来するヴォーカルを聴かせている。


他のメンバーも、心理療法士や音楽ディレクター、声優などとして活躍しているようで、音楽以外でも多彩な才能を持つアーティストが集まったグループだ。
Voctronicaからもう1曲。
QueenへのトリビュートとしてYoutubeで披露した、"Bycicle Race"。


今回の来日のために、彼らはクラウドファンディングで資金集めをしているとのこと。
この動画は彼らの自己紹介も兼ねており、国内のファンにインド代表として支援を募っている。
 
https://www.ketto.org/fundraiser/help-voctronica-represent-india-at-vaf-2019-japan

高松近辺にお住まいの方は、ぜひ彼らの来日公演をチェックしてみてほしい。
チケットは無料!
いかにもアカペラ的なボーカルハーモニーだけではなく、楽器の音なども声だけでリアルに再現することがモットーだというVoctronica.
どんな楽曲をどんなハーモニーで聴かせてくれるのか、非常に楽しみです!

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goshimasayama18 at 17:56|PermalinkComments(0)

2018年08月01日

インド映画音楽 リミックス&カバーの世界!

改めまして、軽刈田凡平です。
このブログでは、インドの娯楽の一大産業である映画音楽とは関係なく、自分たちの表現したいことを自分たちのやり方で表現している、ロックやヒップホップなどのアーティストを紹介しています。
ご存知のようにインドの映画についてはかなり日本にも紹介されるようになったのだけど、コンテンポラリーな音楽シーンに関してはまだまだ情報が限られているので、広いインドの全てをカバーできるわけではないけれども、これぞと感じたものを書かせてもらっています。
(最近コアな内容が続いたので、改めての所信表明)

さて、今回は、そんなインドの音楽シーンのメインストリームである映画音楽に対してのインディーズのミュージシャンからのアプローチ!というテーマでお届けします。
(それなりに資本が入ってそうなものが多いので、ここで取り上げるミュージシャンたちが厳密な意味でインディーズと言えるかどうかは不明だけど、今回はひとまず非映画音楽=インディーズという乱暴なくくりで進めますのでよろしく)

このブログの記念すべき第1回目で紹介したデリーのトラップ/ダンスミュージックのアーティストSu Realは、その後Amazon Primeのインド版による懐かしのボリウッドソングのリミックス大会、その名も「The Remix」という番組に出演し、歌手のRashmeet Kaurとのコンビで見事優勝!
その番組内でのSu Realのパフォーマンスの様子はこちら。

リミックスっていうか、カバーだわな。

こっちが原曲。
どうやら1999年に公開されたボリウッド映画の挿入歌らしいが、なんでリミックスのほうはみんなコックさんみたいな格好をしていたのか、ちょっと謎。


こちらはまた別の出場者がリミックスした98年ごろのボリウッドのヒット曲、"O O Jaane Jaana".


原曲はこちら。
当時この曲をムンバイで聴いて、ギターのフレーズが入っててずいぶん洒落た曲だなあ、と思ったものだけど、いま聴くとやっぱり猛烈に垢抜けないね…。


この番組、他にもDivineらとの共演でも有名なトラックメーカーのNucleya等、大物が参加していたようで、現代的なダンスミュージックに生まれ変わった懐かしの映画音楽に審査員も観客も盛り上がっていた模様。

この優勝を受けてRolling Stone India誌がSu Realに行ったインタビューによると、映画音楽が支配的なインドの音楽シーンに批判的なインディーミュージシャンが多い中で(後述)、彼は「ボリウッドはいつだってトラップやダンスホールといった新しい音楽を取り入れてきた」と肯定的な意見を持っている模様。
まあ、受賞インタビュー的な状況で否定的なことも言えないとは思うんだけど(一応、最近のあまりにも形式化したボリウッドのヒットソングにはちょっと苦言を呈している)。

いずれにしても、映画こそが娯楽そして音楽のメインストリームであるインドでは、誰もが知ってる名曲や、懐メロ的なものは全て映画音楽。
ポピュラーな曲をカバーしようと思ったら、おのずと映画音楽の一択となるのは当然なのだ。
調べてみると、他にも現代的な方法で懐かしの映画音楽をカバーしている人たちというのはたくさんいるので、ちょっと紹介してみます。

アカペラグループのPenn Masalaも、40年代から最近のものまでのボリウッドの名曲をメドレー形式でカバーしているこんな動画を作っている。

時代ごとの特徴をつかんだ衣装の変化も楽しい!
元ネタはグループ名を含めてアメリカのアカペラグループPentatonixのEvolution of Musicだろうが、インドの(ヒンディー語の)ポップミュージックの進化を辿るとなると、すべてボリウッド映画で間に合ってしまう(っていうか、それ以外ではできない)っていうのがインドの音楽シーンの歴史。

また別のアカペラグループ、Voctronicaは、タミル映画の音楽からスタートして、今ではインド、いや世界を代表するミュージシャンの一人になったA.R.Rahmanの音楽を同様のメドレーでカバーしている。


もし何かお気に入りのインド映画があったら、Youtubeで「映画や曲のタイトル(スペース)cover」 で検索してみてみるといい。
人気のある映画の曲なら、セミプロ風からアマチュアまで、いろいろなバージョンが聞けるはず。

また洋楽のカバーもなかなか面白くて、数ある洋楽曲の中で、なぜかインド人がやたらとカバーしている曲というのがある。
私の知る限りだと、以前このブログでも取り上げた"Despacito"や、少し古いところではGuns and RosesのSweet Child of Mine.



これらの曲になにかインド人の琴線に触れるものがあるんだろうか。
確かにガンズのほうは、こうやって聴くとどれもインドっぽいアレンジがかなりはまっている。

話を映画音楽に戻します。
これまでインドのインディーズミュージシャンのことをいろいろ調べてきて感じたことだが、彼らの映画音楽に対する反応は、一様に無関心というか、映画産業と距離を取るようなものだった。
その背後には、映画音楽は、音楽そのものとして純粋な表現ではなく、あくまで映画のために作られた商業主義の音楽であって、ミュージシャンの独立性、自主性を損なうものである、という考え方があるように思う。
ラッパーのBrodha VがSNSで映画音楽中心のインドの音楽シーンに対する抗議を訴えていたことは記憶に新しい。

ちょうど、80年代頃までの日本のロックミュージシャンから見た「歌謡界」のような、戦い甲斐のある巨大な仮想敵のような存在として、映画産業がある。
もはや何が主流でカウンターか分からない日本の混沌としたミュージックシーンから見ると、こうしたシンプルな構図はなんかちょっとうらやましくも感じてしまう。

とはいえ、Su Realが言うように、インドの映画音楽もいろいろな音楽を取りいれてどんどん進化しているし、映画産業から声がかかるラッパーやインディーミュージシャンも増えていて、今後双方の垣根はますます低くなってゆくのではないだろうか。
5年度、10年後のインドの音楽シーンはどうなっているのだろう。
今後の映画音楽とインディーミュージックのパワーバランスにも要注目!


ではまた!


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goshimasayama18 at 22:59|PermalinkComments(0)