2018年02月01日

トリプラ州の“コンシャス”ラッパー Borkung Hrangkhawl その1

バックパッカーの言葉で、旅の途中でひとつの場所についつい長逗留してしまうことを「沈没」というが、どうやらこのブログもインド北東部に沈没してしまったみたいだ。

正直、インドの中でもあんまり知らないエリアではあったのだけど、面白い音楽が出てくる出てくる。

ってなわけで、今回はデスメタルから離れて、インド北東部トリプラ州のラッパーを紹介します。

それではまず聴いてみてちょうだい。
"Never Give Up"


 

彼の名はBorkung Hrangkhawl.

と紹介してはみたものの、……読めない…。

ボルクン・ランコウルって感じで良いのかな?

彼の名前はインドの人たちにとってもやっぱり読みにくいようで、BKというシンプルなステージネームも使っている。

まず切れ味のよい英語のラップのスキルにびっくり。

それからヒップホップというよりもロックやEDM色の強いミクスチャー的なトラックも印象的で、ちょっとLinkin Parkにも似た感じがする。

北東部ゆえかインド臭がまったくしないサウンドだ。

 

Borkungはビデオにも出ているトラックメーカーのDJ InaとギタリストのMoses Raiとのトリオで活動しており、リリックにもRap with EDMとかTrying to blend hip hop with a new musicなんて言葉が出てくるので、かなり意図的にこの音楽性を作り上げているのだろう。

そんでサビだ。
 

I am not giving up

My dreams, my life, my struggle no, not anymore.

I am not giving in

my dreams, my life not anything it’s never too late I know, 

Never give up.

 

夢も人生も戦いもあきらめないぜ!遅すぎるなんてことはないんだ!絶対にあきらめるな!となんだかやたらにポジティブで力強い言葉が並ぶ。
Borkung、熱い男のようだ。 

 

続いての曲をどうぞ。"Fighter"

 

それにしても、ムンバイのDIVINEのビデオクリップは地元下町を練り歩くやつばかりだったけど、自然豊かなトリプラで育った彼になると、大自然の中を練り歩くのばかりになるってのは、やはりヒップホップの「レペゼン地元」って感覚によるものなんだろうか。

 

次はもう少し古い2013年の曲。"Journey"

なんか曲名のセンスがどれもちょっとハウンドドッグみたいではあるけれど、気にせず聴いてみてください。


この曲のサビも「The journey goes on till I make it」とあくまでもポジティブ全開。最後のヴァースはヒンディーで歌われているんだが、その前のヴァースの英語のリリックも印象深い。

 

Hitting hip hop scene of North East city, No retreat, No surrender, in this life of treachery

Misery is a part of it, to admit that my life was ruined

But look at me now haters! I'm smooth like a fluid

Blessed out beat so thick, with blip music, being Aesthetic

Blinked out the whole crowd and Rap Critics

That's why I opted, I opted

 

「俺は後退も降伏もしない」「憎しむものたちよ(Haters) 俺を見ろ!音楽でぶちかますぜ なぜなら俺は決めたんだから」と、またしても逆境に負けないポジティブな言葉が続く。

ところで、ここで出てくる”Haters”とは誰を指すのだろうか。

そして、このポジティブ野郎ことBorkung Hrankhawlとはどんなバックグラウンドを持った人物なのか。

 

彼の出身地であるトリプラ州は、古来からトリプラ王国が栄えた土地で、現在では360万人程度が暮らしている(インド全体の人口の0.3%)。

地図を見てみると、インド北東部の「セブン・シスターズ」の中でもバングラデシュに突き出すような場所に位置しているのが分かるだろう。(ミゾラムから東側はミャンマー)

 インド北東部

言語的には、周辺地域で使われるベンガル語とは全く異なるコクバラ語を話し、独自の文化を保ってきた地域である。

ちょっとどんなところか見てみよう。

 

今では博物館になっているかつての王宮。

Tripura_State_Museum_29122015

自然が豊かな地域もあり、野生の象も見られる。

gumti-wildlife-sanctuary-tripura-tourism-places1

人々はこんな感じ。顔はいわゆるインドの人たちよりも、ぐっと東アジア。

Culture-tripura

こんな遺跡も。
tripura遺跡

それでいて、州都のアガルタラはそれなりに栄えているようでもある。

hgb-road-agartala

なかなかいいところそうじゃないの。

 

しかしながら、周辺の諸地域同様に、トリプラの多くの人々も、インド社会の中で軽視され、差別的な扱いをされていると感じているようだ。

実際に、近年になっても、デリーやバンガロールといった都市部では、北東部出身の学生が不審な死を遂げたにも関わらず十分な捜査が行われなかったり、差別的な扱いに耐えかねて命を絶ったりという悲惨な事件が何件も発生している。

たまたまこないだ読んだウダイ・プラカーシの「黄色い日傘の女」という小説でも、地元のマフィアにリンチされて死を選ぶ北東部出身の学生の様子が生々しく描かれていた。今もなお、北東部の人々がインドの中心的地域への反発を抱くのには十分な理由と背景があるのだ。

そうした感情を持つ人々の一部は、以前から「トリプラ民族解放戦線(NLFT)」を組織してゲリラ的な活動を行っており、インド政府によりテロ組織にも指定されている。


そう、この地域が豊かな自然と文化にもかかわらず、ツーリストにあまり馴染みがなかった理由の一つとして、各州の独立派テロリストの活動が長く盛んだったことが挙げられる。

 

長くなってきたので今回はここまで!

今回は正直言って予告編。

次回はこのトリプラの地でポジティブな言葉を吐く男、Borkung Hrankhawlの人となりに迫ってみます!



2018年01月28日

デスメタルバンドから返事が来た!Alien Godsのギタリストが語るインド北東部の音楽シーン

こんばんは、軽刈田凡平です。


こないだのブログで、インド北東部7州「セブン・シスターズ」にどうやら多くのデスメタルバンドがいるらしい、ということを取り上げた。

インドの中でも辺境とされ、自然豊かなこの地域で、どうしてそんなに激しい音楽が流行っているのか。

探ってみるためにいくつかのバンドにメッセージを送ってみたところ、Top 10 Indian Death Metal Band9位の、アルナーチャル・プラデーシュ州イーターナガル出身のAlien Godsからさっそく返事が来た!


メッセージをくれたのはギタリストのTana Doni.

「俺たちに興味を持ってくれてありがとう。どんな方法でも喜んで協力するよ」

と、なんかいい奴っぽい。

ではさっそく、インタビューの様子をお届けします。

 

凡「まず最初に、Youtubeやなんかを見ていて、インド北東部にたくさんのメタルバンドがいることに驚いたんだけど」

Tana「アルナーチャルには他にもいいバンドがたくさんいるよ。よかったら紹介するよ」

と教えてくれたバンドは、

プログレッシブ・ブラックメタルとのふれこみのLunatic Fringe


マスロックバンドのSky Level. 
 

現代的なヘヴィーロックで、なかなか面白いギターを弾いている。


ロック系ギターインストのAttam. 彼は近々アルバムを出すという。

 

凡「イーターナガルとかアルナーチャル・プラデーシュ州のメタルシーンについて教えてくれる?」

Tana「正直言って、シーンはアンダーグラウンドなものだよ。北東部にはいろんなジャンルが好きな人がいるから。でもマニプル州は他の北東部の州よりシーンが発展しているかな」

凡「どんなところで演奏してるの?」

TanaGovermental hall(公民館のようなところか)とか、Community Ground(屋外の公共の場所か)とか」

なんと。田舎ながらもシーンがあって、愛好家が集うライブハウスみたいなものがあるのかと思ったら、本当に好きな人たちがなんとか場所を借りて続けている状況のようだ。

 

凡「Alien Godsはブルータルなサウンドが印象的だけど、どんなバンドに影響を受けたの?」

Tana「実は俺は3枚目のアルバムができてから加入したから、よく分からないんだよね。今のメンバーでオリジナルメンバーはボーカルだけなんだ」

またしてもびっくり。でもそれって代わりになるレベルのプレイヤーが身近にいるってことだよね。アングラとはいえそれなりにプレイヤー人口はいる様子。

凡「じゃあ、あなた自身はどう?いつ、どんなふうにこういう音楽と出会ったの?」

Tana「最初はパンクロッカーだった。2007年、高校生の頃のことさ。Blink182Sum41が好きだった。それからハードコア・パンクに興味を持つようになったんだ」

凡「へえー!でもインドってあんまりパンクが盛んじゃないように思うけど」

Tana「インドにもいい感じのアンダーグラウンドのパンクシーンがある。”The Lightyears Explode”はチェックすべきだよ。彼らとは地元のフェスで共演したんだ」

 

The Lightyears Explodeはこんなバンド。
 

ポップなサウンドに内向的な歌詞。なかなかいいじゃないですか。

インドだと、メタルバンドはだいたいがとことんヘヴィーなデスメタル系なのに、パンクになるとポップになる傾向があるのかな。

 

凡「じゃあ、ポップ・パンクからハードコア・パンク、そこからデスメタルって感じなんだね」

Tana「デスメタルの前はブラックメタルだったよ。これが俺の最初のバンドなんだ」


ギターがメロディアスで、日本のメタル好きにも人気が出そうなサウンドだ。

Tana「それからAlien Godsに加入して、今ではSacred Sacrecyっていうバンドもやっている」


Sacred Secrecyはよりブルータルかつテクニカルな感じのバンドのようだ。
 

凡「好きなバンドとか、好きなギタリストは?」

Tana「いくつか挙げるなら、Cradle of Filth, Dimmu Borgir, Cannibal Corpse, Cryptopsy, Cattle Description, Strapping Young Ladかな」

凡「どれもデスメタルとかブラックメタルの大御所だね。実は僕、Strapping Young Ladのデヴィン(ヴォーカル/ギター。Steve VaiSex & Religionというアルバムでヴォーカリストを務めた)はヴァイと一緒のツアーで見たことがあるよ」

Tana「へえ!それはすごくラッキーだね!俺、Strapping Young Ladのコンサートを見るためだったら何でもするよ。彼はまさにレジェンドだね。ところで、マキシマム・ザ・ホルモンってバンドは知ってる?」

凡「もちろん、日本のバンドだよね。日本じゃヘヴィーな音楽はアンダーグラウンドだけど、彼らはすごく人気があるよ」

Tana「だろうね。だからこそ俺が住む北東インドまで彼らの音楽が届いてるんだと思う。彼らのスタイルは好きなんだ。すごく興味をそそるよ。いくつか日本のバンドでお勧めを教えてくれたらうれしいんだけど」

さて、困った。最近のこの手のジャンルは全然知らない。

凡「日本じゃメタルだともっとメロディアスなやつが人気なんだよ。X Japanとか、知ってる?」

Tana「うん。ってか知らない奴いる?」

あ、そうなの。日本の皆さん、インド北東部でもXは有名です。

彼にいくつか日本のバンドを教えてあげる。タナはかなりコアなメタルファンのようで、たとえば日本の老舗ブラックメタルバンドのSighも聴いたことがあると言っていた。

凡「それじゃあ、最後の質問。ミュージシャンとしての夢を教えてくれる?」

Tana「ワールドツアーだよ。俺はステージプレイヤーなんだ。スタジオに座ってるより、ツアーをしていたい」

凡「ありがとう。いつか日本でライブが見られたらうれしいな。またニュースがあったらぜひ教えて」

 

と、かいつまんで書くとこんな感じのインタビューだった。

インタビューを終えて、いくつかのことについて分かったし、いくつかのことについて反省もした。

まず分かったのは、セブン・シスターズ諸州では、けっしてデスメタルが盛んなわけではなく、世界中の他のあらゆる地域と同じように、メタルはアングラな音楽で、でも根強いファンがいるということ。

それから、ポップなパンクからハードコア・パンクに進み、そこからだんだんよりヘヴィーでテクニカルな音楽が好きになっていったという彼の音楽キャリアは、日本でも欧米でも、世界中のどこにでもあり得るようなものだということ。 

反省したというのは、自分の中のどこかに、こんなに辺鄙なところで(失礼)デスメタルをやってるなんて、なにかすごく面白い秘密があるんじゃないだろうか、と無意識に思ってたということだ。

そもそもデスメタルのミュージシャンにインタビューすること自体初めてだったけど、彼とやり取りをしていて、アルナーチャル・プラデーシュという、自分が全く行ったことがない場所の人と話しているという気が全然しなかった。

っていうか、まるでこの手の音楽が好きな日本の後輩と話しているような気さえした。

インターネットで世界中が繋がったこのご時世、ネットがつながる環境さえあれば、世界中のどこにでも、同じようなものに惹かれる人たちがいる。

流行っているポップミュージックは国によって違っても、コアな音楽には国境はない。彼と話をしていて、改めてそう認識した。

また、以前書いたように、インド北東部の人々は、インドのマジョリティーと文化的なバックグラウンドを共有しないがゆえに、よりダイレクトに欧米のカルチャーの影響を受けるのだろう。おそらくはそれがこの地域でデスメタルが盛んなように見える理由だ。

それから、「Strapping Young Ladのライブを見るためだったら何でもするよ」という彼の言葉と、ライブハウスが無いから公民館みたいな施設を借りてライブをやっているということにも、なんというかこう、ぐっと来た。

セブン・シスターズ出身の別のデスメタルバンドが、デリーでライブをやったときのインタビューでこんなふうに答えていた。

(地元でのライブとデリーでのライブの違いはどう?という質問に対して)「地元じゃ誰もヘッドバンギングなんかしないで、みんな座ってじっと見ているんだ。こっちだと音楽に合わせて体を動かしてくれて、デリーのほうがずっといいよ」

おそらく彼らは本当にこういう音楽が好きで、観客が盛り上がってくれなくても、演奏をすること自体の喜びを糧にして演奏を続けているのだろう。

もちろん自分だって、こういうブログをやるくらいだから、音楽は好きなつもりだ。でも「彼らのライブを見るためだったら何でもする」とまで言えるほど好きなミュージシャンがいるだろうか。

ミュージシャン目線で見ても、日本にはいくらでも演奏する場所がある。もし無かったら、自分たちでどこか場所を借りてまで演奏したい、自分たちでシーンを作りたい、自分たちのやっている音楽が理解されなくても、ずっと演奏を続けていたい、そこまで思っているバンドマンが日本にどれくらいいるだろう。

 

「ぼくが今生きてるのが世界の片隅なのか どこを探したってそんなところはない」と歌ったのはブルーハーツだったが、まさしくその通り。

音楽の世界に中心も片隅もなく、あるのは演奏する人、聴く人の心だけだ。セブン・シスターズのメタルバンドたちは、間違いなくヘヴィーミュージックのど真ん中で演奏を続けている。

Alien GodsのフロントマンSaidはこう語る。

「俺たちはただ音楽が好きなだけなんだ。俺たちは名誉や金のために音楽をやっているわけじゃない。すぐれた音楽を演奏する喜びを感じたくてやっているんだ…」

彼らの音楽が好みじゃないって人たちも、この言葉には感じるところがあるんじゃないかな。



2018年01月26日

インドのメインストリームヒップホップ1 Yo Yo Honey Singh

凡平です。
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回にわたってむさ苦しい音楽を紹介してきたので、今回は「なんとかメタル」から離れて、ヒップホップのアーティストを紹介することにしたい。 

これまで、ヒップホップでは大衆音楽とは距離を置いた、ストリート寄りのBrodha VさんとかDIVINEさんを紹介してきたけど、今回は「これぞインドのメインストリーム!」ってなラッパーを紹介させていただきます。

というわけで、本日紹介するのはこの方、Yo Yo Honey Singhさんです。

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ヨー・ヨー・ハニー・シン。

この名前を聞いて、まずみんな何を思うかってえと、芸名がださい…ってことだと思う。

Singhの部分が本名なわけだけれども、人間、自分の名前にヨー・ヨー・ハニーってのをつけたがるもんだろうか。

みなさんも自分の名前にちょっとヨー・ヨー・ハニーをつけてみてほしい。

自分がプロのミュージシャンになるとして、その名前で行こうってのはなかなか思わないんじゃないかなあ、って思うけど、まあそんなことはどうでもいいや。

まずはこの曲、2012年の曲でBrown Rang

   

再生回数は20181月の時点で4,400万回。

Brodha VDIVINEがせいぜい80万回くらいだから、文字通り桁が違う。それも二桁だ。

このビデオは2012年にYouTubeで最も見られたビデオってことになっている(たぶん当時はもっと再生回数の多い動画が上がっていたものと思われる)。

この曲はパンジャーブ語で歌われているんだけど、パンジャーブ語話者はインドとパキスタンに9,500万人程度。

じゃあパンジャーブ語話者だけがこの曲を聴いてるのかっていうと、そうとも限らなくて、ヒンディー語(話者26,000万人)を含めて似た構造を持っている北インド系の言語を母語とする人たちを中心に、歌詞を聴いて理解できる層というのはインドに相当数いるのではないかな。

で、そこまで人気のあるビデオってだけあって、内容も今まで見てきたインドのラッパーたちとは大違いで、下町をTシャツで練り歩いていたりはしない。

なんかゴージャスな感じのところでビシっとキメた格好で綺麗なおねえちゃんと絡んでいる。

まあこういう成金感覚も非常にヒップホップ的ではあるよな。

曲はオートチューン処理されたようなヴォーカルとか、同時代の欧米を意識しつつも歌い回しなんかはインドっぽいところを残しているのが印象的だ。

Brown Rangというのは、英語とおそらくはパンジャーブ語のミックスで、「茶色い肌」という意味だそうで、これは自分たちインド人のことを指していると考えて間違いないだろう。

「茶色い肌の彼女、みんな君に夢中で何も手につかないぜ、色白の女の子なんてもう誰も相手にしないのさ」という歌詞で、これを非常に現代的なサウンドに乗せて歌うところがニクい。

インドにはかなりいろいろな肌の色の人がいるが、昔から色白こそが美の条件とされている。
映画に出てくる女優も男優もかなり肌の色が薄い人ばかり。

そういうインドで、最先端のサウンドに乗せて「茶色い肌こそ魅力的なのさ」と歌うこの曲は、色白でない大多数の若者達にとって、とても魅力的に響くってことなのだろう。


続いてはこの曲。2013年のBlue Eyes.

 

なんかDA PUMPっぽい空気感を感じるビデオではあるが、この曲の再生回数もすでに14400万回!

1年前に「茶色い肌が魅力的さ」と歌ってたくせに、今度は「君の青い瞳が最高」みたいな曲。でも、白人の女の子を口説く内容の曲ということに、格別に都会的というか進歩的な雰囲気があるのかもしれない。

同じようにオートチューンを使ったコーラス部分が結構現代的なのに比べて、ラップのところがどうもちょっと野暮ったいんだけど、それもまた魅力といえば魅力、のような気もしないでもない。

 

もう少し最近の曲だとこんな感じになってる。

2016年のSuperman.

   

今度は曲調がヒップホップというよりEDMっぽい感じになってきた。 

「ベイビー、アイム・ア・スーパーマン!」とあいかわらず一定のダサさがある部分が、やっぱり幾ばくかの安心感になっていると思うのですが、いかがでしょう。
 

YoYo Honey SinghことHirdesh Singhはパンジャーブ州のシク教の一家に生まれ、イギリスの音楽学校で学んだ後、デリーを拠点に音楽活動をしている。

パンジャーブと言えば、90年代に世界的にもちょっと話題になったインド発祥の音楽、バングラの発祥の地だ。2011年にボリウッド映画「Shakal pe mat ja」の音楽を手がけた後、音楽活動のみならず俳優としても活躍している。パンジャーブ語だけでなく、ヒンディーで歌う事も多いようだ。

シク教は、インド北東部パンジャーブ州で16世紀に生まれた宗教。当時の(そして今も)インドの二大宗教であるヒンドゥーとイスラムの影響を受けつつ、他の宗教を排斥せず「いずれの信仰も本質は同じ」という考えを持ち、インドを中心に3,000万人の信者がいる。シク教徒の割合はインド全体では2%程度だが、ターバンと髭が目立つせいかもっといるように感じるし、パンジャーブ州では今でもじつに6割がシク教徒だ。

男性はひげを伸ばしてターバンを巻くことになっていて、ラッパーでも若手の社会派として人気のあるPrabh Deepなんかはターバンを巻いている。デスメタルバンドGutslitのベーシストも、そんな音楽やってるのに律儀にターバン(色は黒)は巻いているが、Yo Yo Honey Singhはターバン、全然巻いてないね。

若手シク教徒がターバンについてどう思っているのか、気になるところではある。
 

ここから先は完全に想像というか妄想だけど、彼の場合、おそらくイギリス留学が脱ターバンのきっかけになったのではないかな。

おそらく、シク教徒のターバンには、「自らすすんで戒律を守る」ということとは別に、コミュニティの中でかぶらないわけにはいかない、みたいな部分もあるのだと思う。

イギリスに留学したことで、初めてそうした因習から自由になり、ターバンを脱ぎ捨て、一人の若者として最新の音楽を学んでそれをインドに持ち帰る。
その無国籍なサウンドに、若干のインド的な要素をブレンドして、欧米コンプレックスを払拭するような歌詞を乗せて歌う。
Yo Yo Honey Singhの音楽はある意味非常に現代のインド的な音楽だと思うのだけど、いかがでしょうか。

今日はこのへんで!



goshimasayama18 at 22:14|PermalinkComments(0)インドのヒップホップ 

インド北東部でいったい何が!? Death Metal from “7 Sisters States”

前回、「インドのペイガン・メタル」なんていう濃いものを書いてしまったので、今回は軽くて洒落ているものを書こうと思っていたら、ああ、なんたること、また濃くてむさ苦しいネタを見つけてしまった…。

 

「インド北東部7州」といってピンと来る人は、相当インドが好きな人かインド人くらいだと思うので、まずはインドの地図をごらんください。

 インド地図

 

この菱形に近いインドの地図の東側のコルカタのさらに東、ちょうどバングラデシュに抉られるようになった東の端の、ちぎれてしまいそうな部分。

ここに、英語で”Seven Sisters”と呼ばれる7つの州がある。

アルナーチャル・プラデーシュ州、アッサム州、メーガーラヤ州、マニプル州、ミゾラム州、ナガランド州、トリプラ州の7つの州のことだ。

 インド北東部

いずれの州も北インドのアーリア系とも、南インドのドラヴィダ系とも違うモンゴロイド系の民族が暮らしていて、インドの大部分とはまったく違う文化や言語を持った地域だ。

それぞれの州ごとに、異なる言語や文化があり、さながらこの地域は民族のモザイクのような様相となっている。

気候の面でも、どちらかというと乾燥したインドの大地とは異なり、密林が広がる山岳地帯が多く、メーガーラヤ州のマウシンラムという村は年間で最も雨が降った場所(1985年。26,000mm)とされている。

この地域は中国、バングラデシュ、ミャンマー、ブータンと国境を接していて、私がよくインドに行っていた’90年代後半〜’00年代初頭頃は外国人の立ち入りが禁止されていた、まさしくインドの辺境中の辺境。

ちょっと景色や人々を見てみると、こんな感じだ。

 
メガラヤ州の絶景
Meghalaya-–-Visiting-the-cleanest-village-in-the-world-CP

マニプル州の谷間の街
manipur

ミゾラム州の州都、アイザウル
mizoram aizawl-city


 ナガランドの人々
Nagaland-People

 アッサムの茶畑。まるで静岡みたい。
assam-719

 

それぞれ独自の文化を保った人たちが豊かな大自然の中で暮らすのどかな地域っといった印象を受けるね。

Seven Sistersはインド辺境の古き良き文化が残る純朴な7姉妹といったイメージだ。
ところがしかし。

 

前回の記事を書いている時に、YoutubeThrashDeath Assaultという物騒な名前のユーザー(どうやらインドのヘヴィーメタル愛好家のようだ)が、Top 10 Indian Death Metal Bandという動画を挙げているのが目についたので、なんとなく見てみることにした。

それがこちら。

 

 

ちゃんとバンド名といっしょに出身都市の名前が出てくる親切仕様になっていて、アタクシのような人間にはありがたい。

へえ、インドにそんなにたくさんデスメタルバンドっているんだ、ムンバイとかバンガロールみたいな大都市、国際都市のバンドがたくさん出てくるのかなあ、と思ったて見ていたら、さにあらず。

耳慣れない地名が次から次へと出てくる。しかも、明らかにモンゴロイド系の顔のメンバーがいるバンドが出てくる出てくる。

 

紹介されているバンド名、出身都市、出身州を並べてみるとこんな感じ。

1. IIIrd Sovereign アイゾール(ミゾラム州) 

2. Gutslit : Mumbai ムンバイ(マハーラーシュトラ州)

3. Plague Throat シロン(メーガーラヤ州)

4. Demonic Resurrection ムンバイ(マハーラーシュトラ州)

5. Godless ハイデラバード(アーンドラ・プラデーシュ州)

6. Sycorax ダージリン(ウエスト・ベンガル州)

7. Agnostic グワハティ(アッサム州)

8. Killibrium ムンバイ(マハーラーシュトラ州)

9. Alien Gods イーターナガル(アルナーチャル・プラデーシュ州)

10. Wired Anxiety ムンバイ(マハーラーシュトラ州)

 

と、なんと例のインド北東部、セブン・シスターズ出身のバンドが4つも入っている。6位のSycoraxの出身地である紅茶で有名なダージリンも、州こそ違うが地理的にはかなり近いところにあり、じつに10バンド中半分がインド北東部出身ということになる。

9位のAlien Godsの出身地イーターナガルなんて、調べてみたら、人口35,000人のこんな町だ。

 itanagar-head-145

いったい何故、こんなにのどかな地方でデスメタルを?

しかも、全部、メロディアスだったりシンフォニックだったりしないゴリゴリの骨太な感じのやつだ。

 

ひょっとするとこれは選んだ人がこのへんの地方の人で、恣意的なランキングなんじゃないかと、今度は、www.toptens.comというサイトの「Top 10 Metal Band in India」という記事を見てみた。

Top 10といいながら144位までランキングされていて、まずそもそもインドにそんなにメタルバンドがいるってことに驚いた(最後のほうは「High School Band」とかも出てくるからなんとも言えないが)んだが、このランキング(デスメタルに限らない)でも、東北7州のバンドはTop10入りこそ逃したものの、100位までで21組もいる。

参考までに書くと、セブン・シスターズの人口は4,500万人。インド全土の人口の3.7%に過ぎない。州のGDP、一人当たりGDPも比較的低い州ばかりだ。

豊かな自然や独自の文化があり、楽器なんかもそうそう流通してなさそうな(買うお金だってバカにならないし)これらの州で、いったいなぜデスメタルが流行っているのか。

ナガランドなんかは、昔は首刈りの風習があって、一人前の大人の男と認められるには余所者の首を刈ってこないといけない、っていう習慣があったところなので、なんかこう、残虐性に惹かれる文化があるのだろうか。

それとも、この地域は歴史的にゲリラ的な独立闘争運動が盛んだったことから、インド政府に隷属せざるを得ない怒りのようなものが蓄積されているのだろうか。

 

ひとまず、どんなバンドがいるのか見ながら考えてみようか。

とはいえ、あんまり動く映像があるバンドが多くないんだよなあ。

まずは、インドのデスメタルバンド10選の3位、メーガーラヤ州のPlague Throatをどうぞ。
 

このバンドはドイツのフェスティバルでの演奏経験もあるようだ。

しっかし、デスメタルとはこういう音楽と分かっていながら、どうしても酒を飲みすぎて猛烈な頭痛と吐き気を催し、トイレでのたうちまわっている状態のように聴こえてしまって仕方がない。

デスメタルだなあ!とは思うけど、あまりにも類型的すぎてなんとも言えないなあ。まあ、それだけ良くできているとも言えるが。

 

続いては、インドのデスメタルバンド10選の9位、アルナーチャル・プラデーシュ州イーターナガル出身のAlien Godsのコルカタでのライブの様子がこちら。
 

あんなのどかなところ出身なのに、なぜこんなことに。

田舎のお母さん、心配してるよ。まあそれ言ったらSlipknotの故郷のアイオワだってど田舎なわけだから言いっこなしかもだけど。

 

今度はデスメタルから離れまして、インドのメタルバンド100選から18位のバンド、アッサム州のXontrax.


音は激しいけど、なんか短髪のメンバーがすごく真面目そう。

邪悪な感じがあんまりしないな…。もっともてそうな音楽やれよ、って言いたくなる感じ。

 

続いて、インドのメタルバンドベスト10041位、ミゾラム州のComora、お聴きください。


おお、ちゃんとした(?)ミュージックビデオだ。

こちらもサウンドは激しいけど、なんかすっげえ朴訥。山の中で民族衣装を着て演奏してる…。なぜこのシチュエーション、この格好でこの音楽なのか。

 

続いて、メタルバンドベスト10058位、首刈りがかつて行われていたというナガランドのIncipitというバンド。


これ、メタルじゃないじゃん。なんかジャーニーみたいな爽やか感じのロック。

メンバーやっぱり朴訥としてるなあ。

 

うーん、ランキング下位のバンドになってくると、朴訥ばかりが気になって、なにが彼らをメタルに駆り立てているのか、映像を見てもよく分からない。

 

ここから先は完全にアタクシの推測。

高野秀行の「西南シルクロードは密林に消える」って本によると、2002年ごろのナガランド州ディマプルという町の様子はこんなふうだったという。

 

何よりも意外だったのは、その若者たちのファッションだ。Tシャツか派手な柄のシャツをだらっと着流し、下は膝小僧が見え隠れするくらいの長さのハーフパンツ。頭にはバンダナを巻くかアポロキャップをかぶり、素足にジョギングシューズをはいている。いわゆるヒップ・ホップ系のストリート・ファッションというやつだ。

女の子もまちがってもサリーなど着ておらず、茶髪が多く、服装もTシャツにジーンズなどで、これまた日本の今時の若い子と変わらない。

(中略)

「ナガ人はクリスチャンだから、インド人よりずっとアメリカナイズされているんだ」

 

そう、インド全体では2%に満たないキリスト教徒だが、セブン・シスターズ諸州では人口の2割ものクリスチャンがいる。人口規模が圧倒的に多いアッサム州にヒンドゥー教徒が多いので、地域全体では2割にとどまっているが、ナガランド、ミゾラムでは9割、メーガーラヤでは7割以上がクリスチャンだ。

 

歴史的にヒンドゥー文化圏外だったこの地域では、もともとはヒンドゥー信仰よりもアニミズム(精霊信仰)が盛んだった。

そこに、西洋の宣教師たちがこぞって布教に訪れたことで、住民の多くがクリスチャンに改宗し、現在に至っている。

セブン・シスターズ諸州では、キリスト教への改宗によって精神的な面での欧米化が早くから進んでおり、かつ文化的にもいわゆるインド的なものへの共感がしづらい文化的背景であることから、ボリウッドの影響も少なかったと思われる。

おそらくだが、インターネットの発展などで、同時代の欧米の文化に接することができるようになったとき、セブン・シスターズの若者たちは、インドのポップカルチャーであるボリウッド的なものよりも、アメリカを始めとする欧米の文化のほうに魅力を感じたのではないだろうか。

その中の一部の若者たちはデスメタルのような激しいサウンドに惹かれ、結果的にインドの他の地域よりも、デスメタルバンドの数が顕著に多い、ということになった、とは言えないだろうか。

ちなみにこの地域、他国と国境を接する軍事上の要衝でもあるため、道路や電気といったインフラは意外と整備されているようで、楽器(エレキギターとかね)の入手や演奏は以外と容易だったのかもしれない。

とはいえ、やっぱりこの推論にはちょっと無理があるような感じもする。

 

こうなったら、便利なこのご時世、SNSを通じて直接彼らに聞いてみたいと思います。
いったいどんな返事が返ってくるのか、乞う御期待!



2018年01月21日

神話炸裂!インドのペイガン・メタル!

こんにちは、伊藤政則です(ウソ)。

先日、映画「バーフバリ」についての記事で、神話的なものがインド人の感性に深く根ざしているのではないか、ってな話を書いたのだけど、今回はそれに関連して一席。

インドの若者って実は結構メタル好き率が高いのではないかと思っていて、以前紹介したRolling Stone India誌が選ぶ2017ベストアルバム10とか、ベストミュージックビデオ10の中にも、今どきしれっとゴリゴリのデスメタルやスラッシュが選ばれるくらい。

というわけで、今回紹介するのはインドのペイガン・メタル!

とは言ってみたものの、みなさん、ペイガン・メタルって言葉はご存知ですか?

知らねえよなあ。

知らなくて普通です。

 

ヘヴィ・メタルという音楽は、その創生期から反キリスト教的、悪魔主義的なイメージを打ち出していたのは周知の通り。Black Sabbathとかね。

でもそれって、おそらく当初は反社会的、アンチモラルな感じで、かつ不気味でやばい感じのイメージ作りだったと思うんですよ(単なる悪趣味という気もしないでもない)。

ところがだんだん、本気で悪魔崇拝をし始めて、ビバ悪魔!地獄最高!ってな音楽を作る奴らが出てきた。

いわゆるブラック・メタルというやつですな。

屍体を模した白塗りのメイクをして(コープス・ペイントという)、トゲトゲのいっぱいついた黒い服を着て「地獄からやってきた悪魔だぜ!ギャー!」ってな歌を歌う。

ひどい連中になると、悪魔主義の思想を行動に移して教会に放火したり、殺人を犯したりする奴も出てくる。何て奴らだ。

 ブラックメタル
 典型的なブラックメタルバンドはこんな佇まい

ところが、そのうち彼らは気づいたんでしょうな。

「あれ?悪魔って、キリスト教の中の概念じゃん。アンチ=キリストって言ってるのに、キリスト教が考え出した概念を歌ってるのっておかしくね?」と。

 

そこで彼ら(註:ブラック・メタルの本場、北欧のバンド達のことです)は考えた。

「キリスト教の考えた概念である悪魔について歌うんじゃなくて、キリスト教伝来以前の俺たちの独自の文化や信仰をメタルにしよう!これこそが真の反権威、反宗教だ!」と。

こういう思想の音楽をペイガン・メタルという。

同じような発想でできたジャンルにヴァイキング・メタルというのもあって、もちろん食べ放題のことを歌詞にしているのではなく、俺たちの古代の英雄たる海の覇者をメタルにしようって寸法だ。

 

で、インド。

北欧で「独自の文化」をブラック・メタル、デス・メタル的サウンドに乗せた連中がいたのと同じように、インドでも独自の文化、具体的には神話的ヒンドゥー世界をメタルにしたバンドっていうのがいる。

彼らはVedic Metalというジャンルで呼ばれていて、VedicというのはVedaの形容詞。世界史で習ったリグ・ヴェーダとかのヴェーダだ。

Vedic Metalというのはインドの古典である神話、伝承、哲学なんかをテーマにしたバンドということ。

 

前置きが長くなりました。まずはこちらをお聴きください、Rudra” Hymns from the Blazing Chariot”


 「オーム!」のマントラとタブラのイントロから、怒涛のメタル・サウンドに!

どうやらインドの超大作古典文学「マハー・バーラタ」をテーマにした曲の模様。

このビデオ、バーフバリみたいなドラマ部分もイカす。

考えてみれば、神々の戦いを描いたヒロイックな神話はヘヴィーメタルの題材にぴったりだよなあ。

ちなみにRudraというのはインド神話に出てくる暴風神とのこと。

Wikipediaによると、なになに、「『リグ・ヴェーダ』の中では彼はアスラとも呼ばれ、アスラ神族が悪魔とされる時代以前の名残りをとどめている。」

おおっ!インドのペイガン・メタルにぴったりのバンド名じゃないか!

 

続いての曲。The Down Troddence で、その名も”Shiva”


彼らは”Folk Metal”として紹介されることも多いようで、フォークっていっても南こうせつとかさだまさしじゃなくて、民間伝承メタルという意味だろう。

 

続いてDevoid”Brahma Weapon”

「神の武器」とでも訳したら良いのかな。

 

 

だんだんおなかいっぱいになってきたので、次で最後!

Bhairav ”Kaal ratri”

 

いつ歌が始まるのかと思っていたらなんとインストだった。230秒くらいからの展開が結構すごい。


さて、欧米のペイガン・メタルバンドが宗教的権威たるキリスト教への反発から悪魔主義、ペイガニズムに傾いていったのは最初の方に書いた通り。
それじゃあインドのVedic Metalはどういうところから出てきたのか。 

インドの最近の小説なんかだと、欧米文化に憧れつつも、物質主義的、功利主義的な考え方に反発する若者の気持ちというのが描かれていて、欧米で生まれたエクストリームミュージックにヒンドゥーの神話という組み合わせは、そういう西洋へのアンビバレンツな感情というところから出てきたものなんじゃないだろうか。
西洋から生まれた音楽のある種の究極と言えるデスメタル的なサウンドに乗せて、自分たちの文化的・宗教的なルーツを誇らしげ歌うというのは、矛盾と言えば矛盾だけどなんだかとっても面白い。

単に手近にあるものでこういうサウンドにふさわしいモチーフがヒンドゥー神話だったってだけかもしれないけれど。

 

本日の各バンド、改めて紹介します。

Rudraはインドではなくシンガポールのインド系のバンドで1992年結成。

あ!いきなりインド本国のバンドじゃなかった!インド系ではあるけど…。それにかなりの歴史があるバンドでした。
 rudra

かなり早い段階からこの音楽性を導入していたようで、幾度かのメンバーチェンジの末、現在はKathir – Vocals&BassShiva – DrumsSimon – GuitarsVinod – Guitarsのメンバーで活動している。

メタルとインド舞踊の融合といったかなーり斬新な試みもしているようだ。




The Down Troddence
2009年結成のケララ州のバンド。

the down troddence
このバンドには名前を見るとムスリムのメンバーも在籍しているみたいだ。

ヒンドゥー的なテーマを扱っていても反イスラム的な思想というのはないみたいで、そう考えるとインドの音楽シーンというのは本当に健全。

この”Shiva”のビデオはIndiGo South Asian Music Awardsのベストミュージックビデオ賞を受賞したとのこと。

 

Devoidはムンバイのバンドで、2005年に結成。
 devoid

反体制、宗教、戦争をテーマにしたデス/スラッシュ・メタルバンドらしいが詳しくは不明でした。

 

Bhairav2009年にデリーで結成されたバンドで、シヴァ神への絶対的な帰依を拠り所にしているという。
bhairav
音楽的には80年代のスラッシュメタルに影響を受けているようだ。

 

日本に縄文メタルとか無いし、アメリカにもインディアンメタル(あれ?インドのメタルになっちゃったけど)というのは無い(知る限りでは)。

「メタル」というすでにそれ自体が強烈な個性を放つジャンルすらも自らの伝統的世界観に取り込んでしまうインド。さすが、懐が深いなあ。

 

と思ったら、モンゴルのメタルバンドというのも凄かった!

https://gakkimania.jp/freak/1174

 

いやはや世界は広いっすな。

 

 

追記:Vedic Metalのジャンルに括られるバンドとして、チェコのCult of Fire、ウクライナのAryadevaといった東欧のバンドもいる。

面白いところでは、ロシアのバンドでKartikeya というのがいて、彼らはインドの古典声楽(マントラみたいなもの?)と共演した楽曲なんかも発表している。"Kannada - Munjaaneddu Kumbaaranna"という曲。
 

なんかもう独特の世界だ(このバンド、普段は普通のデス声で歌っている)。間奏のギターソロは筋肉少女帯の橘高みたいだし。

なぜ非インド人である彼らがVedic Metalを標榜しているのかは不明だが、おそらくはインド-ヨーロッパをつなぐアーリア人主義的なものがあるのではないかと思われる。この考えを突き詰めるとナチズムに行き着くわけで(実際にブラック・メタルバンドには親ナチを表明しているバンドもいる)、Vedic Metalにはこういった危険な側面もあることも頭に入れておきたい。

入れておいてどうする、とも思うけど。